あらすじ
「食と酒」小説の名手が贈る、心温まる居酒屋の物語
新小岩の居酒屋・米屋は気の利いたつまみとおかみの人柄で悩みを抱えたお客も癒されるのだが、じつはとんでもない秘密があって……。
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Posted by ブクログ
ちょっとしたおつまみに気取らない酒の肴。どれもが美味しそうで、ほどよくお酒が進みそう。そんな素朴な居酒屋を人の好さそうな女将が営んでいるのは、下町のレトロな繁華街。この女将、実は30年も前に亡くなっているのだが、本人はその事実に気づいていない。といって魂が彷徨っているのではなく、元気に明るく実体(?)を持って働いちゃっているのだから恐怖も哀れみもまったく、ない。
このお店は霊界ではなく異世界に存在しているようだ。(そんな感じのニュアンスを著者も巻末で明かしている)なんらかの波長が合った現代(女将の世界からみれば30年後)の悩みある客がふと、たどり着き腰を落ち着ける。女将と話をするうちに心が晴れ、自分のやりたかったことを思い出し、自信を取り戻していく。聞き上手な女将が素敵!女将は女将で客から洋風の料理を聞いたならすかさずレパートリーにしたり、知り得た情報を必要とする別のお客さんにそれとなく伝えたりと、実に素晴らしい働きをする。いとも簡単に時空を超えつつ四方まるく収まるのがすごい。
著者様の手腕が唸る素敵で不思議な物語。シリーズ化してるんですね。嬉しい!ゆくゆくは実写化も希望!