あらすじ
薬剤師として働く空洞淵霧瑚(うろぶちきりこ)は、自身が専門とする漢方と現代医療の狭間で苦悩していた。そんなある日、病院からの帰り道で不思議な少女に出会う。「幽世(かくりよ)の薬師様、お迎えに上がりました」――気が付けば、そこは携帯の電波も届かぬ異界であり、さらに、謎の感染現象に苦しむ人々が溢れていた。これは病か。あるいは、怪異か。現役薬剤師が描く漢方×異世界×医療ミステリー、開幕!
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Posted by ブクログ
現世で漢方薬の薬剤師だった青年、空洞淵が幽世に招かれてしまったお話。
このお話での「幽世」は、
妖怪や物の怪、異能を持つ人間を現世から切り離した世界ということらしい。
その幽世の創造主ともいうべき三つ目の美少女金糸雀は先読みの力があるものの、
自分の妹、月詠の動きだけは読めず、
その月詠の招きで(悪だくみで?)空洞淵は幽世に連れてこられてしまった。
いきなり白髪の鬼に襲われそうになったものの、
金糸雀にはなぜか気に入られているし、
預けられた先の巫女姉妹は、
姉は美人で、妹はかわいらしく料理も上手い、
薬剤師として働ける打ち捨てられた薬局もあると、
さすがに都合良すぎでは?
吸血鬼になるという「病い」に苦しむ人々のために、
その原因だと疑っていたヒ素の入ったおしろいを一気飲みする根性は買うけど。
この世界の要、「人々の認識が現実を書き換える」というところが、
ちょっと難しくてついていけなかった。
病は気から、が実際に病気になるってこと?
子供たちが口裂け女の噂話を信じると、口裂け女が実際に動き出すってこと?
卵もないのに鶏が生まれるってこと?
よくわからなかった。
Posted by ブクログ
知念さんの「天久鷹央」シリーズが好きなので、帯に知念さんのコメントが書いてあり、釣られて買った。正直リアリティ薄そうと舐めてた。でも、この世在らざるものとの共存、その中での言葉の言い回しがわかりやすいが、複雑でとても楽しんだ。特に薬師の彼が人々のためにおしろいを自ら飲み込み危険性を示した、その場面の彼の命をかけてでも誰かを守ると言った異常なその行動が心に響いた。できないから、非現実的だから諦めるのではなく、できる最大限を尽くすその姿がカッコよかった。