感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2022年09月26日
子供と家を捨てて、自分を獲得するために動いたノーラは正しいのか?どちらとも言えない…。
最初、二人の会話の仲睦まじさから良好な関係にある夫婦だと思っていた。そう思わせておいて、あのような形で問題を投げかけてくることがうまいなと思った。
愛していることは確かなのに、潜在的に彼女を自分より下位である、...続きを読む守ってあげる存在だとしていたことが露呈したのが悲しい。
親子ならまだしも、夫婦間での力関係は今でも全然あることだと思うし、多分無意識に、そっちの方が円滑だからとか思って、悪く言えば隷属している部分もあるのかなと思ったり…。
上手くまとまらないけど、現代の夫婦観に思いを巡らせてしまう、良い刺激を受けた本だった。
Posted by ブクログ 2021年10月21日
出版時にこのような男女の関係を本として記すことが出来るその心に畏敬の念を持たせていただきたい。
戯曲を本としたものは初めて読んだので、会話を読み進めていくのが面白かった。
世間知らずということをしっかり認識し、責任をもつ主人公の姿には見習いたいと感じた。
Posted by ブクログ 2020年01月11日
まってこれってこんな面白い話だったの!?
大学生のときに読んだきり、
そして一応役者なので、エチュード的に一部はやったことがあるけど…
全然わかってなかった!!
やはり本ていうのは、読むときの年齢によって全然見え方が違うものですね。
仕事のために読んだけど、いま読んでよかった。
ノーラが馬鹿すぎて最...続きを読む初「イーッ!」てなったけど、
最後に「そういうことか…」と納得。
でも、自分の人格形成における失敗(?)の責任を夫や親に押し付けるのは趣味じゃないです。
しかし!それを最後に自分の正しいと思うように行動するノーラには快哉を叫ぶぞ!
後世に書かれたものだけど、森本薫の女の一生「誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩き出した道ですもの。間違いと知ったら、自分で間違いでないようにしなくちゃ。」に通じますわ。
Posted by ブクログ 2019年07月24日
>遅くまでペンを執ったわ。本当に、何度もふらふらになったわ。それでも、そうやって働いて、お金を儲けるのは、とても面白かったわ。まるで男になったような気がしたの
>法律は決して動機を問いません。
>じゃ、それは、とても悪い法律よ。
>いいえ、そんなことありっこないわ! だって、愛情からしたんですもの...続きを読む。
>しかし、お前が、自分独りで何の処理もできないからって、おれの愛が薄らぐと思らかね? いや、いや、ーーおれに寄っかかってればいいんだ、ーー助言もしてやる、指導もしてやる。そういう女の無力さは、二倍も魅力的なんだ。そのお前がわからなければ、おれは男といえやしないさ。
おれが大きい翼をひろげて、お前をかばってやるからね。 ああ、何てわが家は気持ちがいいんだ、ノーラ。ここならお前も安心だ。おれが守ってやるんだからな、タカの爪から無傷でおれが教い出したハトのように。まだ動悸を打っているその胸も、鎮めてやるよ
男というのは、 妻を許した、ーー心の底から本当に許したんだ、と自分で認めて、そういうことに何とも言えない心地よさ、 満足感といったものを持つものなんだ。それで妻は、 二重の意味で、彼のものになったようなものなんだ、ーー彼は妻に、新しい生命を与えたようなものだよ。 妻は、言わば、彼の妻であると同時に子供にもなる。お前も今日からはそうなんだ、途方に暮れた、寄る辺ない小っちゃな赤ちゃん。何も心配はないんだよ、ノーラ、ーーただ、何でもおれに打ち明けるんだ、そうすれば、おれがお前の心とも、良心ともなってやる
>あたしはとても間違った扱いを受けていたのよ、トルヴァル。最初は。パパに、それからあなたに。
何だって! われわれ二人に、ーー誰よりもお前を愛した二人にだって?
