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Posted by ブクログ
“「クリスタ!素晴らしいダンスだったね。次は私と、踊ってほしい」
そう声をかけてきたのは、笑みを浮かべたフィリップだった。視界の端でアロイスがむすっとしていることに気づいたが、断るわけにもいかない。クリスタは頷いて、フィリップの手を取った。フィリップはフィリップで、アロイスからもぎ取るようにしてクリスタを離れた場所まで連れ出した。
もしやアロイスを挑発しているのかしらと危惧しつつ、クリスタは兄に言った。
「このような祝宴を開いてくださり、本当にありがとうございます。フィリッ……。お兄さま」
「いいや。兄として、当然の務めだ。前にも言ったろう?君のためにできることは、なんでもしてあげたいんだ。僕は」
首を振り、クリスタを見つめるフィリップの瞳はどこまでも優しい。こういう表情を見ていると、先刻のアロイスへのすげない態度も悪気があったわけではないような気がしてくる。
(たまたま?……天然?)
頭を捻り、またフィリップを見つめる。すると彼は、飼い主に構ってもらって喜ぶ子犬のように、表情を輝かすのであった。やっぱりクリスタには、見た目通り心優しい無邪気な青年に思える。”[P.64]
2巻目。
兄バカと親バカに笑う。
次巻にはノルトベルク国を出て行くかな。
“「お待ちください、クリスタさま!お戻りに……っ。……糞っ、戻らないか!このばか王女めっ……」
ブルクハルトの怒りの叫びは、もう遠かった。主塔の最上階を目指して、ぐんぐん高度が上がっていく。他の塔の蒼い屋根の合間を、暗闇の中通り抜けていく。
「あ、あれはなんだ……!?」
「空飛ぶドレス……。いや、中身も入っているぞ!あの方は……、嘘だろ!?クリスタさまだ!」
「なんだと!?す、すぐにフィリップ陛下に報告するのだ!!急げっ……」
そんな大声が、遥か下方から聞こえてくる。彼らには、ヴィルマの姿が見えていないのだ。クリスタが一人、空を飛んでいるように見えるのだろう。
(うわあ……!あとで、まずいことになるかも)
後日絶対大問題になることはわかったが、それでも戻る気はなかった。クリスタは、自分を支えて飛ぶ親友を叱咤激励した。
「ヴィルマ!あと少しよ、頑張って」
《重いっ!重い重い、重いぃっ!!クリスタ、私もう駄目かも……》
「嘘でしょ!?こんなところで力尽きたら、地面に落下して死んじゃうわ。頑張って、ヴィルマ!」
《もうっ。お人好しのくせして、精霊使いが荒いんだから……!》
「こ、根性よ!頑張って、ヴィルマ!!」”[P.213]
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