【感想・ネタバレ】52ヘルツのクジラたち【特典付き】のレビュー

あらすじ

2021年本屋大賞第1位。待望の文庫化。

【文庫化特典 スペシャルストーリー】
町田そのこさんの書き下ろし小説付き

52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そ
のためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。
〈解説〉内田剛

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人の声を全身で受け止めたいと思いました。
ひとにはそれぞれ孤独な夜があって、52ヘルツの声を必死に届けようとする夜があるのだと思います。わたしもその声を受け止められるようになりたいと思いました。
声が届くことの喜びを忘れないようにしたいです。

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2026年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わった後にこんなにもホッとした小説は他になかった。

主人公や「52」の境遇を知るにつれてどんどん気持ちがしんどくなった。
闇の中でただ苦しくて、気づけば洗脳に近い状態を正常だと思い込み苦しいことを苦しいと感じられない状態の2人を見ると本当に心が痛くなった。

そんな中で助け出そうとしてくれる人に出会い話は前に進む。

この小説はしんどいけど感動するしとても没入できた。
どんどん読み進めてしまいあっという間に終わってしまった。

誰かに紹介したい一冊です。

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2026年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなにも心理描写が繊細で美しいけど生々しく書かれている本って初めてだった。こんな本あるんだって衝撃を受けた。
自分の心の中にはあるけれどそれを誰にも届けることができない気持ちを52ヘルツのクジラと例えていて、美しく切ないなと思った。主人公の女の人は過去に恋人からひどいことをされたり、幼い頃に両親から虐待、ネグレクトを受けていて、大人になっても父の看病を強要されていて自由がなく、生きる希望を失っていた。そんなことがあってはいけないのに、そんな人が存在していることにショックを受けた。あんさんが途中まで何を考えていて、なぜそんなにも優しくできるのかがわからなかったけど、もともと女性で性転換して男性になったと知って驚いた。そういう人が生きづらい世の中って言うことを改めて知った。虐待を受けている子は、初めは人を恐れていて自分の本心を全く出さなかったけれど、どんどん主人公との関係値が深まっていくにつれて、自分の感情を表に出していて、繊細な心理描写だなと思った。

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2026年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

彼女の心は何回死んでしまうのだろうと思うほどに、今も過去もひどく苦しい思いをしているキナコの視点で最初から最後までストーリーが進み、彼女の心境の変化を感じやすい物語だった。

52ヘルツのクジラのような声もきっと誰かが聞いていて、受け止めてくれる。そう信じられたら素敵だと思った。

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2026年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

だいぶ重いテーマなのだが現在と過去に切り替わりながらストーリーが展開していくため、しんどいパートが長過ぎなくていい。
52ヘルツで歌うクジラの個体は一体しかいないということを初めて知った。
キナコは全ての縁を切って祖母が昔住んでいた田舎の家に移住する。田舎でも好奇の目にさらされる彼女は時折アンさんという恩人のことを思い出す。キナコは小さい頃から虐待を受けて育ち、社会人になっても自分を殴る義父の介護をしていたが、母親から1ミリも愛されていないことを実感し死を覚悟した時にアンさんとかつての友人、美晴と出会う。
二人のおかげで一人の人間としての人生を歩み出すキナコだが、なぜか一人で、お腹に差し傷を作って田舎に移り住んでいる。彼女はそこでしゃべることができない少年と出会い、彼にとってのアンさんになろうとする。

最初は結構ご都合展開のように感じた。無理やり子供を家に上げて雨に濡れていたからといっても風呂に連れ込むのはどうなのかとも思ったし、血縁者でもないのに育てられるわけないだろうとも思った。
でもなんだか終盤に、お互い足りないところを補い合おうとしている関係性に、何とも言えない感情が出てきた。アンさんの声は聞こえなかったけどアンさんと出会えたことで少年の声を聞くことができて、アンさんのことは救えなかったけど少年に手を差し伸べる度にアンさんのことを思い出す。切ないけど前向きな小説だった、一気読み不可避。

