あらすじ
文豪たちの俳句は、どこか違う。いや、かなり違う。それをさすがと言うべきか、やっぱり変と言うべきか――。尾崎紅葉、森鴎外、夏目漱石、内田百けん、幸田露伴、横光利一、室生犀星、宮沢賢治、永井荷風、芥川龍之介、泉鏡花、太宰治、川上弘美……。著者は、近現代の小説家が詠んだ摩訶不思議で奥深い俳句の数々を、ときに芭蕉、虚子といった俳人の名句と比較しながら詳細に読み解いていく。俳句愛好家、小説好きにはもちろん、教養書としても満足の一冊。
【各氏推薦!】
◆ロバート キャンベル氏(日本文学者) 心を打つ日本語のあらゆる表現の核心に俳句があることを初めて心得た。目の前の風景が深くグッと美しい色に塗り替えられる愉快な発見であった。
◆小川洋子氏(小説家) 俳句に光を当てれば、文豪の秘密が見えてくる。その何と魅惑的なことか。
◆夏井いつき氏(俳人・エッセイスト) キシモト博士の作品論的、作家論的アプローチが文豪を裸にしてしまった!
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Posted by ブクログ
こういう本や、あるいはアンソロジーは筆者・編者が並べた順に読んでいくのがベストなのだと思います。しかし、芥川龍之介の愛読者の私は、芥川を最後にしました。それから太宰、賢治も後に回しました。そして、芥川を最後にしたのは正解、悪くなかったと思いました。
芥川は俳句がうまい、そして、その解説も深い、と感じました。太宰については、どうでしょう、太宰が芥川を信奉していたということを確認した感じでしょうか。
文は人、散文もそうなら韻文も同じ。小説と俳句のつながり、それが直接的であろうと、また、陰に隠れたものであろうと、それを読み解いていく岸本教官の力量に大満足の一冊です。Eテレの俳句教室で見せる切れ味の良さがそのまま新書になっていました。
お気に入りの項目は、芥川、泉鏡花、そして最後の句合わせでした。
短編作家、そしてアフォリズムの芥川の資質に、深く感じ入った次第です。
時には、一句に一編の小説、全作品、全生涯が凝縮されることがある、それが読後の最初の感想です。
Posted by ブクログ
文豪が残した俳句を、俳人の視点で読み解く一冊。教科書的な解説ではなく、俳人の感覚で見たときの評価が面白い。
また、文豪達が言葉を選びその句の形に仕上げた経緯の推察や、この文豪はこうしたけど、本来俳句として格好良く仕上げるならこういう言い回しを使う、…といった感じでぽんぽんと俳句のバリエーションが出てくるのはプロならではの情報量で、俳句素人の私も読んでて「なるほどな、俳句やってるひとの肌感覚ってこういう感じ…」と雰囲気が感じ取れるのが面白かった。
掲載文豪:
幸田露伴、尾崎紅葉、泉鏡花、森鴎外、芥川龍之介、、内田百間、横光利一、宮沢賢治、室生犀星、太宰治、川上弘美、永井荷風、夏目漱石、