小長谷正明のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
カトリックの頂点に立つローマ教皇は、宗教上の指導者であるだけでなく、しばしば世俗君主として権勢を振るった。
執務上のストレスや贅沢な食事などから高血圧や痛風を患った例も数多い。
教皇ほどの権力者が健康を損なえば、その影響はいかに甚大であったか。
毒殺説がささやかれる教皇は、誰にどのような毒を盛られたのだろうか―。
現代に残された文献をもとに歴代教皇の病いと死を検証し、医学の発達の歴史をたどる。
[ 目次 ]
1 神の代理人たちの病いと死
2 教皇庁に渦巻く暗殺疑惑
3 女教皇ヨハンナ伝説
4 マラリアは「ローマの友だち」
5 黒死病の黙示録
6 コロンブスの年の輸血
7 教皇になった医者
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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ネタバレ[ 内容 ]
20世紀は戦争の世紀であり、一国の命運はしばしば独裁者の手に委ねられた。
だが独裁者の多くが晩年「神経の病」に冒されて指導力を発揮できず、国民を絶望的状況へ導いたことはあまり知られていない。
彼らを襲った疾患とはいかなるものだったのか。
政治的指導者から作曲家、大リーガーまで、多彩な著名人を取り上げ、貴重な映像と信頼に足る文献をもとにその病状を診断する。
神経内科の専門医がエピソード豊かに綴る20世紀史話。
[ 目次 ]
震える総統
言葉を失ったボリシェヴィキ
主席の摺り足
大統領たちの戦死
芸術家、大リーガー、兵士
20世紀のファウスト博士
映像の中のリーダーたち
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
タイトルが示す通り、ヒトラーや毛沢東をはじめ歴史に名を残した人々の精神的な病気について紹介していく。筆者は精神科医で、たまたまテレビで観たヒトラーの震える手を見て本書の着想を得たそうだ。ヒトラーは言わずと知れた第二次大戦時のドイツを率いた独裁者であるが、若かりし頃は軍隊に所属し、その後強力な演説力と人材登用の妙により、ナチスドイツのトップとして世界を戦乱の渦に巻き込んだ張本人である。そんなヒトラーも戦争末期にはパーキンソン病の症状である手の震えや表情が失われる状態となる。最後は敗北間近のドイツにあり自宅で婦人と共に自殺した。
中国共産党を率いて抗日に身を投じ、蒋介石率いる国民党を台湾へ押しやった毛沢東も、同じく病気に悩んだ。こちらはALS(筋萎縮性側索硬化症)という現代においても明確な治療法が確立していない進行性の難病だ。歩き方が摺り足になっていた事から、本書のタイトルにもなっている。その他、ソ連のレーニンやアメリカのレーガン、ルーズベルトなど世界の歴史の転換点を作ってきた指導者の多くが、精神的な病気を患っている。
本書の導入部はそうした脳に関わる病気の仕組みを解説したり、原因や症状についての説明がなされているため、その後に続く著名人の病状が理解しやすくなっている。
例に上がった人物は日本の田中角栄含め、錚々たるメンバーが名を連ねる。中にはアメリカの偉大な野球選手(ベーブルースと3、4番を打ったルー・ゲーリッグ)やフランスの音楽家(ボレロで有名なモーリス・ラヴェル)などもALSやアルツハイマーに罹患するなど、政治、軍事、スポーツ界、音楽界、あらゆるジャンルで活躍した人達が、最後は病気によりその生命を絶たれている。
大きなプレッシャーや緊張感などが病気を引き起こしたり、悪化させる要因の一つになっている様だ。私も重要な会議に出て喋る前などは、(事前準備の充足度にもよるが)頭痛や吐き気をもよおすことがある。頭蓋骨が軋むほど、こめかみを強くペン先で押すこともあり、たまに出血することもある。脳内ではきっと細胞が幾つか潰れてそうだ。怒りや緊張は脳内の血管に大量の血液を流し、圧力も高まる。頭痛になると(年間300日は頭痛)それに輪をかけて血管が破裂しそうなくらい頭に強く力を入れる事もある。力を抜くと一気に血が抜けて、スーっと頭痛が一瞬楽になるからだ。本書を読んだ後は、その様な一瞬の快楽を得るためだけに脳を危険に晒す行為は止めようと思った。
普段なら難しい、脳に関わる病気について著名人の病状などを用いて解りやすく解説しているので、頭に不安を抱える方にも勧めたい一冊だ。
本書後書きにも記載されている様に、本来医師は人の命を救うのが仕事であり、逆の命を断つ方法も熟知している。ナチスドイツの下で山の様な人数の脳を取り出して研究した医師もおり、確かにその研究成果が病気の改善や治療に役だったとしても、人としての倫理観を失ってはいけないと強く感じた。 -
Posted by ブクログ
著者は神経内科学を専門とする医師で、病院院長でもある。
本書は歴史的事件を医学的見地から見たときの、ちょっと興味深いエピソードをあれこれ挙げている。
第I部:二十世紀世界史の舞台裏
第II部:近代日本史の曲がり角
第III部:医学を変えた人々
第IV部:王と医師たち
第V部:いにしえの病を推理する
落ち着いた筆致で読みやすく、短い章立てなので切れ切れの読書にも向いている。
第I部で取り上げられているのは、ケネディ、レーガン、ヒトラー、スターリンといった人物。
第II部では、明治天皇、二・二六事件、三島由紀夫、昭和天皇のエピソード。
第III部では、パーキンソン、ナイチンゲール、パスツール、キュリー夫人など。
第IV部は、英国王室やフランス王室、ロシア皇帝一家。
第V部では、ツタンカーメン、倭建命、源頼朝、ジャンヌダルク、ハプスブルク王朝の病について。
個人的におもしろかったエピソードをいくつか挙げる。
・手の震えなどがあり、パーキンソン病を患っていたと思われるヒトラーは、あるとき、爆発の衝撃を受けた後、症状の軽快を示している。こういった大事件をきっかけにパーキンソン病患者の症状が軽快する現象は医学的にも知られているのだそうである。
・パーキンソンは、パーキンソン病だけでなく、恐竜の名付け親でもある。彼は化石の発掘にのめり込んでおり、恐竜に最初に「○○サウルス」とつけたのはパーキンソンだった。
・ヴィクトリア女王は英王室で初めて無痛分娩を経験した。小柄な女王はそれまでに7回の妊娠・出産を経ていたが、負担が大きく、側近の反対を押し切って、ついに8回目に無痛分娩に踏み切った。この際、使用されたのはクロロフォルムであり、麻酔を取り仕切ったのはジョン・スノウである。スノウは疫学の父とも呼ばれる医師である。(『医学探偵ジョン・スノウ』)
・ヴィクトリア女王の孫たちはヨーロッパ各国の君主となり、第一次大戦は従兄弟たちの戦争とも呼ばれた。ハプスブルグ家はスペイン国王や神聖ローマ帝国皇帝を輩出したが、近親婚を繰り返し、おそらく遺伝性疾患のために障害を持ったり早世したりする例が相次いだ。
*参考
・『病が語る日本史』
・『化石の分子生物学』