小長谷正明のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
20世紀は戦争の世紀であり、一国の命運はしばしば独裁者の手に委ねられた。
だが独裁者の多くが晩年「神経の病」に冒されて指導力を発揮できず、国民を絶望的状況へ導いたことはあまり知られていない。
彼らを襲った疾患とはいかなるものだったのか。
政治的指導者から作曲家、大リーガーまで、多彩な著名人を取り上げ、貴重な映像と信頼に足る文献をもとにその病状を診断する。
神経内科の専門医がエピソード豊かに綴る20世紀史話。
[ 目次 ]
震える総統
言葉を失ったボリシェヴィキ
主席の摺り足
大統領たちの戦死
芸術家、大リーガー、兵士
20世紀のファウスト博士
映像の中のリーダーたち
[ PO -
Posted by ブクログ
タイトルが示す通り、ヒトラーや毛沢東をはじめ歴史に名を残した人々の精神的な病気について紹介していく。筆者は精神科医で、たまたまテレビで観たヒトラーの震える手を見て本書の着想を得たそうだ。ヒトラーは言わずと知れた第二次大戦時のドイツを率いた独裁者であるが、若かりし頃は軍隊に所属し、その後強力な演説力と人材登用の妙により、ナチスドイツのトップとして世界を戦乱の渦に巻き込んだ張本人である。そんなヒトラーも戦争末期にはパーキンソン病の症状である手の震えや表情が失われる状態となる。最後は敗北間近のドイツにあり自宅で婦人と共に自殺した。
中国共産党を率いて抗日に身を投じ、蒋介石率いる国民党を台湾へ押しやっ -
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著者は神経内科学を専門とする医師で、病院院長でもある。
本書は歴史的事件を医学的見地から見たときの、ちょっと興味深いエピソードをあれこれ挙げている。
第I部:二十世紀世界史の舞台裏
第II部:近代日本史の曲がり角
第III部:医学を変えた人々
第IV部:王と医師たち
第V部:いにしえの病を推理する
落ち着いた筆致で読みやすく、短い章立てなので切れ切れの読書にも向いている。
第I部で取り上げられているのは、ケネディ、レーガン、ヒトラー、スターリンといった人物。
第II部では、明治天皇、二・二六事件、三島由紀夫、昭和天皇のエピソード。
第III部では -
Posted by ブクログ
映像や文献を元に、20世紀の政治指導者や著名人の病状を神経内科
医が診断する。
「しかし、ヒトラーの主治医として、かつ超ヤブ医者として歴史に名を
とどめているモレルが、(後略)」
こんなことで名をとどめたくないよな。
さて、パーキンソン病に侵され、手は震え、よだれは垂れ流し、表情は
乏しく、服は食べこぼしだけらけのヒトラー。演説するモノクロ映像から、
そんなヒトラーの姿は及びもつかない。
脳内出血に見舞われたスターリンは、床に倒れて身動き出来ずにいたが
起こすことを恐れた女中がそのまま放置したことで治療の機会を失われる。
それぞれ興味深い診断を下しているが、個人的には作曲家・ラヴェル