【感想・ネタバレ】ラバウル烈風空戦録15 逆攻篇のレビュー

あらすじ

蒼穹を飛ぶ後退翼の新型機――機材受領のため三菱の鈴鹿工場に赴いた風間上飛曹がまみえたこの戦闘機こそ、連合軍の侵攻を押し返す主力となるべき噴進式艦戦「閃風」であった。だが、1944年暮れの東南海地震と翌年1月の三河地震により、東海地方の航空機産業はほとんど壊滅。急遽機体を疎開させた風間を待っていたのは、思いもかけない新任務だった。一方、米軍の怒濤の攻勢を前に、海軍は太平洋の絶対国防圏を死守すべく、開発なった長距離音響追尾魚雷「回天」を前線に投入するが……。

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Posted by ブクログ

史実とは異なる展開を辿った太平洋戦争を、
年老いた元撃墜王の回想録という形式で描いたSF戦記。

ただ、SFとはいえ、
時代背景や国家間の関係、戦闘機や戦艦、地形など、
実際の歴史に則した部分も多々あるので、
ただの読み物としてだけでなく、
歴史本として読むこともできると思う。

数々の若い命が、
瞬きをするに等しいあっけなさで消えていく。
でもそれは彼らにとっては当たり前の日常であるどころか、
戦闘機搭乗員である彼らの運命であり名誉でもある。
らしい。

確かに戦時中は、「お国のため」という言葉で
すべてが片付けられていただろうし、
そういう教育が施されていたのだから、
当然といえば当然かもしれない。

でも、仲間が戦死した時には泣きに泣き、
上官を守るために身を挺して盾になったり、
抵抗不能になった敵機を撃墜することを躊躇したり、
そういった人間らしい感情が、
失われていないことにホッとした。

そして、そんな若者を、
ただの使い捨ての駒のように死なせていった軍司令部、
いや、時代というものに、静かな怒りを感じた。

何をどうしようと、この戦争には負けていただろう。
でももし。
この戦争で亡くなった、
男気溢れる、優秀な方たちが生きていたら。

現代の日本は、今とは少し違うものになっていたんじゃないか、
なんてことまで考えてしまう。

歴史に「もし」はありえない。
作者が本編中で何度も使ってる言葉だが、
それでも考えずにはいられない。


☆☆☆★ ホシ3.5つ

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◎15巻まで出版されているが、未完。
 個人的には10巻までが勢いもあるし、面白く読めると思う。

◎『翼に日の丸』という作品で再編、加筆し完結したらしい。

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2010年02月14日

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