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2026年07月05日

ネタバレ 購入済み

魂が涙した

本屋大賞受賞時に読もうと思ったのに、このタイミングになってしまった作品。
こんなに痛くて切ない内容だったとは…
人を助ける、人の役に立つってなんて大変なことなのかに気づかされ、自分の甘さを思い知る。
「魂の番」に私は逢えているのだろうか…

#泣ける #共感する

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2024年04月25日

ネタバレ 購入済み

何度も読み返したい

いつまでも幸せでいて欲しい。寂しくなったときには私を思い出して、思いを叫んで欲しい。
与えられる人から与える人への変遷。誰かから守られることを、何かを与えられることを欲してきた結果、悲しい過去を経験した主人公はある1人の子供と出会うことで、少しずつ気持ちに変化が。
最後の場面で、守っていくのだと思っていた人から守られる場面は、人と人が支え合うその姿を表しているものかと。
何度も読み返したい、名作。

#泣ける

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2024年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

52ヘルツのクジラの逸話は、言わば物理的な孤独である。音声が他の個体に届かないために、コミュニケーションが取れない。

では本書の話もそうであるかと言われるとそうではないと思う。実際声が出せない愛という人物も出てくるが、社会的、精神的な孤独を抱えている人もいる。
孤独というのは、物理的な空間だけに留まるものではない。数えきれない空間、次元の中で、52ヘルツは存在する。

そして我々は物理的空間だけに住んでいるわけではない。言語体系や社会的地位、趣味嗜好などの数多くの次元に住んでいる。その中で一つでも、誰とも分かちあえないものがあったなら、孤独を感じることであろう。それが自分にとって大きなものであれば尚更である。

我々はどこかの空間で、孤独なのではないか。
キナコが住んでいたような田舎では人口が少ないため、それが顕著に出ていたのではないかと思うが、これは決して知り合いの人数で解決するものではない。

では、それを解消する魂の番、アンさんの言っていたそれは、人生の孤独を解消するものではないかと解釈できる。

ここで言いたいのは、魂の番を探せ、というものでもない気がする。魂の番があると思い続けること、声を上げ続けるべきなのではないかということが本書の主張な気がする。


キナコは最後、愛の魂の番を見つけたいと言っていた。それは彼を助けるための方便ではなく本心だろう。
キナコ自身のではなく、愛の魂の番を見つけることを切に願うのはなぜか?

人が住む空間には、当然ネガティブなものもある。
キナコと愛は、孤独という空間にて共鳴したのだ。
そしてネガティブな共鳴は、通常のそれとは逆の挙動を示した。愛を孤独という空間から解放したい。

そして一度共鳴した者は、相手が持つ空間にも開かれる。孤独を解消して新たな空間に連れていくことによって、自身も孤独から解放されるのではないか。

しかしこれは慎重に議論しなければならない。
キナコは、ただキナコ自身のために愛を孤独から救ったのではないと思う。もっと別の力学が働いたのではないかと思う。それはまだ自分には言語化できていない。

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2026年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

嘘っぽい、でも、他の人に薦めたい
そんな不思議な作品
なので自分の中で評価は難しく4点

詰め込んでるわりに、最後には綺麗にまとまってく、そこが嘘っぽいのか。
世の中そんなうまくいかんし、逆に人間そんなに弱くない。
作ろうと思って作った感じがしてならない。
そういうちょっとした気持ち悪さがある。
も、読んで色々考えさせるし、途中ぐいぐい物語に引き込まれていく瞬間もあり。
そういう意味で読む価値あり。

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2026年07月12日

ネタバレ 購入済み

しんどすぎる。。。でも

主人公の虐待シーンや、どん底に堕ちていくが読んでいて本当に辛く、「そっちはだめだー!」と叫び出しそうになってしまった。胸が圧迫されて息ができない、そんな感じに似ている。
救いの手は差し伸べられているのに、沼の深くまではまっている人はその手に捕まることを躊躇する、振り払う。その手に捕まること、幸せになることは簡単なのに、その権利がないのではと思ってしまう。読んでいてとても辛かった。
でも不幸な呪縛から段階的に解放されていく主人公に、読後いつのまにか自分も不幸から解放されていたことに気づいた。

