イプセンのレビュー一覧

  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    相手の思い通りになる「人形」である限りにおいて愛されてただけなんだと気がついたときのあの絶望感。思い出して苦しくなり、終盤は奥歯を噛み締めながら読んだ。
    ノラの台詞に父から夫へ受け渡された、みたいな言葉があり、「あの子は貴族」にも似たような台詞があったので思い出した。もしかしたらあの子は家族はこの作品にも影響受けている?シスターフッドがある分あの子は貴族のラストの方が爽やかだけど、併せて読むと面白いのかも。
    中盤までの主人公ノラはあまりにお馬鹿に見えるんだけど、「目が覚めた」後は教育がないなりにものすごく聡明で、こういう面を父や夫に抑圧されていたんだな、本来の彼女はこっちなんだな、と分かる。

    0
    2022年02月20日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読みやす〜い!
    ノラの態度が最後で劇的に豹変したように見えるが、彼女が言う通りそれまでの彼女は演じていただけなんだろう。
    「あたしは何よりも先に、あなたと同じように人間であると信じています、ーーいいえ、むしろ人間になろうとしているところだといったほうがいいかもしれません。」

    0
    2021年11月26日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    セリフ本だから少しばかり読むのが面倒だが、ふわふわ生きているノラが最後はしっかり自分の意思を持っていることが印象に残った

    0
    2021年04月09日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    ノルウェー戯曲家イプセン1879年(明治12年) 作
    夫は新年から銀行頭取に転身予定、ちょっと世間知らずの可愛い妻は数年前に父の署名を擬装して病気の夫の為にお金を借用していた。クリスマスの夜内緒にしていた夫にばれ罵倒される。夫の本心がわかり「あたしは、何よりもまず人間よ、あなたと同じくらいにね」名台詞を残して夫と子供を捨て自立を決意し家を出てゆく。
    フェミニズムの原点作品かもです。



    0
    2021年03月19日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    普段あまり親しみのない古典、劇ということで難しいかなと構えていましたが、思った以上に楽しめました。愛情深く夫を救った妻に浮上した災難の話かと思いきや、美しくてかよわい若妻と思いきや、でした。しかもこれを男性が書いたなんて天晴れです。時代や国は違えど、現代夫婦にも通じるものをかんじました。やっぱりパートナーとは深く話し合える仲でありたいです。

    0
    2021年01月01日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「人形の家」は1879年にノルウェーの劇作家イプセンが書いた戯曲だ。雑に言うとモラハラ夫の偽善に気付いて主人公の女性(ノラ)が家を出るというストーリーである。タイトルにある「人形」はバービーのような実際の人形のことではなく、あたかも人形のように愛でられ、家庭に縛られていたノラ自身のことを指している。

    例えヨーロッパといえども、140年も昔には女性の立場は今よりも弱かったと思うのだが、しっかりと自分の言葉で夫に別れを告げ、自分の足で立ちたいと言って人生をリスタートするさまは爽快感がある。

    最後に家を出る直前、ノラは初めて夫に向き合い、自分の考えをぶつける。ここで語られた思いが時代を飛び越えた

    0
    2020年11月23日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    ヨーロッパ、とくに北欧は男女平等、同権が進んでいるというイメージがあった。この「人形の家」は直接的な「差別」をテーマにしているわけではないと思うが、社会に根深い不平等な制度・意識は100年ちょっと前の北欧でも根深いものがあったのだろうと知る。

    ノーラがサインを偽装せざるをえなかったのも、その後にその事実を隠さないと正当に生きていけないとノーラが思ったのも、やはり社会制度や意識がノーラに正しく生きさせることを許さなかった、と見るべきであろうか。

    たいへん考えさせられる一冊。

    0
    2020年05月21日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    夫は妻を自分の所有物の如く思い込んでしまう。主人公のノラは、ある事件への夫の対応から、自分の立ち位置、自分がいかにそのことに盲目であったかに気づく。人生にどう接するか。ノラの態度に賞賛を贈るか、夫のみならず三人の子どもまでを見捨てていくのは自分勝手と非難するか。強烈な投げかけが、短編ゆえに効いているようだ。2020.3.22

    0
    2020年03月22日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    「あなた方は、あたしを愛していたんじゃないわ。ただかわいいとか何とか言って、面白がっていただけよ」という一文を読んで忌野清志郎が「キミかわいいね/でもそれだけだね」と歌っていたことをふと思い出す。19世紀に書かれた戯曲で描かれるのは、良い娘/妻としての役割から解き放され、実存として浮かび上がる自己に目覚めたひとりの女性の姿だ。罪の果実を食して始めて人間として目覚めるというのは正しく神話的と言える。最後20頁におけるノラの怒涛の台詞は強烈なカタルシスをもたらすと同時に、その叫びは現代もなお主題たり得ている。

    0
    2015年06月08日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    女性の自立への目覚めを描いた戯曲。
    古さを感じさせず面白かった。

    ノラは父からも夫からも人形のように可愛がられ、お嬢様育ちの世間知らずのまま大人になってしまった女性だ。専業主婦といえるが、女中や乳母がいるので家事や子育てでもそれほど苦労していない。傍から見るとなかなか「いいご身分」なのである。

