山口栄一のレビュー一覧
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購入済み
ユニークな旅の紀行記
以前から物理学者とか数学者に関連する場所を尋ねることが多く、ボーアの生まれた家とかアインシュタインがベルンで住んでいた家などを
尋ねたことがあるが、墓を尋ねることは珍しかった。唯一の例外はウェストミニスター寺院とモスクワのランダウの墓。
しかし、この本を読んでこれからは積極的に偉人の墓を訪ねてみようと思った。
墓に刻まれたボルツマンのエントロピーの公式とシュレーディンガーの方程式は是非自分の目で確かめたいと思った。
この本の続編が刊行されることを希望する。
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イノベーションですっかり遅れをとってしまった日本、その原因を色々な切り口から分析しています。終始一貫しているのは、日本でイノベーションの機運が衰退しているのは、日本人のメンタリティや日本企業の文化などよりも、構造的・制度的な点を強調して指摘している点。シャープが生産技術至上主義&基礎研究軽視によりいかにしてイノベーションのマインドを失ったか、日米ともに民間企業は中央研究所モデルを次々に廃したが、米国はベンチャー育成を省庁一体で取り組んだのに対して、日本では中小企業対策に矮小化されてイノベーションの原動力となるベンチャーにつながらなかった事、JR西日本や東電の事故に見られる"技術経営&
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Posted by ブクログ
SBIR制度の話を聞いて,米国の税金の使い方が巧みであることが分かったが,日本で同様な制度を構築するのは各方面からの抵抗が大きいと予測される.特に大企業から.馬の骨のような奴に国の予算を配分するといった芸当はできないだろう.官僚たちの天下り先がなくなるのだから.やる気のある若者がサイエンス型ベンチャー企業を起こすのを横目で見ながら,足を引っ張るのが官僚のやり口だ.イノベーション・ソムリエの育成についても,理系文系の枠を取り払う強い声がないと実現できないだろう.でも米国で出来たのだから,真似の上手な我が国でやれないことはないと思うが,どうだろう.
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Posted by ブクログ
日本発信の科学技術のイノベーションが少なくなって久しい。その理由を最近のシャープなどの事例や科学技術がどのようにして発展するかの持論を展開している本。
1章では、中央研究所崩壊からイノベーションをするような場が日本から消えてしまった、「目利き」の存在がいないことを理由としている。
2章では、元はイノベーション企業だったシャープの例から、危機は分かっていても「山登りのわな」から逃げられなくなったことを研究面でも事務面でもインタビューから明らかにしている。
3章では、米国のイノベーションは、SBIRの仕組みにあり、日本はその仕組みの本質的な理解をせずに失敗してしまったとしている。
4章では -
Posted by ブクログ
著者の書きたかったことは、最後の第6章「科学はいかにして創られたか」の部分。第6章まで読み進むと、第5章までは、著者考案の”イノベーション・ダイアグラム”を説明するための、事例集だったことに気が付く。本の構成として?
とは言え、第5章までの内容は十分楽しめる。
完成された物理学を知識として知っているだけで、その形成過程を何も知らなかったことを痛感。ニュートン力学が、天上のケブラー法則と、地上のガリレオの法則を統一したものといった視点は私には無かった。
横軸に「知の創造」、縦軸に「知の具現化」を取り、知を、既存の知を具現化する「演繹」、その逆作用としての「機能」、そして既存の知からなったく新しい -
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タイトルは仰々しいが、物理史(というか科学史)を語っただけの一冊。ただ…タイトル負けは全然してない。
物理学の重要分野を作った(と言ってもいい)人物に注目し、物理学を語る。このコンセプト自体は最近の教科書でも一般的な流れで特筆する必要はない。
この本の面白いところは、そんな注目すべき人物がポジティブ・ネガティブに影響を受けた人物(それはライバル的なものを含む)との関係も詳細に語った点。
そして素人には簡単ではない物理学・数学的記述も含みながらも、それを読み飛ばしても十分理解できるように作り上げているところ。
本書が提示したいのは、創造的な研究がどう作り出されるのか。それは文理を問わない。 -
Posted by ブクログ
万有引力の法則、ボルツマンの統計力学、プランクのエネルギー量子仮説、相対性理論、量子力学
これら5つについての解説本かと思いきや、内容はそれに留まらず。
記述の内容は、当時の歴史的背景や、偉人たちの生い立ちにまで及びます。
最後の第6章「科学はいかにして創られたか」の部分では、イノベーションに関しても触れられています。
いわゆる理系の学問領域としての物理学よりもさらに根源的な、読んで字のごとくとも言える物事の理としての物理学を読者に伝えてくれる一冊です。
まさに、「物理学者にならない人のための物理学、純粋に「心の丈を高める」ためだけの物理学の本」(p.221)と言えるでしょう。
付箋は22枚付 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本のイノベーションが途絶えた理由を具体的な事例検証も交えながら分析し、どうしていくべきかの提言までをまとめた一冊。表に見えている特定ジャンルの知の進化に邁進するだけではだめ。土壌の中で常に知の探索を進めていくことが重要。また、探索を探索で終わらせず、具体的な形にしていく支援の仕組みをもっと作っていかねばならない、ってなお話。新書でそんなにページ数多くないけども、中身が濃くて読み応えがあった。読む価値のある一冊だと思います!
・優秀な科学者が企業で飼い殺しにされて、新しいことにチャレンジできていないのが問題。優秀な科学者や技術者が企業を飛び出して、起業できる世の中にすることがイノベーションを -
Posted by ブクログ
『イノベーションはなぜ途絶えたか』というタイトルで、電機メーカーの世界的地位の凋落やインターネットの世界で日本発のイノベーションがほとんど見られなかったことについての分析と今後に対する著者からの提言をまとめたものである。著者は、東大で物理学の博士号を取得し、NTT基礎研究所に20年ほど勤務した後にフランスの研究機関を経て現在ではイノベーション研究を京都大学大学院総合生存学館(思修館)を創立してそこで教授として研究を行っている。
本書では、電機メーカーがイノベーションの波に上手く乗れなかった事例としてシャープを挙げた後、より一般的な考察として、日本の大企業中央研究所方式とその衰退と米国のSBI -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本の大学、企業の学術論文数は90年代後半から激減。
特に物理学分野で顕著。
アメリカSBIR(スモール・ビジネス・イノベーション開発法)
政府の外部委託研究費の一定割合を拠出の法令化。
応募して採択されると3段階に賞金を授与される。
1.可能性の探索競争:15万ドル
2.具体的にビジネス化の可視化競争:150万ドル
3.ビジネス支援:ベンチャーキャピタル紹介
研究者から企業家への仕組み
3つのタイプの科学者
1.研究者
2.プロデューサー(科学行政官)
3.イノベーター
博士号の純粋科学者がイノベーターになっている。
累計100億ドルの賞金に対し、収益は4