あらすじ
世界遺産に認定された熊野古道、玉倉山にある玉倉神社。そこに住む泉水子は中学三年まで、麓の中学と家の往復だけの生活を送ってきた。しかし、高校進学は、幼なじみの深行とともに東京の鳳城学園へ入学するよう周囲に決められてしまう。互いに反発する二人だったが、修学旅行先の東京で、姫神と呼ばれる謎の存在が現れ、さらに恐ろしい事件が襲いかかる。一族には大きな秘密が──。現代ファンタジーの最高傑作! 大人気RDGシリーズ第1巻!!
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アニメから入ったクチなのですが、原作を読んでみれば、心情の描かれ方がこまやかで繊細で、もう圧倒的な世界観にひきこまれました。
深行が泉水子に対して異常に手酷く辛辣な言葉対応をしていたのも、私はちょっと納得できてしまったから自分にも驚きました。
ただでさえ深行の生い立ちってちょっとネグレクトっぽくて複雑ですし、自立して成長せざるを得なかった人からみると、箱入り娘で大切に育てられすぎている泉水子を羨ましさ反面見下してしまうのも無理ないな〜と…
だからといって許されるわけないのですが、言いすぎた時には、すぐに謝罪する潔さもあるので、憎めなかったです。
逆に泉水子のキャラの入りは、成績も芳しくなく、家の手伝いもしなくて良い環境で、送り迎えもしてもらって、おどおど言葉数が少なくて、見た目もパッとしない、、と主人公ながらすごい。
でもいざって時はピシャリと威厳をもって制することができたり、楽な道をとってはいけない、今の自分のままではいけないと律することができたり、誠意がもの凄くて、真っ直ぐに育ってこられて…泣 と最後は謎に母目線になりました。
そして最後の神楽舞で深行は自覚なしにおちたんでしょうか?
何にもできないと思っていた女の子がとんでもないものを持っていた驚き、その場に立ち会えた高揚、眩しさみたいな?!
とにかく描写が丁寧でこんなに感情移入することはないというほどのめり込みました。
Posted by ブクログ
当然であるけれど主人公なのだから、何か特異なことがあると思いながら読み進めるのだけれど…本当に何もできない女の子のまま進んでいく。むしろ周囲がそんな女の子にしていた。
どちらかというと奔放に育てられた深行と相性が悪いのも頷ける。
けれど泉水子はそんな殻を打ち破ろうと果敢にも外に出ていく。そこには深行と距離をおきたいという強い意志があったのだろうけれど。
最後には姫神をおろせる特殊な血筋であることも判明し、守られてるだけではなく外へと飛び出して成長が必要だと自覚するタイトル通り「はじめてのお使い」が実感できるお話。
まだまだわからないことだらけなので、このあと泉水子がどうなるのか、深行とどんな関係を深めるのか……気になります。
Posted by ブクログ
シリーズ全体を通しての感想。
高校生ぶり(?)に再読。読むと戸隠神社に行きたくなる。
恋愛要素強めだと普段読めないけど、これは面白く読める。和風ファンタジーは少ないのでありがたい。
早川先輩好き
Posted by ブクログ
山伏や神霊など、日本に古来からあると考えられている霊的なものをテーマとしたファンタジー作品シリーズの1作目です。
冒頭から中盤にかけては、物語の世界観や登場人物の人となりを描くことに重点が置かれていて、すぐには「面白い」と引き込まれる作品ではありませんでしたが、読み続けるうちに気づくと夢中になっていました。
設定こそライトノベルにありがちなものではありますが、文章としては軽薄な物ではなく、また登場人物の心情描写もしっかりとしていて読み応えもありました。泉水子が東京への修学旅行の際に感じるようになった、霊的なものについての描写も(私自身は感じられないので、この感想が的確なものかどうかはわかりませんが)リアルに描かれているように思いました。
運動も機会も苦手な主人公、泉水子(いずみこ)が山を出る決意をし、東京へと向かう次巻以降、どのような展開になるのか楽しみでもあります。
Posted by ブクログ
泉水子山から出る。
現代日本を舞台にした伝奇的な話かと思いきや、ぶっ飛んだキャクターがでてくるファンタジーでもある。
今巻ではひきこもり少女が社会と謎の組織と神霊の荒波に揉まれる話。
日本の神仏を扱う作品って、総じて地味で掴みどころが無く、種が明けても「え、あぁ、そうなんだ」くらいにしかならない。
読む側の知識量を試される感じ。(西洋ファンタジーはわかりやすくていいんだけど。(^-^;))
とにかくこの物語も『得体のしれない何か』に振り回される予感。
Posted by ブクログ
RDGシリーズの一作目。壮大な物語の序章という感じがした。
普通でいたい女の子に、様々なトラブルが降りかかる。学校のパソコンが全て壊れたり、ヘリコプターでのお迎えが来たり、てんやわんやに物語が進む。その中で「ゆれ」「女神」「封印」など、小さな謎が飽きの来ない間隔で随所に散りばめられており、期待が膨らんでいった。同時に、表は優等生、裏では泉水子を見下す、そんな二面性のある深行に歯噛みする思いだった。
修学旅行にて、いよいよ謎の核心に迫る部分は、得体の知れない追手の恐怖感から手に汗を握った。泉水子の正体が姫神の器であると分かり、周りの人達が大切に扱っていることに納得した。未来をも見通すという強大な力は、今後どうなっていくのか。泉水子と深行の関係も含めて、二作目以降も読んでみたい。
四章の「和宮」は背筋がぞっとするような存在で、クラスメイトの使役や正体を現した時の口調から、ひしひしとそれが伝わってきて良かった。
Posted by ブクログ
荻原規子さんが好きなので、基本的には評価を甘くしてしまいそう。けれども、好きだからこその厳しくみて、星3つ。
まだ一作目で導入部。設定やキャラクターを紹介していくだけで、話がどんどん進んでいく印象。少々鼻につくくらい個性あふれるキャラクター同士の人間関係が、これからどう描かれていくかが見物。
2018/8/22、再読。
初めてのときよりは面白く読めた。その後、続編が刊行されていったので、その1冊目ならこんなものだろうと期待せずに読めたからかもしれない。荻原さんは起承転結の結を支える登場人物の心情を描くのがうまい。本作でいえば、泉水子が和宮に舞を所望される場面がそうだ。「特別に意識する必要はないのだ。 わざわざ意図しなくても、泉水子がきちんと理解さえすれば、和宮には感謝の心ばえとして受けとってもらえる。」ここが丁寧に描かれているからこそ、転に説得力が生まれる。6年越しだが、先を読みたくなった。