あらすじ
月十万円で、心穏やかに楽しく暮らそう! ――キョウコは、お愛想と夜更かしの日々から解放されるため、有名広告代理店を四十五歳で早期退職し、都内のふるい安アパート「れんげ荘」に引っ越した。そこには、六十歳すぎのおしゃれなクマガイさん、職業“旅人”という外国人好きのコナツさん・・・・・・と個性豊かな人々が暮らしていた。不便さと闘いながら、鳥の声や草の匂いを知り、丁寧に入れたお茶を飲む贅沢さを知る。ささやかな幸せを求める女性を描く長篇小説。(解説・岸本葉子)
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Posted by ブクログ
疲れた時、頭を使いたくない時、群ようこの本は「休んでいいじゃん」と寄り添ってくれる。
『れんげ荘』も、紹介文を読んで「こんな生き方もいいな」と思い読み始めたけれど、実際の住環境は想像以上に過酷だった。
……それはそうだ。
洋服がすごく好きなので、洋服を「物々交換」する場面には、ものすごくワクワクした。
キチキチとした節約生活ではなく、姪にポンとプレゼントできるような心の豊かさも素敵。
お隣さんとの、近すぎず遠すぎない付き合い方にもほっとする。
シリーズの積読も、少しずつ読み進めていくのが楽しみ!
Posted by ブクログ
〈備忘録・ネタバレあり〉
大手企業に勤める独身実家暮らしのキョウコは、働き詰めの毎日に疑問を感じ、周囲との付き合いにも嫌気がさしていた。そんな中テレビで見たアメリカ人女性の早期リタイヤ生活に感銘をうけ、自分もそれに向けた計画を開始。45歳でついに早期退職を実現し、貯蓄から月10万円で無職の生活を楽しむ第2の人生をスタートする。キョウコが初めての一人暮らし先に選んだのが、家賃3万の古アパート〝れんげ荘”だった。
長年に渡りあまりに多忙な会社員生活を送ってきたため、突然手にした暇に戸惑い、不安を感じながらも、少しづつ自分の生活を確立し喜びを掴んでいく。
かつては当然のように10万以上の服やバッグに身を包んでいたキョウコが、れんげ荘の生活に馴染むにつれ、隣人クマガイさんのお下がりの洋服に心踊るようになる。
れんげ荘での生活は、寒暖や湿気、虫の出現や鳥のさえずり、草木の匂いなどで季節の移ろいを体感できる。初めは奮闘したりくじけたりしながらも「本来人はこうやって気候の変動に感謝したり当惑しながら、折り合って暮らしてきたんだよなぁ」と思えるようになる。不動産屋の主人がストーブをくれるなどの交流も暖かみがある。
レイナがこの部屋を気に入ってくれたときは、自分のことのように嬉しくなった。自然を身近に感じる気持ちよさもあるだろうけど、部屋そのものがキョウコの質素ながらも豊かな人生を現していたからじゃないかなと思う。小さな幸せや苦難ひとつひとつに目を向けて、しっかりと「生活」をしているところがいいなぁと思った。
私もこの生活に心から憧れる。
私の価値観では仕事は生き甲斐では全くなく、それなのに残業代が出ない中残業し、同僚や人間関係にストレスを感じ、通勤に往復数時間かけ、平日はただ帰って食べて寝るだけの毎日を10年以上も続けてきた。人生を蝕まれている気持ちを見ないふりしてきた。
そんな中コロナ禍で在宅や休みが増えた時期は、不謹慎ながらも毎日幸せを感じた。私は他者に気持ちを振り回されることなく、自炊して美味しいお酒を飲んだり、読書したり、散歩したり、ただただ静かに生活がしたかったんだと気づいた。
この先歳をとれば、このれんげ荘生活も不都合や想定外のトラブルにも見舞われるだろう。そんな時にキョウコたちはどう対処するのか。
今作はれんげ荘生活をスタートしたばかりの時期を描いたものだが、シリーズがたくさん出ているので、他も読んでキョウコのこの先を見てみたいと思った。
(読みながら「凪のお暇」がちらついた。あれもちょっと似た話だったなぁ。母が毒親のところも同じ)
Posted by ブクログ
私も現在仕事を退職し海外に住んでいるので、何もしないで家にいると今までのことやこれからのことをついつい考えてしまってのんびり出来ないというキョウコの気持ちがよく分かります。でもこの物語のそんな時もあっても良いんだという、ありのままを肯定する雰囲気に少し励まされました。どんな生活であっても、自分が楽しめているのかが一番大事なのだと改めて気づかせてくれました。