あらすじ
酸鼻を極めた薬師寺事件から、はや14年。時効を目前にした7月、蒼こと薬師寺香澄のもとに、謎の封筒が届いた。送り主は「響」、封筒の中身はただひとこと「REMEMBER」――。蒼は京介たちの手を借りずに、過去と向き合い記憶を辿り始める。『原罪の庭』の真相に迫る、「建築探偵シリーズ」最高傑作。ぜひシリーズ第5作『原罪の庭』もご用意ください。 (講談社文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
2010/8/12 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2016/11/25〜11/29
建築探偵シリーズ13作目にして、蒼の物語3部作の掉尾を飾る作品。5作目の「原罪の庭」で描かれた、薬師寺事件に端を発するもう一つのストーリー。原罪の庭はかなり前に読んだので、細かいところは忘れてしまっていたが、読んでいくうちに思い出した。本作で描かれる内容は結構衝撃的であるが、一番驚いたのは作者後書きで、シリーズ一作目で蒼を登場させた時、キャラが定まっていなかった、ということ。よくもまあ、そこからここまでのストーリーを築き上げたもんだ。
Posted by ブクログ
あ、そういえばこれミステリだったな、と最後の方を読んで気がついた。それくらい、蒼、というか香澄にシンクロして読んでしまった。読んでる間は苦しかったけど、読後感はすっきり。なのは、やっぱりちゃんとミステリだったからなんだと思う。蒼の葛藤やもだもだだけだったら苦しすぎた。
蒼はたくさんの人に愛されていて、それを自覚していて、でもだからこそ苦しくなることもあるだろうな。どんな状況でも、びっくりするくらいまっすぐでしなやかな蒼に、小城さんや響が向けてしまう感情は、きっと誰の中にもあるものだろう。
「不幸」というのは属性ではない。
蒼のような特殊な不幸も、誰にでも起こるありふれた不幸も、そのひとそのものとは関係ない。ありのままの蒼をみんなが愛している。特にカゲリの直球には涙が出た。
そして蒼の過去がぜんぶ、後から考えられたものだとあとがきに書いてあってびっくり!