【感想・ネタバレ】開かれたとびら  小説現代特集アンソロジーのレビュー

あらすじ

*本作品は、「小説現代」二〇二二年五・六月合併号に掲載された「BL出身作家が描く新しい物語 特殊 開かれたとびら」を電子書籍化したものです。

愛とはなに? 幸せはどこに? 私たちは、なぜ、行きづらさを感じるのだろう。
切なさがある限り、物語は生まれ続ける、永遠に。
魂の叫びと、寂しさの根源を書き続けてきたBLジャンル出身の作家たちが描く、新しい文芸小説。

凪良ゆう「汝、星のごとく」(前編)
華藤えれな「アディオス・ノニーノ」
木原音瀬「考察」
砂原糖子「ある世界」
丸木文華「あやか」
ひらりさ 評論BL論「そこはただの温室ではない」

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やっぱり凪良ゆうは良い

初めて文芸雑誌のようなものを読んだ。
凪良ゆうが好きすぎるのもあるし、何よりもBL作家による非BL作品の特集というのに惹かれた。

BL作家に「普通」から少し外れてしまった息苦しさに寄り添っているのがいい。
半沢直樹のような、分かりやすい苦しさではなくて(そういった作品も面白いんだけど)、幸せに生きているはずなのにどうしてだか感じてしまう息苦しさを丁寧に掬い取って、少しの希望を見せてくれるようなそんな世界観が本当に好き。

凪良ゆう「汝、星のごとく」は、やっぱり凪良ゆうの書く小説に共通する苦しさと暖かさがあって良かった。
毎日のように後編まだかなと待ち望んで、先日やっと後編が出たから早く読みたくてうずうずしてる。でも同時に、この先どうなるんだろうという恐怖心もある。
(そして同時に、「こんな良い小説を雑誌時代から知っているんだぞ!」という優越感もチラリ)

他の連載小説は初めて読んだ作家さんばかりだったけど、どれもなんともいえない苦しさに満ちていて、それがかえって心地よかった。YouTubeのアイコンと赤い爪…。恐怖…。

BL評論もなんとなく考えていたことが綺麗に言語化されていった。ふんふん。面白い。

「美しい彼」対談は、普段小説からしか読み取れない凪良ゆうの考えに直接触れられて腑に落ちることが多かった。「分かり合えない」ことを「分かる」という考えは、じんわりと心に沁みる。
ドラマも見てみたいなぁ。


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2022年07月03日

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