【感想・ネタバレ】カラマーゾフの兄弟〈1〉のレビュー

あらすじ

父親フョードル・カラマーゾフは、圧倒的に粗野で精力的、好色きわまりない男だ。ミーチャ、イワン、アリョーシャの3人兄弟が家に戻り、その父親とともに妖艶な美人をめぐって繰り広げる葛藤。アリョーシャは、慈愛あふれるゾシマ長老に救いを求めるが……。【光文社古典新訳文庫】

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『罪と罰』に衝撃を受けて読み始めたけど、驚くことに、150年も前のロシアの物語の中に、今の自分の心と重なる部分があった。

※あくまで私個人の感想なので、人によって受け取り方は違うと思います。

ドストエフスキーは作中で安易に「神はいる、いない」と結論づけたりはしない。
「疑う心」を次男イワンに、「信じたい心」を三男アリョーシャや長老に託し、物語の中で本気で戦わせているように思う。
だからこそ、どちらも作者自身の血の通った本音としての圧倒的な重みがある。

​最近母を亡くし、あんなに頑張ってきた母の願いが最期に叶わなかった理不尽な現実への「なぜ」という問いが、ずっと棘のように心に刺さっていた。
「神様は本当にいるのか?死んだらどこに行くのか?」という感情と、「神様は存在しないのではないか。死後は無である」という理屈。
これまで特に信仰を意識してこなかったのに、葬儀で知った家の宗派のお経を母のために唱えたり、母に話しかけてしまう自分もいる。

そんな矛盾をずっと抑え込んできたけど、ドストエフスキーは、矛盾したままの人間の姿をそのまま差し出してくる。
「それでいいんだ」と語りかけてくるようで、今の自分の気持ちを丸ごと肯定してくれているように感じた。
苦手な「著者の押し付け」を感じないので、自然に自分の心で向き合うことができた。

子を亡くした母親に長老が寄り添う場面は救いだった。まるで自分も長老に話を聞いてもらっているような感覚になり、心が軽くなった。

もちろんストーリーとしても、キャラクターが一人ひとり濃くて面白い。
はっきりと個性が描かれる3兄弟に比べて、どこか得体の知れないスメルジャコフの存在が特に物語を際立たせていて気になる。
ミステリー好きとしては余計にその動向が気になって引き込まれてしまう。

ストーリーを追うだけではなくて、ドストエフスキーの魂が削り出されたような一文一文の裏側にある意味を考えながら読み進めたので、第1巻だけでも読み終えるまでにずいぶん時間がかかった。
この作品をこの時代に世に出したこと自体、ものすごいことだったのではないかと感じる。

Audibleの音声だけではとても理解しきれないので、光文社の新訳を本で読んでから、追いAudibleで聴いて、2回味わった。
光文社の新訳のわかりやすさにも、かなり助けられた。

まだまだ読みきれていないところばかりだと思う。それでも、この本に出会えた幸せを噛み締めながら、自分なりに第2巻へゆっくり進んでいきたい。
本+追いAudibleにて。

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2026年04月15日

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