沼野恭子のレビュー一覧

  • ペンギンの憂鬱
    ウクライナのキエフ(キーウ)でペンギンのミーシャと暮らす売れない小説家のヴィクトルは、ある日、出版社から「十字架」を書く仕事を依頼される。
    不穏な空気+ペンギンの物語→

    1990年代、ソ連崩壊後のウクライナが舞台。戦後の日本にしか住んだことのない私には最初、とても不思議な気持ちになった。
    家の外の...続きを読む
  • 初恋
    語り口が好きでした。主人公の心情がうんうん分かる分かると痛々しくも分かってしまう。ヒロインが小悪魔的な美女で想像が膨らむ。弄ばれたい衝動に駆られる。読んですぐに再読したくなる。そんな作品でした!
  • ペンギンの憂鬱
    短編作家の主人公が謎の仕事を引き受けるが、
    徐々に明らかになってゆく。
    共に暮らすペンギンがなんとも魅力的。途中から一緒に暮らす彼女や子どもとの日常もほっこりするが、主人公は彼女らに愛はないと思っている。
    最後のオチがあっと言わせる。
    旧ソ連ぽいなーと思わせる管理統制社会、闇社会の面影。
  • ペンギンの憂鬱
    憂鬱症のペンギンと売れない小説家。もう、これだけで面白い。

    不可思議でどこか、現実と空想のあわいに惹き込まれるような物語。
    どことなく村上春樹を想わせる文章ですが、訳者のあとがきを読んで納得。

    続編が出ているらしいけれど、どうやら15年以上経った現在でも日本語翻訳は出されていないそうで、残念。
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  • ペンギンの憂鬱
    ペンギンとヴィクトルが互いに依存関係であり「憂鬱症」を通して重なりあう様子がとてもうまいなと思った

    追悼記事を書く仕事を訝しく思いながらも、深くは知ろうとしないとことか、とにかく生活ができればいいと思ってたところとか、ヴィクトルがなぜこんなにも物事に無関心でいられるのかが不思議だった
    作品に終始漂...続きを読む
  • ペンギンの憂鬱
    ソ連崩壊直後のウクライナ、売れない小説家のセルゲイは恋人に去られ、動物園からペンギンを1匹引き取る。

    ペンギンのミーシャと共同生活を始めた頃、新聞に追悼文を書く仕事を得る。追悼文と言っても、亡くなった人ではなく存命の著名人について亡くなる前に準備しておく…という奇妙なものだった。
    ーーーーーーーー...続きを読む
  • ペンギンの憂鬱
    ソ連崩壊後に独立して5年が経ったウクライナを舞台にした物語。行き場のない男と女と女の子とペンギンがパッチワークのように寄せ集まって家族の様相を呈している不思議な関係。もしかしたらヴィクトルとミーシャ(ペンギンの方)は互いが分身なのではないかと穿って見る。そうでないとしてもヴィクトルにとって一番気の置...続きを読む
  • 初恋
    ここ数年で読んで古典の中で一番素晴らしいと思った。最後数ページの主人公の心境の吐露は感動的ですらあった。「初恋」というタイトルのイメージからくる清涼感、ほろ苦い思い出、とはよほどかけ離れた衝撃を受けた。

    「青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところにではなく、なんでもで...続きを読む
  • ペンギンの憂鬱
    ひゃー面白かった⭐️不穏な空気がずーっと続くところどころでホッとしたり笑えたりオシャレだったり、、、ペンギンのミーシャ、そう、ペンギン。コレが犬や馬やネコだったらこの世界は表せなかっただろう。不条理な恐怖、ソ連崩壊直後のウクライナ、、この本、私の中では上位。ミーシャはどうなったんだろ、そしてヴィクト...続きを読む
  • 家庭で作れるロシア料理

    とってもいい!買って大満足!