    世間知らずゆえに犯した過ちによってノラは窮地に陥る。そして自分の無知や、周囲の人々に影響されて自立へと目覚めてゆく。

    「あたしがこんな何一つできない女になったのも、みんなあなた方の責任です」

    ノラが言い放ったこの言葉は、戯曲が発表された19世紀後半にかなり物議を醸したのではなかろうか。社会によっ

    0
    2015年01月20日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     フェミニズム事始め。賛否いずれの立場にあっても、女性差別・女性解放論の基本的な枠組みを提示した出発点として、何より演劇史上の歴史的・記念碑的古典として今後も顧みられるべき作品。

    0
    2014年08月02日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    いつ彼女の金銭的秘密がばれてしまうのか、ハラハラしてとても面白かった。しかしばらされずに済んだ理由が少し物足りない。女は男に寄生して養ってもらえばよいという例だと考えると悪くないかも。驚きの展開だったがその対比のような主人公の選択は潔くてかっこよかった。夫には豹変のように見えるのだろうが、実際は彼女はずーっとお人形を演じていたのだ…わりとよくある家庭の光景なのかもしれないと思った。今もどこかに人形の家はきっとある。

    0
    2014年07月13日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    史上最高小説100の一冊。シェイクスピア以後、最大の劇作家といわれるイプセン。その代表作であるのが「人形の家」である。まだ戯曲といえばソポクレスの「オイディプス王」「アンティゴネ」、エウリピデスの「王女メディア」、そしてゲーテの「ファウスト」しか読んでいないので、近代劇となると初めてということになる。舞台は100年と少し前ぐらいのヨーロッパ。資本家の夫を持つノラは、銀行の頭取に夫が就き、今後の生活の華やかさに心躍らせる女性である。しかしそんな地に足がつかないような半妄想的な生活の最中、過去の金銭の貸借についての不手際が持ち上がり、またそれが夫の名誉を地に落とすような類のものであったので、すべて

    0
    2014年05月27日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    裏のあらすじを引用すると…
    小鳥のように愛され、平和な生活を送っている弁護士の妻ノラには秘密があった。夫が病気の時、父親の署名を偽装して借金をしたのだ。秘密を知った夫は社会的に葬られることを恐れ、ノラをののしる。事件は解決し、夫は再びノラを愛するが、ノラは人形のように生きるより人間として生きたいと願い、三人の子供も捨てて家を出る。


    ヘルメルがノラを愛していることは分かるが、女はバカで可愛ければ良い…というか。そういうのが現れてたのかな、なんて。
    ノラが夫婦なのに、今まで真剣に話しをしたことがなかったと言う場面があるが、彼ら二人は夫婦ではなく、ノラの言うように人形ごっこをしていたんだな、と思

    0
    2013年08月22日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    21世紀の現在でもノラと同じ「人形」になってる女性は多い気がします。
    19世紀に書かれた戯曲という事に驚きです。全く色あせていません。

    0
    2013年01月16日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    主人公ノラが気づくことは、現代にもあてはまるのではないかとはっとさせられます。結婚する前はお父様の手のひらの上で、結婚してからはあなたの手のひらの上で、芸当をして、目をかけて可愛がってもらっていたんだと、何一つ魂が向き合うような話をしてこなかったのだと。
    主人公ノラと夫との闘いは、作者イプセンが当初に意図したように女の世界の論理と男の世界の論理との違いです。

    0
    2012年02月22日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    舞台は一軒の家の中のみ、の地味な設定なのに、
    どきどき、はらはらで止まらなくなります。

    当時の人にとっては、衝撃のラストだったことでしょう。
    とはいえ現代でも、主人公のような生き方をしている女性はたくさんいるだろうなと思います。

    あんな風な女性が、あんな風に一瞬で心を決めることができるものだろうか、とも思いますが、それはまあ、芸術作品なので。

    0
    2011年06月10日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    三幕家庭劇。
     劇脚本。
     未亡人視点。
     因習に縛られて放蕩していた夫の元に留まらなくてはならなかった女性の物語。未亡人になった彼女は息子のために夫の偽りの名誉を保とうとするが、結局は親の業(遺伝病)を受け継いだ息子は精神を病み、彼女は追い詰められる。

     五人劇。人数としては学芸会に最適ですね。 内容は……まあ微妙ですけど。
     ヘレーネ(苦労した未亡人・アルヴィング夫人)オスヴァル(息子、画家)マンデス(人の噂や評価ばかりを気にする牧師)エングストラン(レギーネの義理の父。指物師、詐欺師? ちんぴら)レギーネ(アルヴィング夫人のしたたかな召使)

     幽霊は実体のないもの。つまり、因習とか業

    0
    2011年05月25日
  • イプセン 人形の家

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女性解放運動の先駆けとなった偉大な小説である、という理解はしていた。
    だが、令和のいま読んでみると、どっちもどっちの夫婦だなという印象。
    ノラは夫が自分を人形のようにしか愛していないと感じて家を出る決意をしたが、ノラだって自分の望むように自分を愛してくれない夫を愛せずさっさと見限ったんだから夫だけを悪者にできるのか?自分を愛してくれる都合のいい男だから好きと思い込んでいたノラも同罪では。
    ノラの夫と子どもに対する責任よりも自分に対する責任があるというのは、幼い子ども3人に対してはただの無責任で、自分と子どもを一緒に教育していくべきだったと思う。

    0
    2025年09月27日
  • 人形の家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    母親なのに子供置いていくのはどうなの?と思ったが、そもそもこの考え方が女性に特定の役割を期待するものであったことに気がついた。知らず知らずのうちに差別意識を抱いていた。

    子供を置いていくなんて、などと反発が出ることも織り込み済みでこんな展開にしたのだろう。

    0
    2024年11月26日