#癒やされる #泣ける #ドロドロ

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2025年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良いと言えば良い。中学生くらいの子に勧めたい一冊だと思う。
以下ネタバレありの雑記。

◯「魂の番」という考えに疑問がある。琴美の父である品城先生などは、読者の視点からは魂の番に出会えているとは到底思えない。しかし本人の中では、少なくとも琴美から見放されるまでは、そういう絆を感じていたのではないだろうか?もっと遡れば、元妻の晶子にだって、絆を感じていたはずだ。キコと主税のエピソードからもわかるように、「魂の番」とは、絶対的なものであるにも関わらず、あとから容易に覆るものであることがわかる。※絶対的に覆らないものが「魂の番」であり、主税との間のものは偽物だと言うだろうが、それは結果をみるまでわからないはずだ。
アンさんが、母親と決別したキコを慰める意味で「魂の番」という話をしたのはとても理解できるし、そのキコが、愛に対して、かつてアンさんにしてもらったのと同じように「魂の番」の話をするのは、感動的に思う。ただこの言葉は、キコ、主税、アンさんの間で起こった不幸の、きっかけの一つであるのではないだろうか。キコにとってこの言葉は呪いのようになったいるようにも見ることもできる。キコと愛の間で、呪いや不幸の再生産が起こらないよう祈るばかりだ。

◯トランスについて、作者の理解(キコの理解)がどの程度あるのか不明で、評価が難しいと感じた。「心が男性」という台詞は、トランスに理解がある人の使う言葉なのか疑問がある。※キコの台詞としては、自然な気もするので、なんとも言えない。
そもそも、故人とはいえ、同意なしに美晴にその話をしたことにも引っかかってしまう。故人の尊厳とは。
また、トランスであることが、ミステリー的なびっくり要素、種明かし的仕掛けになったいることについて、なんか嫌だなという気持ちになる。これは個人の感想ではあるが。

◯サチえさんの琴美への評価の言葉の中で「人は貰う側から与える側にならないといけない」という言葉があり、そうだろうなと思うし、納得もするけれど、少し思うところもある。成長の機会や環境というのは誰しもに平等に巡ってくるわけではない。そういう意味で、琴美は可哀想と評されていたし、それはそうだと思うが、物語の外側に行ってしまった琴美の幸せについて、どうしても、考えてしまう。彼女は物語の役割上、成長の機会を与えられなかったのだから。

◯物語というキーワードで、見ると、二つの視点で気になったことがある。一つ目は、キコたち登場人物が、自分の人生を物語として捉えすぎではないかということ。なぜそう感じたかは、上述の「魂の番」などから。また、「人を救うことが自分を救うことにもつながる」というのは素敵なメッセージだと思うし、良い考えだと思うが、人生の出来事に意味を付与しすぎることには、危うさが伴うと思う。それは、一歩間違えれば、キコの母親や、品城などの持つ不健康さ、悪辣さと隣り合わせなのではないだろうか。(キコの母親は、自分が愛人との間にキコをもうけたことを、血という物語に回収していたが、こういう不健康さが、人生の物語化にはあると思う)
また余談だが、「人を救うことが自分を救うことにもつながる」ということをキコがモノローグで全部説明していて、少し冷める。
二つ目は、キャラクターの心情と世界がリンクしすぎていること。代表的なものは鯨だが、嫌でもこれが小説であり物語であることを思い出させてしまい、没入感が削がれてしまう。主人公たちのための世界すぎる。その結果、琴美や品城など、物語の敵として登場し、成長の機会が与えられないまま、物語から排除されてしまったキャラクターのことが気になってしまう。


色々書いたが、全体的には良い小説だったんじゃないかと思う。

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2026年07月11日

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