    以前ロシアを旅したことがあり、その時に頂いた食事が美味しかったので、意外とロシア料理って口に合うのかもと思い、帰って来てから色々レシピを知りたいなと思っていたところ、こちらの本に出会いました。写真がきれいなので、眺めているだけでも楽しいです。また、文化についてのお話も載っていて勉強になります。さすが...続きを読む
  • 初恋
    んあ~結構好きだな~!
    言い回しとか表現が好みだったんだけど、それは訳者さんのおかげかな?
    初恋のエピソードとかは目新しいのではないし、特に惹かれるものはないけれど(雰囲気はとても好き)、最後の章が良かったなぁ。そう、改めて考えるとこれって年をとってから自分の初恋を振り返ってるんだけど、何で思い出し...続きを読む
  • 初恋
    世の中に「初恋」を題材にした作品は多いが、その多くが「純粋」「淡い」「儚い」といった形容詞で語ることができると思う。なので本作もそのような内容ではないかと勝手に想像していたのだが、一味違っていた。たしかに先に挙げたように表現することもできるかもしれないが、しかしそもそもからして、ウラジーミルとジナイ...続きを読む
  • 初恋
    文章表現が巧みで、じっくり読んで場面を想像する楽しさを感じられた本でした。初恋の恋心の気もちをいろんな言葉で表していてすばらしかったです。ジナイーダが恋をしている相手がまさかの人で、小説後半は目を見開くほど衝撃的な場面が繰り広げられていました。
  • 家庭で作れるロシア料理
    ビーツを除けば
    スーパーで買える物でできるレシピ!
    ロシア料理には欠かせない
    スメタナ(ロシア版サワークリーム)の
    再現方法など載っています。
    今まで自分でロシア料理を作ってみるものの
    このスメタナしかり、
    実際にロシアに行ってロシア料理をたべたことがなかったので「本当にこれでいいのか?」と
    思いな...続きを読む
  • 初恋
    古い作品だと侮っていたことが大間違いだった。この時代の、さらに日本人ではない国の人々が初恋と言う様々な作家が描くことを試みた永遠のテーマをどのように描いているのかということに興味を持って読み始めた。しかしそこに文化的、時代的違いによって分断されるような異なりはなく、自分も全く似たようなことを考えたり...続きを読む
  • 初恋
    今読んでもなお古びないのは普遍的な人間の性を描いているからでしょうね。
    ネットが発達しようが100年前と同じように恋に苦しむのです。って本当に最近は苦しむのか?苦しむのが面倒だから恋愛しないという話も聞くけど・・・
    それにしても、42歳でこんな瑞々しくも身勝手な恋心を描けるトゥルゲーネフ、凄い!

    ...続きを読む
  • 家庭で作れるロシア料理
    作者荻野恭子さんが好きなので彼女の本が出たら
    速攻・買い。
    期待を裏切らない。
    ロシアは広い。
    地方別の料理がうれしい。
    日本で手に入る食材なのもうれしい。

    パンヲタの楽しみは、
    ピロシキ(揚げピロ、焼きピロ)
    つぼ焼き
    サムサ
    黒パン(残念なことにイースト使用)

    エッセイ付き。荻野さんのエッセ...続きを読む
  • 初恋
    決してなにかこう小説的に優れているかと言われれば、そうでもないと思う。なにやら高尚らしい終わりかたも取ってつけたようだと思うし。

    表現をうんぬんとかってより、筆がひとりでに滑ってるみたいな勢い、熱を感じられる。思えば冒頭の2人の紳士のためにノートに書きつづってるんだものなあ、律儀としか言いようがな...続きを読む
  • 初恋
    本当に初恋は儚くて、切なくて脆いもの。
    特にそれが望むべきものではないときには
    なおさらだと思います。

    多感な時期に一人の年上の女性に恋をし
    惚れてしまった一人の青年。
    だけれども彼女の心理はなかなか
    「見えない」

    ようやくつながったように思えても
    嫉妬ゆえにそれは遠回りになってしまう。
    そして...続きを読む
  • ペンギンの憂鬱
    閉館した動物園から引き取ってきたペンギンのミーシャと二人で暮らすモノ書きのヴィクトル。著名人が亡くなった際に新聞に掲載する通称「十字架」を書く仕事を引き受けるが、出先の宿では銃声で目を覚ましたり、引き受けた子供の親からピストルを受け取ったり、常に陰鬱な緊張感が続くロシア文学らしいウクライナ文学。
    ...続きを読む