あらすじ
願いのことばを唱えてナルニアへきた少女ジルは、行方不明になっているリリアン王子をさがすよう、アスランから命じられます。級友のユースチスや泥足にがえもんといっしょに、北へ北へとつらい旅をかさねます。
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Posted by ブクログ
再読。
『ナルニア国物語』第4巻。第3巻から70年後のナルニアを舞台に、ユースチス、ジル、泥足にがえもんたちによる、カスピアン王の息子・リリアン王子の救出劇を描く。
アスランからの指令を尽く間違えながらも、悪戦苦闘して先へ進む3人の道行きが面白い。
巻を増すごとに物語の完成度も上がっているように感じる。
‘地上世界は存在せず、ただの夢であり、この世には自分が統べる地下世界しかない’と催眠をかける夜見の国の女王との舌戦が印象的。
泥足にがえもんの切る啖呵、
「よろしいか、あたしらがみな夢を見ているだけで、ああいうものがみな(中略)頭のなかにつくりだされたものにすぎないと、いたしましょう。だとしても、その場合ただあたしにいえることは、心につくりだしたものこそ、じっさいにあるものよりも、はるかに大切なものに思えるということでさ」という台詞は格好良い。またそれは字義通りの意味に留まらず宗教(キリスト教)的な告白にも聞こえる。
同じ長台詞の中の「あたしは、アスランの味方でさ。たとえいまみちびいてくれるアスランという方が存在しなくても、それでもあたしは、アスランを信じますとも。あたしは、ナルニアがどこにもないということになっても、やっぱりナルニア人として生きていくつもりでさ」という言葉もまた同様に、信仰への確信が重ねられているようで興味深い。
Posted by ブクログ
前作ですっかり成長したユースチスが活躍します。いじわる癖は抜けきっていませんが、空想や冒険に浸りがちな他のキャラクターと違って「現実主義」的な部分が全体的な良いアクセントになっています。
沼地を越え、荒れ地を越え、巨人のくにをくぐりぬけ、地底の国にいたる、他の巻にはない長い冒険が繰り広げられます。手に汗握る展開が多く、全7巻のうち、冒険物語としては一番完成度の高い巻だと思っています。
Posted by ブクログ
ルーシーにかわって登場する女の子は、いじめられっ子で少し意地っ張りなジル。この子がまたかわいいんだなあ・・・・
ユースチスとジルはいじめっ子に追われているうちにナルニアへと導かれていきます。
そして、アスランの命により、2人は行方不明になったカスピアンの息子、リリアン王子を探しに行く旅にでかけます。旅の道連れは少し悲観主義な沼人、泥足にがえもん(このキャラクターがまた秀逸)です。
巨人たちの国を超えて、3人が行き着いたのは、狡猾な魔女が支配する地下の国。そこにいたのは銀のいすに腰掛け、呪いをかけられたリリアン王子の姿でした。そして彼らもまた魔女の誘惑に心を奪われてしまいますが、それを救ったのは・・・・?
登場する子供たちは旅の途中で様々な困難と誘惑に襲われます。ちょうど現実世界と同じように・・・うまくいかないことだらけ。だけど、そんな彼らをいつも見守っているのが偉大なるライオン、アスランです。
物語の最後に、人間としての一生を終えたカスピアンがあることを願います。それはとても素敵な決断です。
Posted by ブクログ
ナルニア国物語の4つ目の話。一日30~40ページずつ、ゆっくりと読みました。心理描写に重きを置き、主人公である子供たちの成長をじっくりと描く、ルイスの技法を味わっていきました。
今回の話は、前回初めて登場したユースチスとその友人の女の子ジルが主人公。なんだかよろしくない新教育が学校に取り入れられる中、これまたよろしくない級友たちからいじめられるジルとそれを庇い逃げるユースチスが、扉をくぐり逃げてきたところがナルニアだった。前回の冒険から数十年がたった、カスピアン10世の末期の頃。魔女が現れ王子リリアンをかどわかし、連れ去り数年がたった時であった。その王子を探しに、ユースチスとジル、そして沼人の泥足にがえもんが冒険をする。前回ヘタレだったユースチスが主人公ということもあり、今まで以上に危なっかしい道中。泥足にがえもんも決して頼りになるパートナーではないので、ハラハラもひときわである。しかしそんな彼らも、なんとかアスランの導きを頼りにリリアンのもとにたどりつく。
見どころは魔女との闘いで、泥足にがえもんが魔女に怒鳴りつけ、まくしたてるところ。用心深いばっかりの気弱が、勇気を抱く瞬間である。相変わらず戦闘描写はあっさりだが、それよりも世界の描き方、登場人物の表情の豊かさがナルニアらしい。それまで魔女に使われていた地霊たちが解放され飛び回り跳ねまわる姿は、私の頭の中でもかわいく転げまわる。ルイスらしい愛情あふれた言葉たちがここにも詰まっている。
アスランの登場がいよいよ象徴的になってきている。イエス=アスランは子供たちを導く。現代と、ナルニアに起こる終末に向かって。
13/9/25
Posted by ブクログ
とにかく、泥足にがえもんがよかった!
ネガティブで心配事ばかりしていると思えば、ここぞというときには誰よりも勇敢で頼りになって、とってもかっこよかったです。
かっこよくないのに、というギャップがいいです。
最後の「いくらあたしがきりょうよしだからってね。」のところが本当にかわいくて笑ってしまった。
物語はと言えば、面白かったんだけど、ちょっと失速したような気もしないでもないような。
ジルが微妙だったかな…ユースチスが成長してたのは嬉しかった!
もう少し見せ場があってもよかったのに!
14章の「この世の奥底」の、穴からいろんなひとたちに引き上げてもらうシーンがとても好きで何回も読みました。
挿絵もかわいい。お茶持ってくるフォーンや、あんまり役に立ってなさそうなリスたちや、みんなにこにこして働いてる姿がいい。
そのあとの美味しそうなごちそうも良かった!
ごはんをいただく、という喜びって人間の根本的なものなんだなぁと思いました。
あと、いくつか疑問点も。
・ものいうけものは食べたらだめで、ものいわないけものはいいの?(よく考えたら確かに前からハムとか食べてたけど)
・ジルとユースチスは洋服をどうしてそのまま持って帰れたのか
・帰るタイミングを選べたのは初めて?
これから明かされていくのかな〜。