(頭を振って)あなた方は、あたしを愛していたんじゃないわ。ただかわいいとか何とか言って、面白がっていただけよ。
何てことを言うんだ。ノーラ!
ええ、そうなのよ、トルヴァル、パパと一緒にいたころ、パパは何によらず、自分の思うことをあたしに言ったわ。だからあたしも、同じように考えた、 ーーそして、もし、考えが違えば、あたし、隠したわ、ーーだって、パパには気に入らなかったでしょうからね。パパはあたしを赤ちゃん人形と呼んで、あたしが自分の人形と遊ぷように遊んだわ。それからあたしは、この家へやってきたーー
>でも、あたしたちの家は、 ただの遊び部屋だっただけよ。あたしは、あなたの人形妻だったのよ、 実家で、パバの人形っ子だったように。それに子供たちが、今度はあたしの人形だった。あたしはあなたが遊んでくれると、うれしかったわ、あたしが遊んでやると、子供たちが喜ぶように。それがあたしたちの結婚だったのよ、トルヴァル。
お前の言うことにも、もっともなところはある、 ーーやけに誇張して、大げさだがね。しかし、これからはそうはいかんぞ。 遊び時間は終ったんだ、ーーこれからは教育の時間だ。
誰の教育? あたしの、それとも子供たちの?
お前と子供たちの両方だよ、ノーラ。
ああ、トルヴァル、あなたはあたしを、あなたのいい妻に教育できるような人じゃないわ。
>あたしには、 そんなことできないわ。それより、もっと、先にしなくちゃならないことがあるのよ、 自分を教育しなくもゃ。それを手伝ってもらうなんて、あなたはそういう人じゃないのよ。あたし、独りでやらなくもゃならないことね。だから、あなたと別れるのよ。
>自分のことや、世の中のことを知ろうといろんですもの、それには独りきりならなくもゃ。 だから、もうこれ以上、ここにいるわけにはいかないのよ。
>お前は何よりまず妻で、母親だ。
そんなこともう信じないわ。あたしは、何よりもまず人間よ、あなたと同じくらいにね、ーー少なくとも、 そうなるように努めようとしているわ。そりゃ世間の人たちは、あなたに賛成するでしょう、トルヴァル、それに、本で言っているのも、そういうことよ。でも、あたしは、もう、世間の人の言うことや、本に書いてあることには信用がおけないの。自分自身でよく考えて、物事をはっきりさせるようにしなくちゃ。
「現代悲劇のための覚え書」
しかし現実の生活では、女性は男性の掟によって裁かれる、彼女が女性でなく、男性であるかのように。
この戯曲の人妻は、最後に何が正しく、何が正しくないかということがわからなくなってしまう。一方にある自然の感情と、他方にある権威への信仰が、彼女を大きな混乱に陥れてしまうのだ。
女性は、 現代社会では独立の人格となり得ない。この社会はまったく男性のものであって、男性が作った法律によって、男性の立場から女性の行動が裁かれる。
>女は実際的でないとか、 裏でこそこそやるというなら、男は違うと断言できるか。いったい男たちは、女性に同等の権利を与えることになぜ恐れを感じるのか?
>この作品が古めかしい「女権」問題の社会劇とされたのは時代のせいだが、イプセンがこの戯曲で示したのは、 何よりも自分自身が何者なのか、まずそれを確かめるのが人間の義務であり、そういう人間になるべきだ、ということだと言ってよかろう。そういうことに迂闊だから、愛や結婚の真実も見えなくなってしまうのである。イプセンはそれをきわめて日常的な衣裳で、そして無駄のない台詞、単純な筋運びで展開し、リアリズム演劇に一エポックを画したのである。
守ってるんだか閉じ込めてんだかなまるで人形か赤ん坊みたいなかわいがり
いや~~~すごい…1879年・・・ 男性が女性を抑圧する権力構造にかなり自覚的じゃないと書けないよね?
