あらすじ
この葬儀場では、奇蹟が起きる。
夫の五年にわたる闘病生活を支え、死別から二年の歳月をかけて書き上げた「3+1回泣ける」お葬式小説。
大学生の清水美空は、東京スカイツリーの近くにある葬儀場「坂東会館」でアルバイトをしている。坂東会館には、僧侶の里見と組んで、訳ありの葬儀ばかり担当する漆原という男性スタッフがいた。漆原は、美空に里見と同様の“ある能力”があることに目を付け、自分の担当する葬儀を手伝うよう命じる。漆原は美空をはじめとするスタッフには毒舌だが、亡くなった人と、遺族の思いを繋ごうと心を尽くす葬祭ディレクターだった。
「決して希望のない仕事ではないのです。大切なご家族を失くし、大変な状況に置かれたご遺族が、初めに接するのが我々です。一緒になってそのお気持ちを受け止め、区切りとなる儀式を行って、一歩先へと進むお手伝いをする、やりがいのある仕事でもあるのです」--本文より
※この作品は単行本版『ほどなく、お別れです』として配信されていた作品の文庫本版です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
葬祭場でアルバイトをする清水美空。
彼女には産まれる前に亡くなった姉、美鳥がいつも側で見守っていた。
バイト先の訳ありの式を担当する漆原とお坊さんの里見とのやりとりも良かった。
色々な思いをもったまま気持ちの整理のつかない亡くなった人、家族の思いをくみ取り旅立つ手伝いをしていく。
読み終えたあとは最後には心がほっと温まる話でした。
Posted by ブクログ
葬儀は死者のためだけに行うのではなく、
亡くなった大切な人を想う人達が前を向くきっかけを作る為に行っているものでもあるということを
この本を読んだことでめちゃくちゃはっきりと感じることができました。
本当に大切にしていた人と“もう二度と顔を合わせることもできない”“相手の温かさを感じることもできない。”いつでもどんな時でも隣にいた人が居なくなった悲しみはきっと測りきれないほどのものだと思う。その状況を想像して自分と重ねて読んでいると物凄く同じくらい辛い気持ちになりました。
しかし、ずっと悲しみに埋もれるままではダメで、
前を向かないといけない。
もう居ないことを認めないといけない。
とても切ないのに心温まる。そんなお話でした。
次作も凄く気になりました。
Posted by ブクログ
葬儀とは、死者のために行われるものであると同時に、生者のためのものである。〜死者となったその人と別れたことよりも出会えたことに意識を向けることで、前を向き、明日へと一歩踏み出すきっかけを作るのだ。
解説に書いてあるこの言葉に共感した。
もっとしんみりしたお話かと思ったが、読後感はさわやかで、ほのぼのしている。
それはやはり、死者たちが里見さんや美空のお陰で納得して旅立っていったからだと思う。
でも、後に残される生者は、それでも前を向いて長い人生を歩んでいかないといけないからやっぱり辛いなー(36歳で夫と死別した私の独り言です(涙))
Posted by ブクログ
主人公が葬儀場のホールスタッフとしてアルバイトをしている話。
祖父を亡くしたときのことを思い返しているような話。
主人公の上司が「葬儀は死者にとっても遺族にとってもきちんと区切りになる式をするのが俺の仕事だ」と言っていた。葬儀を体験した身をして、本当にその通りだと思った。祖父を亡くしたとき、何かしてあげられることがあったのではないかという後悔の念が押し寄せてきた。でも死者には何もしてあげることができないからこそ、葬儀を行い、区切りをつけて前を向くことが大切だと改めて思った。
Posted by ブクログ
葬儀場という、人の死を見送る場所。そして、遺された人達が生きていくための、区切りをつける場所。
後悔のない別れなどないだろう。死は突然訪れ、いつだって近くにあるものだ。だからこそ、生きている今を大切にしたいと、改めて思わせてくれる作品だった。
大切な人の死がもたらす哀しみは、他の何にも癒されるものではない。哀しみに暮れ、自分が生きる意味を見出せなくなることもある。本作は、最後のお別れを哀しいだけのものとして扱うのではなく、遺された人が少しずつでも前を向けるような別れ方を教えてくれる。
別れを哀しむよりも、出会えたことに感謝をする。だからこそ、その時に少しでも後悔のないよう、大切に時間を過ごす。当たり前のことを忘れないでいたい。