せひらあやみのレビュー一覧
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ネタバレ3巻目ですが最終巻です。
父と兄の熱烈な引き留めを振り切って、やっと結婚式をあげるためにアロイスの国レムシュテッドに向かった2人ですが、道中的に襲われ、やっとたどり着いてアロイスの父王に謁見したときには、得意?の毒舌が出ちゃってます。
父と兄との確執は予見していたとおりでしたけど、これまでオレサマだったアロイスが、クリスタの気持ちを疑って自ら別れを切り出したりっていうのは、予想外でした。
ただ、クリスタはやっぱりちょっと八方美人すぎるかなぁ。
アロイスのためとはいえ、嫌いな猪突猛進娘になってて、それでピンチに陥ったり、アロイスに疑われたりしてたのは、自業自得というか。
おとなしく寝とけば -
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“頭から血の気が引く音を、クリスタは確かに自分の耳で聞いた。すべてを思い出すと、クリスタは腰かけさせられた長椅子にがくっと身を伏せた。
「ああ——。思い出したくなかった……!」
「でしょうねえ」
あっさりと頷いたビアンカに、クリスタは泣きながらしがみついた。
「私、やっちゃったわ!やっちゃったの、毒舌!吐いちゃったのよ、思いっきり。それも、アロイスのお父さまのダーウィト陛下と、お兄さまのジークフリート殿下に。なんてこと!そりゃ確かに、あの二人の態度には腹が立ったけど。アロイスのお父さんとお兄さんじゃなかったら、張り倒してやりたいくらい……。ううん、ぶん殴ってやりたいくらいだったわ。でも、これか -
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“「クリスタ!素晴らしいダンスだったね。次は私と、踊ってほしい」
そう声をかけてきたのは、笑みを浮かべたフィリップだった。視界の端でアロイスがむすっとしていることに気づいたが、断るわけにもいかない。クリスタは頷いて、フィリップの手を取った。フィリップはフィリップで、アロイスからもぎ取るようにしてクリスタを離れた場所まで連れ出した。
もしやアロイスを挑発しているのかしらと危惧しつつ、クリスタは兄に言った。
「このような祝宴を開いてくださり、本当にありがとうございます。フィリッ……。お兄さま」
「いいや。兄として、当然の務めだ。前にも言ったろう?君のためにできることは、なんでもしてあげたいんだ。僕 -
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“「否定はしない」
「うう……」
「だが、誰にでも平等に毒舌を吐くという点は評価できるぞ」
「え?」
「権力者に媚びることがないというのは、悪くない。誰にでもできることではないからな。お前は、この俺に対しても態度を変えないではないか」
褒められたと思ったら、やっぱりけなされていたようだ。クリスタはますます落ち込んだ。
(どうせ、私なんか……)
「お前は、俺の父や兄にも物怖じしないんだろうな。奴らに会わせてみたいと思う人間は、お前が初めてだ」
独りごちるようにそう言って、アロイスは喉の奥で笑った。
「な、なに?」
「この俺に面と向かってああまで言える人間は貴重だ。お前の毒舌癖、ルクアンの精霊のよ