杉原保史のレビュー一覧
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心理職として行き詰まった時、折に触れて読み返している。
カウンセリングの本質は、来談者が自己の情動を十分に喚起して、体験にじっくりと触れられるように援助すること。一切の価値判断なしに自己の体験に気づき、受け容れられるようになること。
カウンセラーは自己の在り方、身体を道具にして援助を行う。言葉の内容面だけではなく、音声面にも着目する。呼吸や姿勢に意識を向ける。話し方ひとつをとっても、何をどのような順番でどのような言葉で伝えるか意識する。それら一つ一つの細やかな配慮こそがプロフェッショナルなカウンセリングを生み出す。
カウンセラーとしての成長発展に大きな希望を与えてくれる、至高の一冊。 -
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ネタバレ近しい関係の方がとても悩み苦しんでいます。その方が私に苦しみを話してくれた時に、少しでもその方の力になれたらと思って、この本を手に取りました。
悩み苦しんでいる人の話を聞いた時に、自分の経験したことのない程の苦しい物事だった場合、私は、その人の本当の気持ちを心から理解して寄り添うことがとても難しいと感じます。自分の発する言葉がとても安易に感じてしまい、自分の非力を感じ悩んでしまう事もありました。
以下、とても参考になりました。
-誰かと共感的なコミュニケーションを取ると決めたならその時間はただ相手の気持ちを受け止めることだけをするように心がけます
-人は基本的に物事を自分中心に考えてしま -
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カウンセラーはカウンセリングの展開を理論で評価しがちだが、本来は声、姿勢、話し方などが重要な要素でありいわば「役者」と同じものがあるという趣旨。
具体的な事例に対し、こう対応したらどうかなど丁寧な解説で、読んでいてまるで自分がカウンセリングを受けているような気持ちになった。
特にマインドフルネスという考え方が印象に残った。
カウンセリングにおいてクライアントへの無条件の肯定が必須。それを自分に当てはめてみる。自分に思い浮かぶ感情になんの評価も価値も加えずありのままを感じる。こんな自分はダメだとか、なぜこんな人生なんだろう、とか考えずに、自分に湧き上がってくる感情をそのまま。それはありのままの自 -
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うつ病からの寛解を勝ち取った今、願っていることがある。
この経験を人のため、社会のために活かしたいということだ。それには、病気に対するきちんとした知識を身につけたい、と思っている。
リワークプログラムに通っている時にある心理士のスタッフから言われた。
「皆さん方は、下手な医者や心理士より、メンタルヘルスについての専門家です。病気の辛さと回復する感覚を、実感として持っているから」
題名にある「技術」という表現は、誤解を招くかもしれない。しかし、きちんとした「技術」なく対話の現場に出れば、大火傷をしてしまう。
共感とは、優しい癒しのイメージで捉えらがち。しかし、それは勇気の挑戦であり、一種の -
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ネタバレ2015年の56冊目です。
相手に共感することを、自分の信条としていました。
特に、女性の話を聞く時は、共感を心がけようとしていました。その共感とは、相手の感情に同意するというレベルだったと思います。相手「凄く、苦しかったです」。私、「そうか、それは、苦しかったですね」。相手と同じ感情を抱くといえば、少し高度な感じがしますが、それが私の理解している共感でした。
しかし、著者は、共感は個人の境界を超えることだと定義しています。境界を超え、響き合うことだと述べています。
本のタイトルからしたら共感のKnowhowが並べてあると思いましたが、そのような表面的なことはほとんどなく、そこからさらに踏み -
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アンガーマネジメントが流行ったり、ちょっと怒ると〇〇ハラスメントになったりで、上司も先生も親も怒りづらい。最近は「怒り=悪」という風潮になっているけど、本来怒りって自然な感情なのでは?と思っていて…
このタイトルの賢く怒るというのが気になって手に取ってみた。
読んでみて、自分の中のモヤモヤがすっきり!
まず、感情に善悪をつけることがおかしいんだと気付いた。マイナスの感情であっても、そのままを肯定し受け止める。でも、それは変化を求めて努力しなくていいということではない。この分離が私はうまく出来ていなかったなぁ。
そして、何かがうまくいかない時に「ダメだ!」と思うのではなく「ダメだな〜」とゆるく受 -
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ネタバレ共感とは、ということについてとても詳しく書かれている。対人サービス職、マネジメント層の人は1度読んでおくと良いかも。
memo
共感は、「人と人とが関わり合い、互いに影響し合うプロセス」のこと。互いの心の響き合いを感じながら関わっていくプロセスであり、それを促進していくための注意の向け方や表現のあり方などを指すものである。
共感は「感じたままに受け取る」で終わるのではなく、感じられたものは〝表現される、伝えられる〟必要がある。
誰かに共感するためには〝観察力〟〝想像力〟〝注意のコントロール力〟〝表現力〟が必要。
本人にしか解決できないことだから、一人で取り組ませておけ、というのはあまり -
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冒頭から心に刺さることがずばり書かれていた。
「多くの人は、共感とは相手の感じているのと同じ感情を具体的にそっくりそのまま感じることだと考えています。…多くの人は、共感をこのように定義づけた上で、「共感なんて本当にできるのか?」という問いをくり返しくり返し、問いかけ続けます。」
私がこの本を手に取ったきっかけは、友人に何気なく「カウンセラーに向いてそう」と言われたからだ。それと同時に、日頃から「共感」を上の「多くの人」と同じように定義づけていたため、自分が人に共感するなんてできっこないと思っていた。あらためて共感とは、心理カウンセラーとはどんなものなのか知るために本書を読んでみた。
著者は現 -
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「組織開発の探求」で紹介してあって、タイトルに心がひかれたので読んでみた。
カウンセリングはサイエンスではなくて、アートなのだ、というのは、まあ当たり前の主張であるようで、当たり前でもないのかな?
つい理論が先行して、クライアントではなくて、理論の解釈をみているということは多いからですね。
アートとしての観点からみると、普通あまり言及されないところが気になってくる。たとえば、声の出し方とか、座っている姿勢とか、呼吸とか。。。。
そうそう、それって、とても気になっています。
クライアント的には、声の深さみたいなのがすごいインパクトあるという体験が多い。が、そこに言及してあることって少な -
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どこがいい、と表すのが難しいのだけれど、読んでよかったなあと思える本。一般向けで平易に書くことを心掛けられているとよくわかる。もちろん専門職にも役立つ。
内容をかいつまむと
・「寂しいんですか?」と「淋しいんですね」はまったく違う
・共感しすぎるというのは、共感の焦点が固定していること
・共感は自然のままでは進歩せず、ありのままの反応を放出するよりは共感的なふりをする(模倣する)こと。そこからはじめられるものがある
・共感できないときはそれを認める。自分も相手も責めない、そのうえでどうかかわるかを考える
・病気や孤独の受容は共感能力を高める
というあたりが印象的