あらすじ
「いつまた三人で会うのかのう、かみなり、稲妻、雨の中かのう」
――魔女の二枚舌の予言に操られて王を殺し、王冠を手に入れたマクベスは、破滅への道へと一瀉千里に突き進む。雷鳴がとどろき稲妻が光る急激の展開に、人間の情念の地獄が見えてくる。
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Posted by ブクログ
新しく出版されたマクベスの翻訳版。この方の翻訳は大好きなので、手に取りやすくなった版が出て嬉しい。
マクベス自体何度も読んでいるので、さくさくと読むことが出来たのだけれど、解説の中で、悲劇の中では短い部類に入ると知り、「確かに展開も目まぐるしく変わっていくよなあ」と納得。新たな領主になり、王の座を手に入れ、疑心暗鬼になり、身を滅ぼす……。アンダーグラウンドまっさかさまな単純展開だけれど、観客サイドに立つとこのくらいがちょうどよかったのかも(相手を考えると……なんて邪推?)。
シェイクスピアが生きていた時代の劇は、今みたいなきらびやかな舞台ではなく、背景は全て観客の想像にゆだねられていた。そのことを追体験することが出来る構成になっている翻訳者の配慮も良い。初心者向けではないが。
同じ出版社から出ている、対訳のほうでまた英文を参照しながら読みたくなった。