小池滋のレビュー一覧
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不滅の名探偵シャーロック・ホームズを生み出したコナン・ドイルの短編集。幻のデビュー作から死亡前に書かれたモノまでなので時代的に幅広い。また解説にある通り新潮文庫の『ドイル傑作選』辺りと重複しない様な選定となっている気の使いようである。サスペンス、仮想戦記、ギャングなどなどジャンルも一様では無い。一貫しているのは読み易い文章である事。これはドイルの天稟もあるだろうが本人がかなり注意していたと推察される。話自体はそんなに傑作とも思えないが御者が色々な事件を語る話はキャラ設定を上手くすればシリーズ化したのではあるまいか。
あとベル博士らしき医師の観察眼の話などはホームズファンなら直ぐに気づかれるであろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレトンデモなオチや、ぼんやりしたオチが多くて、ホームズを読んでいるときほどの楽しさはなかった。
この中で一番好きなのは『ハンプシャー州の淋しい家』かな。
片田舎に住む老夫婦の元に、どうも金を持っていそうな若者がやってきて一晩泊める話。
因果応報的な話でよかった。
解説を読むとどうもイギリスの民話に似たような話があるらしい。
あとは、『幽霊選び』もコミカルさと心霊現象の恐ろしさみたいなのが合わさってて面白かった。
『真夜中の客』も良かったけど、『ハンプシャー州の淋しい家』に似たような話ではあった。
『やりきれない話』はタイトル通り本当にやりきれない話。
ロシア文学にもありそうな悲惨さ。 -
Posted by ブクログ
ディケンズ大好き!と言っていながら、あまりにも有名なこれをまだ読んでいなかった。
むーん。。ディケンズの中ではふつうだった。
天使のようなオリヴァーと彼を守ろうとする善良な人たち、それに対する悪人たち、という単純な図式や、偶然の遭遇の繰り返しによる物語の展開がちょっとつまらない。
荒んだ人生を送ってきた人の心の奥底から最後ににじみ出てくる温かい心とか情熱とか葛藤とか、そういうところにディケンズのすばらしさがあると私は思っているが、この物語からはあまり感じることができなかった。
でもこれ、調べてみたらとても初期の作品なのだった。後期にいくほど『二都物語』とか『大いなる遺産』とかすごい作品が目白押し。やっぱディケンズってすごい。
あと、訳(小池滋)がとてもよかった。数社の本と比べてみたが、味わい深くかつ読みやすい。(2008.1.18) -
Posted by ブクログ
ディケンズが書いたクリスマスものは『クリスマスキャロル』の他にも数作あって、この中には『鐘の音』という物語も入っている。
最初は新潮文庫の『クリスマスキャロル』を読もうと思ったのだが、何回も読んでいるので、たまには違う訳者の本を読んでみた。
たぶん新潮文庫版のほうが訳としては正しいのだと思うけれど、こっちのほうが訳が自由で、たぶん勝手に書き加えていて、落語みたいで、読みやすい。ウケ狙いなのに時折すべっているところがご愛敬。初めて『クリスマスキャロル』を読む人に向いているかどうかはわからないが、また新しい魅力があるのは確か。
『鐘の音』という話は、クリスマスの精霊の代わりに、教会の鐘の精霊が出てきて、『クリスマスキャロル』のスクルージと同じように、主人公の郵便配達人のおじさんを夢の世界へと連れて回る話。このおじさんは娘の結婚に反対して(貧乏人が結婚してもろくな未来はないとお偉いさんに言われて、悲嘆して消極的に反対した)それにより起こる悲惨な未来をひたすら見て回る。
あ〜あ、反対しなきゃ良かった、と改心するところは『クリスマスキャロル』と一緒。スクルージは金への執着と冷酷さだったけど、こちらの主人公は世間へのおもねりと臆病のゆえに不幸に陥る。でも最後には改心して、案の定の展開でハッピーエンドになる。
この「案の定」というのは結構大切だ。クリスマスにハッピーエンドが待っていなかったら、キリスト教徒はいつ幸せになるのだ。山下達郎の歌のような寂しい内容は、たぶんキリスト教徒じゃないから作れるのだ(勝手な憶測)
どちらにしろ、人としての本当に大切なものは何かということを教えてくれる。
人生の幸福と不幸なんて、所詮は心が決めるもの。心が変われば世界も変わる。
来年のクリスマスには、また違うディケンズ作のクリスマス作品を読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ディケンズの「クリスマス・ブックス」と言われる作品は5作品なるのだけど、そのうち最初の2作品「クリスマス・キャロル」と「鐘の音」が収録されてます。
「クリスマス・キャロル」は違う訳で既に読んでいたし、映画も何種類も観たほど好きな作品。
ディケンズはよく朗読をやっていたということで、ここでは落語口調で訳されてる…のが面白いな。と思ったのだけど、まぁ途中からそんな工夫は特に効を奏してもいないかも…という感じで普通に読んだ。
で、目当ては「鐘の音」のほうだったのでした。
これ、クリスマスでなくて大晦日の話だった。
主人公は人がいいけど、いろいろ社会的事情で未来に希望を抱けなくなったおっさんで、教会の鐘の精の導きで、このままだとどんどんと不幸になっていく未来の娘の姿を見せてもらう…。
というプロットは「クリスマス・キャロル」によく似た話。
映画「素晴らしき哉、人生」にも似てますね。
「クリスマス・キャロル」の焼き直し感がある上に、前作以上の面白さがない。のが残念。
登場人物もあまり魅力がないし、暗いばかりで楽しくなる場面描写もない。
当時の社会批判の色が高めなので、いま読んで普遍的に伝わるものがあるわけでもない。
面白い…というか映像化して観てみたいと思った場面が一つだけあった。
なんか鐘の音がなってる間だけ、鐘の中から無数の様々な鐘の精が出てきて、音がなると次々に死んでいく…という場面。
ディケンズはファンタジックの場面の描写がけっこう丁寧で、この人はほんとにこういうものが見えてしまう人だったんじゃないだろうか?なんて思ってしまう。