namoのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これまでのあさひは職人の真似事をしているようなものだった。だとしたら、展示会の片隅であっても作品を人目に晒すならば、それは職人として歩みだすようなもの
そうなれば客に商品として見られるだけでなく、同業者との力量比べも発生すると
雄介と展示が並べられた事は彼女にとって自分の作品は他者と比べてどのように受け止められるのか、という点を強く意識させるものとなったね。そのように捉えると、45話であさひの父がかつては鎚起銅器職人を志していたが挫折したというのも己の父と比べて心折れてしまったとも考えられるのか
ならば、自分より間違いなくて実力が上の雄介と作品比べをする事はあさひにとって職人を辞めるかもしれ -
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Posted by ブクログ
金沢に住むことになって、天気、方角、交通手段など、太平洋側に住み続けていた私は、生活の根本的なところから慣れなければいけませんでした。また、自然が強い地域のせいか、自分を守るためにも、人と繋がることが自然だった気がします。人とのつながりが希薄な東京育ちの私には、戸惑ってばかりの大変な環境でした。知り合いはひとりもいませんし、いつかは出ていくような人間なので、信用してもらうのも一苦労でした。慣れたら住み心地の良い環境でしたけど、そこに辿り着くまでには様々な苦労を味わいました。
コミュニケーションが苦手と思える職人の家、日本海側の新潟を舞台にしたこの漫画を読んでいると、金沢に住んでいた頃を思い出 -
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Posted by ブクログ
何の為に銅器を作るのかというプロダクトを求められた挑戦は修の原点を探る旅へと繋がるのか。そしてその原点は父親に通じていると
修の父親・征秀って断片的な情報が多くてイマイチ人柄が理解しきれていなかったのだけど、想像よりも凄い人だったようで
「いずれは人間国宝」なんてそう貰える称号ではない。確かに木目金に関する話を聞いていると、これを自在に成形できるならばそれはそこらの職人と同レベルと扱うのは間違いであるように思える
修はそんなレベルを目指しているのか…
遥かな高みだから今の修では辿り着けない。その意味ではゆりとのコラボ商品に木目金を選ぶのは高望みであるが、修が何の為に銅器を作るのかと一点を極 -
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修はまだ若輩者だけど、賞を取っていたり注文を受け付ける事もあったりと既に職人として歩み始めているように思えていただけにこの巻で指摘された諸々には驚かされる部分が有ったな
腕前が未熟という話ではなく、職人として生き残っていく上で必要な技能の話。言ってしまえば四条が引退を決断するに至った理由の一つでも有るのだから重く響くね。彼も75歳まで第一線で活躍してきたのだから実力不足という話ではないのだけど、新たな時代の需要に付いて行けないなら職人でも必要とされない
それが総一郎が修に対して抱いた危機感であり、今の修なら改善できる部分という事か
これまではしいなとイチャイチャしつつ伝統工芸に身を投じる修 -
Posted by ブクログ
しいなと修、最初の出会いが描かれる23話。
修にとっては突然飛び込んできた見知らぬ少女。けど、初対面の頃から今に繋がる遣り取りの萌芽を感じられるね
ひたすら銅に向き合う修、そんな彼の世界を広げるしいな。かといってそれは一方通行ではなく、時には修の方からしいなの体験を広げるきっかけを与えもする。素晴らしい関係性の二人だよ
でも、そんな相方であるしいなでも立ち入る事が難しい領域が職人の空間
作品制作の為に他を疎かにして銅を叩き続ける修に寂しさを覚えたしいなが会いに行っても彼は銅から意識をほぼ外さない。というか人間的活動である食事や風呂を後回しにしてしまうくらいに彼は他の要素を自身から締め出して -
Posted by ブクログ
自分達のペースで緩やかな交際を続けてきた修としいなも遂に同棲開始ですか。同棲を始めるにあたってもう少し悩んだり、想いを新たにしたりといった様子なくあっさりと一緒に住み始めてしまうのは、既に二人が一緒に居る事に違和感を覚えなくなっているからという背景がありそうだ
そうした心機一転なのか現状維持なのか曖昧だけど落ち着いたタイミングでやってきたのはお仕掛け弟子のあさひですか。ただ、修はまだまだ一人前と呼称する程には上達していないし、保護者の同意なく預かれるわけもない
そんなあさひに教えてやれるとすれば、修が今やっている事か
本作において、修は既に職人をしているししいなは修の仕事を理解しきれている