あらすじ
彼は他人の心に入り込み、少しだけ他人の記憶を改竄(かいざん)する。しかし"ES"に悪意はない。ただ、心という不可視な世界で混乱と調和を弄ぶ。これは、"ES"としか呼ばれなかった青年・秋庭亮介(あきばりょうすけ)と、東鵬医大の研究員・九條未祢(くじょうみね)の物語――。
「……じゃあ、あなたは何なの? 何のために生まれてきてこの世に存在するのか―― 自分のことを明確に答えられますか?」
感情タグBEST3
脳のお話から
他人の脳(意識や記憶)を認知・操作できちゃう人間のお話。
遺伝子操作の過程で生まれた設定だそうだけど、お隣な国では盛んに遺伝子操作した人間を造ってますし、あながちない話でもないのかな、という印象(未解明と言ったら何でもふーんと通せそうな話ですが)
とはいえ、惣流冬美先生の美しい絵と、科学知識が盛り込まれたストーリーはSF的話しにも説得力と、現実感が出て、より一層面白さを感じさせます。
Posted by ブクログ
人の心を読み、記憶を操作する力を持つ青年シュロ。
彼が、唯一心を読めない女性:未祢。二人の出会いは、シュロの心の開放と同時に、二人が守ってきた平穏な世界の崩壊を招くのだ。
シュロは完全な人間を求めて行われた、遺伝子工学の「研究成果」なんですね。
にもかかわらず、研究者たちの善意の中で育ち、その能力(副産物なんだけど)を濫用することなく、市井に埋もれて暮らしているの。対してもう一人、同じように生まれたシュロという少年が登場するんだけど、こちらはひどい。むごい。
この二人の差に、やはり「愛情」という要素が大きく関わってくるように思えるのさね。
中に虐待ループにはまっちゃった親子とのエピソードがあるんだけど、合わせ鏡のように、本編と絡む見事な展開。かなり完成度の高いサスペンスだと思います。
作者の絵が、とにかく美しい。少女漫画の人はほんとに絵がきれいだもんね。
そこへきて、ハードなストーリー展開に、首から血がびゅっ!てな感じ・・・・日本人離れした人物の顔もあいまって、SFサスペンスの味わいが増しますです。
それから、遺伝子という未知であり、基本であるものをいじることへの畏れを感じずにはいられませぬ。
映画にしても面白そうだと思ったけど、アクションなんかのけれん味には欠けるので、ここは秀作コミックでストップして・・・・・・・ドラマだったら演出しだいでかなり面白くなるかも。そのときは是非シュロは竹之内豊で・・・・・・・*^^*。
静かな恐怖
この作者独特の落ち着いた美しい絵が不気味なストーリーの静かな恐怖を引き立てている。
作者の絵は初期のころとはかなり変わってきている。私は落ち着いてきているこの作品の方の絵がいいと思う。
Posted by ブクログ
『マース』で惣領さんを知りました。気になって、手にとりました。
ES、超能力とか、そういうもの。『わたしたち』は『めのまえにあるもの』を意識していて、それは『ホンモノ』なのか?
人の心にはいりこんで記憶を操ることができる青年・秋庭亮介と、どうしてもこころを読むことができない女性・九條美祢。
SF。愛情がキーになるんだろうなあ。美しい。まるまる読んで、世界観に圧倒されることが、いい。
Posted by ブクログ
『Mars』が究極の恋愛モノだったのに対し、次のこの作品はSF、しかも青年誌掲載ということで、びっくりしました。苦手な分野ながら面白く、作者の力量には驚かされます。
ありそうでなかったチートな能力
実は、ありそうでなかった記憶改竄能力を持った主人公の物語
作者の絵も神秘性を引き立たせ、次から次にページをめくらせます