岸本尚毅のレビュー一覧
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「プレバト!!」でおなじみで俳句に興味を持ち始めた「チーム裾野」への「俳句の種まき」運動を続けてきている夏井いつき氏と、夏井氏から「ハカセ」と呼ばれる岸本尚毅氏の掛け合い問答により進行し、俳句の「型」を学ぶ10のレッスンと、ステップを踏んで実際に句作に向けた練習をするための30のドリルで構成される俳句の入門書。高濱虚子選の『ホトトギス雑詠選集』からの豊富な作例を素材としている。
「型」に着目したドリル形式の俳句入門書というのは、これまでにないもので、俳句初心者が句作を磨いていくのにもってこいのものだと感じた。季語の穴埋めなど、なかなか難しかったが、勉強になった。 -
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2冊の自伝を合わせた本。
俳句の世界の偉大な人、ということ以外に何も知らず、正岡子規との区別もつかないまま、新聞に虚子忌とあった4月8日に何となく手に取った。子規に対しては、ドラマ等の影響からか、強烈な個性の持ち主というイメージを持っていたが、虚子はそれとはずいぶん違う人となりであることを知った。自分のことを「平凡な人間」「弱虫」と言ったりする。しかし編者の方は、それを「子規の影を背負って生き続けた虚子という人物のしたたかな自己肯定の表明のようにも思えるのである」と記されている。
自伝なので、多くは人生の中の思い出深いエピソードが占める。俳句そのものについての思索や自論、教えなどの記述は少なく -
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エッセイストで俳人の岸本洋子さんが、ベテラン俳人の岸本尚毅さんから名句を学びながら俳句上達のコツを探る。名句、名句集が多く紹介されているのがうれしい。麦秋の中なるが悲しい聖廃墟(水原秋櫻子)/チューリップわたしが八十なんて嘘(木田千女)/若狭には仏多くて蒸鰈(森澄雄)/死ぬときは箸置くように草の花(小川軽舟)/一瞬にしてみな遺品雲の峰(櫂未知子)/金色の佛ぞおはす蕨かな(水原秋櫻子)/紅梅やゆつくりともの言うはよき(山本洋子)/水脈の果炎天の墓碑を置きて去る(金子兜太)/来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり(水原秋櫻子)/起重機の手挙げて立てり海は春(山口誓子)/わが心ひそかに聞こゆ鉦叩(中村汀
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こういう本や、あるいはアンソロジーは筆者・編者が並べた順に読んでいくのがベストなのだと思います。しかし、芥川龍之介の愛読者の私は、芥川を最後にしました。それから太宰、賢治も後に回しました。そして、芥川を最後にしたのは正解、悪くなかったと思いました。
芥川は俳句がうまい、そして、その解説も深い、と感じました。太宰については、どうでしょう、太宰が芥川を信奉していたということを確認した感じでしょうか。
文は人、散文もそうなら韻文も同じ。小説と俳句のつながり、それが直接的であろうと、また、陰に隠れたものであろうと、それを読み解いていく岸本教官の力量に大満足の一冊です。Eテレの俳句教室で見せる切れ味の良 -
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文豪が残した俳句を、俳人の視点で読み解く一冊。教科書的な解説ではなく、俳人の感覚で見たときの評価が面白い。
また、文豪達が言葉を選びその句の形に仕上げた経緯の推察や、この文豪はこうしたけど、本来俳句として格好良く仕上げるならこういう言い回しを使う、…といった感じでぽんぽんと俳句のバリエーションが出てくるのはプロならではの情報量で、俳句素人の私も読んでて「なるほどな、俳句やってるひとの肌感覚ってこういう感じ…」と雰囲気が感じ取れるのが面白かった。
掲載文豪:
幸田露伴、尾崎紅葉、泉鏡花、森鴎外、芥川龍之介、、内田百間、横光利一、宮沢賢治、室生犀星、太宰治、川上弘美、永井荷風、夏目漱石、