【感想・ネタバレ】知らないと恥をかく世界の大問題6 21世紀の曲がり角。世界はどこへ向かうのか?のレビュー

あらすじ

戦後70年のいまを歴史に位置付けるとき!
シリーズ最新第6弾! 覇権、宗教、経済、資源……世界は大きな転換期を迎えている。深まる混沌と対立。世界は解決の糸口を見いだせるのか? 戦後70年、そして、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件から20年の節目に、21世紀のあるべき世界の姿を考える。世界を読み解くニュースの入門書。

過去は将来への道しるべ。歴史をひもとけば未来が見えてくる
◇大転換期を迎えた世界
◇大国アメリカの野望と世界への責任
◇ヨーロッパ、衝突の現場から
◇イスラムの台頭~文明の衝突は避けられないのか?~
◇人類共通の問題に立ち向かえるのか?
◇戦後70年を迎える東アジアの未来志向
◇突き進む安倍政権が目指すもの
◇21世紀の世界のつくり方

池上 彰:1950年、長野県生まれ。ジャーナリスト。東京工業大学教授。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年から11年間、「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年にNHKを退職し、フリージャーナリストとして、テレビ、雑誌など多方面で活躍。今さら聞けないニュースの本質をズバリ解説。2009年にスタートした角川新書『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズが大ヒットとなる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今知っておくべき世界の問題をまとめた一冊。池上さんの本は、平易な言葉で書かれているので読みやすくて好きだなー。最初のプロローグだけを読んでも、世界で起きていることのポイントが一掴みできます。ちなみに、2015年5月時点の本ですが、ギリシャのEU離脱の可能性についても触れられてたりしてます。

●シェールガスvsサウジ原油
・シェールガスを掘り当てたアメリカは石油を輸入せずに済むように。一方、アメリカに石油を輸出しまくってたサウジは増産攻勢をかける。増産することで石油価格は大幅にダウン、1バレル100ドルが40ドルまで下下落。
・シェールガスの採掘コストは40~80ドルかかるのに対して、サウジの石油は10~25ドル程度で掘れる。圧倒的コスト体質を武器に、価格攻勢をかけることで、アメリカのシェールガス産業は壊滅的ダメージを負う。シェールガスが掘れなくなれば、また石油を輸入して貰えるという腹づもり。
・また、石油の価格を下げることは、同中東で対立しているイランを困らせることにもなる(サウジはスンニ派、イランはシーア派)。イランは石油採掘コストが高く、1バレル40ドルでは利益が出ない。
・同様に、油田を押さえることで資金を稼いできた“イスラム国”の資金源を断つことにも繋がる。
・一方でアメリカは、サウジの原油下落攻勢を耐えている状況。原油下落はアメリカにとって打撃ではあるものの、それ以上にロシアの国力を削ぐことになっている。クリミア半島を強引に統治下に収めたロシアに対して経済制裁を発動中であり、ロシアが外貨をもっとも稼いでいた石油輸出を封じることが出来る。
・更には原油安により、産油国であり、反米国家でもあるベネズエラはキューバ―を支援出来なかくなった。後ろ盾を失ったキューバ―がアメリカに接近したという流れもある。

●イスラム国が生まれた背景
・ソ連がアフガニスタンに侵攻。当時はソ連vsアメリカ時代。アメリカはベトナム戦争でソ連のバックアップに散々苦しめられらた反感から、アフガニスタンで仕返ししようと考えた。
・アメリカと関係のあったパキスタンのスパイ組織ISI経由で、最新の武器をムシャビディン(聖戦士)にどんどん貸し与えた。結果、豊富なアメリカ武器を使いこなすムシャビディンがソ連の撃退に成功。
・ISIはアメリカの軍需物質の多くを間引いて自らの武装力をアップさせる一方で、長引くアフガニスタンの戦乱でパキスタンに移り住んでいたアフガン難民の若者に対してイスラム原理主義を徹底的に叩き込み、戦士として教育。これがタリバンとなっていく。
・ソ連撤退後、アメリカは興味を失い支援をさっさと打ち切りに。大国の関与が無くなったアフガニスタンは内乱状態に陥る。
・そんな内乱が続くアフガニスタンを今度はパキスタンが、タリバンを使って、侵攻。アフガニスタンを掌握する。一時的に治安は回復し、住民からも歓迎されるが、タリバンは恐怖政治を徹底、住民から反発をうけ、またもや動乱が広がっていく。
・一方で、この時期に、イラクがクエートに侵攻。イラクの侵攻を恐れたサウジがアメリカにヘルプを要請。アメリカがサウジに駐留。イスラム原理主義者の集団であるアルカイダは自国を米国人が闊歩するのが許せず反発。9.11のテロ事件を起こす。
・怒るアメリカは、アフガニスタンにアルカイダの引き渡しを要請するも、アフガニスタンは拒否。アメリカはアフガンに侵攻しタリバン政権を崩壊させるも、早々にアフガンから撤退し、イラク潰しに舵を切る。フセインを抹殺する。
・イラクはもともと3つの民族が入り乱れた国家だが、フセインが強権をもって1つの国にまとめ上げていたものを、アメリカがフセイン政権を崩壊させたことで、内乱が拡大、泥沼化していく。
・イラクに力を削がれているうちに、アフガンタリバン勢力が息を吹き返す。アフガンにも軍を展開させねばならなくなり、こちらも泥沼化。
・そうこうしているうちにアメリカはオバマ政権に交代、中東からの撤兵を決定。アメリカ兵が抜けたあと、治安は悪化、内乱が続いている。
・もともと民族・宗派の違いから争い事が絶えなかったエリアに、アメリカvsソ連の衝突が余計な火種を残し、大爆発しているのが中東。今でも、種火を消せずに、世界中がイスラム国のテロに脅かされる事態に繋がっている。

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2016年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2015年の32冊目です。

相変わらずの分かりやすさで、
最近の時事問題が解説されています。
中国の野望、中東イスラム圏の混乱、ロシアの孤立、アメリカの矛盾、、、。
世界は、高邁な理想への道のりを歩んでいるのか?
欲望と怨嗟と疑心をやりくりをしているのが現実なのか?
ふとそんな気持ちになってしまいます。

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2015年08月16日

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