あらすじ
大反響の「訳あり」お葬式小説、第三弾!
美空がスカイツリー近くの小さな葬儀場「坂東会館」に入社して二年。訳あり葬儀ばかり引き受ける葬祭ディレクター・漆原の助手をしながら、研鑽を積む日々だ。
繁忙期前のある日、坂東会館に社長の甥、小暮が入社する。彼が推進する効率重視の業務改革に対し、反発する美空たち。だが、やがて小暮の信念の源もあきらかになり……。
火災で祖母と孫を亡くした家族、夫の遺体を焦るように群馬から東京へ搬送した妻、母の葬儀に離婚した父を呼ぶかで苦悩する年若き兄妹──
「別れ」と懸命に向き合う人々の姿に、あたたかな気持ちと涙があふれるお葬式小説、第三弾。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『ほどなく、お別れです 思い出の箱』 の文庫版となります。
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Posted by ブクログ
一作目と二作目を連続で読み、なせだか間に違う本を挟み三作目を読んだ。一作目、二作目と同様にやっぱり定期的に涙が出るシーンがやってくる。電車の中でまた何度も泣いてしまいました(鼻水もじゅるじゅる)。最近電車の中で泣くのもなんか全然気にならない笑笑。きっとやばい奴に見られるてるんでしょうね。一番泣いたシーンは、小暮さんの奧様が亡くなっていたところです。でも途中のところどころ美空とのやりとりからなんとなく“それ”は予測はできていました。でも!いざその小暮が“それ”のことを言ったところに差し掛かった時は、もう涙が止まらなかったです。。
でもなんかこの小説は爽やかなんです、死を扱ってるのに爽やかなんです。なんなんでしょう。
極め付けは、エピローグの葉桜花見の宴会のシーン。ここもやばかった、めちゃ泣けた。でも悲しくて泣けるのとも何か違うのです。小暮が奧様の死のことを語っているのに、強烈なまでに“爽やか”に描かれている。“爽やか”過ぎて泣けてくる感じ。きっとそれは坂東会館のキャラみんなが死を爽やかにさせる存在なんだと思います。自分の大事な家族の死に直面した時のことを思わず想像してしまいます、、、果たして自分はどんな感情を抱くのか?こうして“区切り”をつける事ができるのか?
Posted by ブクログ
シリーズ第三弾。
美空と漆原のコンビは今回も健在。
また、新しく入った小暮のやり方に翻弄される坂東会館のスタッフたちの様子が描かれている。
後半では小暮の過去にも触れられているが、小暮や漆原が人生の中で大切な人を亡くした経験が、葬祭ディレクターの仕事にも生かされて深みのある言葉になっているんだろう、と感じた。
美空の今後の成長も楽しみだし、このシリーズのファンになっている自分に気づかされる♪
椎名さんと陽子さんの結婚も地味に嬉しい!笑
続編が出たらいいなぁーと期待。
Posted by ブクログ
「じゃあ、小暮さんにとっての一番大切な人は、やっぱり奥様なのですか」
「もちろんです。僕は時々考えてしまうんです。祖父母に親兄弟。血のつながりによる愛情は、絶対で尊いものですが、それはけっして自分の意思で選んだものではありません。ですが、伴侶となれば話は別です。お互いの意思でむすばれた相手こそ、唯一無二のものだと思いませんが?そんな相手に出会うことで、より深く死別の悲しみを理解できるようになるのではないかと」
「僕たちって、何げなく未来のことを口にしますよね。また、とか、いつかって。でも、僕たちが相手にするのは、大切な人との『また』がない方です。僕は、その絶望的な悲しみが分かる葬儀屋でいたいと思っているんですよ
坂東会館の屋上で、小暮さんにスカイツリーがてっぺんまで見えることを教えられた時、いつか、漆原にも教えてあげたいと思った。そして、いつか、漆原と眺めたいとも。そう考えるだけで、何やら心の奥がふわっと温かく、幸せな気持ちになれた。「いつか」とは、きっとそういうことなのだ。少しだけ未来の、ささやかな楽しみ。それが私たちにとって、かけがえのない支えになる。