あらすじ
2021年本屋大賞第1位。待望の文庫化。
【文庫化特典 スペシャルストーリー】
町田そのこさんの書き下ろし小説付き
52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そ
のためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。
〈解説〉内田剛
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
3年前にも読んでいたが、映画を見て再読
映画の印象を頭に抱きながら、読めた
虐待されていた主人公が、取り戻せない失敗を犯して田舎に、そこでまた虐待されている男の子と出会う
仲間には聞こえない周波数52ヘルツで歌う鯨の声を心の安定剤として、皆に聞こえなくても自分は聞いているよ、聞こえているよというアンさん(キナコを虐待生活から救う)
キナコの虐待の回想シーンは本当にかなしい
でもあってもおかしくないような描写、
キナコの親友(みはる)もとてもやさしい。悲しい人も多いけど、やさしく救われる人も多い
色々な感情が入り混じって一気に(2回目だけど)読めた
Posted by ブクログ
「内容が重たくて長い」と聞いて、ずっと先延ばしにしていたけれど、映画を観てしまったら、読みたい気持ちが強くなり読み始めた
とても良い本だった もっと早く読めばよかった
昌子さんと修治さん素敵すぎる!美晴ちゃんも!こんな大人が居たのに、声が届かないだけで出逢えない
52ヘルツのクジラは、どこにでも居るんじゃないかな
魂が涙した
本屋大賞受賞時に読もうと思ったのに、このタイミングになってしまった作品。
こんなに痛くて切ない内容だったとは…
人を助ける、人の役に立つってなんて大変なことなのかに気づかされ、自分の甘さを思い知る。
「魂の番」に私は逢えているのだろうか…
何度も読み返したい
いつまでも幸せでいて欲しい。寂しくなったときには私を思い出して、思いを叫んで欲しい。
与えられる人から与える人への変遷。誰かから守られることを、何かを与えられることを欲してきた結果、悲しい過去を経験した主人公はある1人の子供と出会うことで、少しずつ気持ちに変化が。
最後の場面で、守っていくのだと思っていた人から守られる場面は、人と人が支え合うその姿を表しているものかと。
何度も読み返したい、名作。
Posted by ブクログ
まず強く印象に残ったのはDVというテーマである。
主人公の貴瑚は、幼少期から母親にDVを受けて育ち、大人になってから付き合った彼氏からも同様の暴力を受けている。
その姿を通して、DV被害者が置かれる過酷な状況について深く考えさせられた。
特に印象的だったのは、DV被害者が自ら助けを求める発信をしない、あるいはできないという点である。
声を上げられない苦しさは、外からは見えにくく、気づかれにくい。
作中で象徴的に描かれる「52ヘルツのクジラ」は、その状況を見事に表している。
一部のクジラは鳴き声が低すぎて周囲に届かず、また周囲のクジラもその声を聞き取ることができない。
その孤独な鳴き声が52ヘルツだという設定と、貴瑚が誰にも助けを求められず孤立していく姿が重なり合い、胸に強く響いた。
この小説は、声を上げても届かない、あるいはそもそも声を出せない人間の孤独を丁寧に描いていると感じた。
一方で、貴瑚の行動や選択には理解しがたい部分も多く、読んでいて苛立ちを覚える場面が少なくなかった。
アンさんと良好な関係を築いていたにもかかわらず、主税とアンさんを引き合わせようとする行動は、通常では考えられない。
また、自ら妾になるという感覚も、私にはどうしても受け入れがたかった。
貴瑚は常に、一般的な常識とは異なる選択をし、その結果として不幸な方向へ進んでしまう。
その姿に「なぜそんな選択をするのか」と思いながら、イライラしつつ読み進めていた。
しかし後半になると、物語の雰囲気は大きく変わる。
貴瑚の置かれていた悪い環境が、周囲の人々の助けによって少しずつ改善されていく。
その過程を読むうちに、読書中の気分も次第に明るくなっていった。
前半の不幸な状況から徐々に抜け出し、人並みの小さな幸福を感じられるようになる描写がとても良く、心を打たれた。
苦しさが長く描かれていたからこそ、その小さな救いが強く胸に残り、「この小説を読んで良かった」と素直に思えた。
この作品を通して、私は「52ヘルツの声」に気づける人間でありたいと感じた。
周囲にいる、声を上げられず苦しんでいる人の微かなサインを感じ取れる存在になれたらと思う。(ちょっと言い過ぎかな)
また同時に、自分自身が辛いときには、勇気を持って発信し、行動できる人間になりたい。
この小説は、他者への想像力と、自分を救うための一歩の大切さを静かに教えてくれる一冊だった。
しんどすぎる。。。でも
主人公の虐待シーンや、どん底に堕ちていくが読んでいて本当に辛く、「そっちはだめだー!」と叫び出しそうになってしまった。胸が圧迫されて息ができない、そんな感じに似ている。
救いの手は差し伸べられているのに、沼の深くまではまっている人はその手に捕まることを躊躇する、振り払う。その手に捕まること、幸せになることは簡単なのに、その権利がないのではと思ってしまう。読んでいてとても辛かった。
でも不幸な呪縛から段階的に解放されていく主人公に、読後いつのまにか自分も不幸から解放されていたことに気づいた。