司凍季のレビュー一覧

  • 学園街の〈幽霊〉殺人事件

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    えっとこれ、なにげに凄いのじゃなかろうか…。
     一尺屋シリーズの一編であるのだけれど、それまでの作品にあったミステリらしいミステリとしての枷をはずして、作者自身の方向へ歩き出しているように思われる。
    (ここで、ミステリとはなんぞやとか、ミステリの地位がどうだとか、そんなことに拘るつもりはない)
     それでいて、ミステリとしての出来もとても良い(物理的トリックとしては不満に思う向きもあるだろうが、たぶんそこはもうこの作品の本質ではない)。
     近作の『地獄螢』を読むと、もうミステリからは離れていくのかな、という気もするのだが、ぜひこの作者ならではの「ミステリ」を書き続けてほしいものだ、と願う。

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    2012年08月26日
  • 屍蝶(しかばねちょう)の沼

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    ネタバレ

    今まで読んだ司作品の中で、ベストの1冊。なぜ今までこのような書き方をしなかったのかと首を傾げたくなるぐらいの出来。
    今回採用しているのは三人称叙述で、一尺屋シリーズの一人称叙述と違い、文体が格段に進歩していた。同じ三人称叙述の『首切り人魚~』と比べてもその違いは雲泥の差。
    今まではストーリーを語るというよりもプロットを語る、つまりパズルを解いているプロセスを説明しているかのような味気ない文章だったが、この作品では、いわゆる「じらし」の手法に磨きがかかり、その抑制した文章には張り詰めた緊張感が一様にあった。

    そして物語を彩る登場人物たちも、今までの諸作品には見られなかった個性があった。
    主人公

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    2024年11月12日
  • からくり人形は五度笑う

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    ○○年ぶりの再読。好い具合に初読の印象を忘れていて楽しく読んだ横。謎解きの部分に関しては正直消化不良で、もう一度読み直さなければならないが、横溝ばりの道具立て、島荘系のトリックでありながら、いわゆる新本格派にありがちな、肩肘張った、奇をてらったところがなく、心地よく読めた。探偵役の一尺屋遥があざとすぎないのも好もしい。続編を待機させておいて良かった。

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    2012年07月29日
  • 悪魔の水槽密室~「金子みすゞ」殺人事件~

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    絶対ありえねぇーーー!!という水槽密室。
    【ねぇねぇ、目張りしても水流れるよね? とか、部屋一杯にするには何時間かかるんだ? とか素で思う。風船持ってるのも笑えるし……。】でもまぁ百歩譲って出来る、とするならば視的にこれは綺麗だろうな。インパクトあるし。
    しかし微妙に笑えるんだよなぁ。手であるものを開けちゃうし。まぁ、確かに開くちゃー開くよなぁ。そーゆー地方だからなぁ。実際に見たことあるし。
    今回の一尺屋は食って無かったかな?純ちゃんからかってたけど(笑)
    これは犯人はわかりやすいね。消去法とれるから。
    何はともあれ、薔薇を抱えた一尺屋には一度お会いしたいです。

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    2010年04月19日
  • 首なし人魚伝説殺人事件

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    瀬戸内に浮かぶ流島の海辺で首から上をマネキンに置き換えられた惨殺死体を見つけた男は、その場に女を残し警察へ連絡をしに行く。再び現場に戻った男は、マネキンの首が髑髏に置き換えられている事実に愕然とし、残した女もまた事切れていた事に呆然とする。
    ところがその惨殺死体の被害者は、同時刻、愛媛県松山市の自宅で何ものかに襲われ重傷を負っていた。海を挟んだ20キロも離れている場所に被害者はどうやって移動したのだろうか……?


    45年前の事件とリンクさせていく様にこの作家の持ち味が出てる感じ。
    でもまぁ、同時刻に同一人物が別の場所には存在するはずないので、そこら辺りを考えて読んでゆけば犯人は浮かび上がって

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    2010年04月19日
  • 蛇遣い座の殺人

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    W県紫野村へ死に場所を求めて訪れた私はそこでオランジュ城に住む耀子からある仕事を依頼されたという一尺屋に出会った。
    一尺屋の勧めるまま影平邸(オランジュ城)を訪れた私は25年の不可思議な事件を聞く。そして第一の殺人事件が起こった。

    トリックに無理があります!絶対にあんな場所に刺さるのは無理ぃぃっ!
    暗闇坂に匹敵しますよ(笑)
    でもこの作品は一尺屋シリーズの中では一番好きかも。
    何故か惹かれるのよね。こーゆー色の作品は。やっぱり横溝的だからだろーなぁ。

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    2010年04月19日
  • さかさ髑髏は三度唄う

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    小学校時代の同級生・一尺屋遙から手紙を貰った八追淳平は二十年ぶりに母校を訪れ、夜の理科室で唄うさかさ髑髏を見る。
    二人の恩師でもある悠里枝先生の嫁いだ人首家で慎太郎の先妻の法要の最中に長女・恵利の夫・橋本が毒殺された。


    サカリのついたコメツキバッタ表現は笑った。
    相変わらず独特の色合いです。犯人も大体見当は付くけどいいの。一尺屋遙が出てくるから。

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    2010年04月19日
  • 学園街の〈幽霊〉殺人事件

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    一尺屋の高校時代のお話。
    作中は「ハル」としか出てこないんだが、登場人物表にしっかり書いてあるし……これってどうよ? いいのかなぁ。まっ、いいか。
    これはややこしい!15年前の事件とリンクするから混乱した。犯人が最後までわからなかった……。てか途中で探すの諦めたし(笑)
    しかしなぁ。冒頭の事件の解明がアレですか……まぁいいんだけど……。でも個人的にショック。
    初々しさは確かにあるが、やっぱり今の一尺屋の方が好みですね。

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    2010年04月19日
  • からくり人形は五度笑う

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    27年前にフラリと出て消息を経っていた依井直之の父。その父から直之宛に突然葉書が届く。どうみても失踪当時に書かれたものらしい。しかし投函されたのはつい先ごろ。父の行方と葉書の謎を解くために直之は単身で、Y県の沙華姿(さかしな)へと赴く。
    その村には27年前に凄惨な殺人事件が起きていた。まるでその事件を示唆するような短歌が書かれた葉書が、宿として間借りしている<水車>の娘・仁内結姫届く。謎を解き明かそうとしている直之にもやがて魔の手が忍び寄る。


    派手で、とても綺麗な殺人事件(笑)
    雪の上に紫の薔薇の花びらが散ってて、その上に生首ですもの。美しい〜。(勿論、雪密室)
    まぁ、ちょっと考えれば犯人

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    2010年04月19日