Posted by ブクログ 2015年10月16日
家庭板みたいな話でゲスく楽しめました。面白かったです。
ヘルマーがモラ男なのはもちろんですが、ノラが大概甘ちゃんすぎます。
「父や夫に心配をかけないために、勝手に父の名前を保証人欄に書いて、借金をした。思いやりゆえの行動であり、これが偽署の罪だというなら法律が間違っている!」というのが、序盤で出てき...続きを読むた上に最後にも出てくるノラの主張です。
過ちを犯した人はみなそれぞれの事情があったということに思い至らないノラは世間知らずのままです。
そして、自分を愛していると言いながらも犯罪はかばってくれなかった旦那に幻滅して家を出るわけです。
よく考えもせずに、生家のなくなった地元へ戻る? あてもないうえに子どもを捨てて? なんて気まぐれな、というか、1週間で帰ってくるに100ペリカ。
Posted by ブクログ 2013年12月15日
この本を読み終わって思わず、本を破り捨てたくなった。ノーラを理解できない夫のヘルメルへの怒りのために。そして、今の日本の女性の状況のために。
それくらい心を揺り動かされた一冊。
もし将来結婚するなら、相手に読まして反応を見たい。(悪趣味かな…)
Posted by ブクログ 2012年09月08日
全く期待せずに読んだけど凄く心打たれた。
男と女とで確実に感想が異なるであろう末恐ろしい一冊。
自分の嫁に読ませて感想を聞きだして一喜一憂するか、はたまた永遠に禁書にするか。
訳者の原 千代海さんは人間賛歌として解釈してるけど、これは今も昔も重厚な社会劇だよ。
ってかイプセンは元々ナショナリズムの闘...続きを読む士だったのに途中でノルウェー大嫌いになって国外で暮らしたり(結局晩年に戻ってきたけど)、女性の社会進出を訴えた戯曲を書いた直後に女性蔑視者になったりとかなり香ばしい作家。
イプセンはローマの学術団体「北欧協会」でそれまで認められていなかった総会における女性の投票権を声高に主張した。会費を払えば男も女も同じである、と。
しかしその提案に猛反発したのはあろうことか大半が女性。
イプセンはこれに大いに失望して一転女性蔑視的な性格となる。
女性の社会進出を推し進めるフェミニスト団体は、社会進出を望まない女性のことは微塵も考えない。まるで学級委員が自分だけ善だと思って乗り気のしない周りを巻き込む構図のよう。男と同じ仕事量・責任で同じように出世して子供が産まれてもバリバリ働きたいなんて思う女性はごく一部だよ。
果たしてどっちが本当の優しさかな?
イプセン自身の生涯も相俟って色々と考えさせてくれた一冊
Posted by ブクログ 2012年03月15日
19世紀にフェミニズムを描いたノルウェーの戯曲。
この時代は当然となっていた家庭での「男の権威」と同時にあった女性への卑下(嘘により家庭を駄目にし子供を堕落させうるのは母親、なんて文も)。
そんな「当然」の中で夫婦をあくまで対等の存在だ!というのは相当衝撃的な主張だったそうで。「今まで自立できな...続きを読むい人形のような自分だったから」という理由で家出したノーラの行動については論争が起こったほど。現代ですらいかがなもんかと言われるやも。
個人的に印象的だったのは夫のヘルメルがノーラをただ可愛がってただけで、結婚してから8年間真剣に話したことはなかった。可愛い娘が父から夫の手に移っただけ。それは人形みたいな扱い。という事態。
これは少なくとも現代の恋愛観にも通じるものがあるんじゃないかとさえ思えた。うまく一緒にやっていくためにはただ魅力を感じるだけではダメで、表面的でない次元まで話すような過程が要るんだと思った。
フェミニズムをうたった物語だが、久々に考えさせられた本でした。
Posted by ブクログ 2010年11月05日
ある夫婦のはなし。
女の人ってすごくずる賢くて、実はとんでもないことをしでかしているんだから!
と、わくわくしました。
女の人の強みと弱みをうまく使い分けたノーラがすばらしい。
たのしかった。
別れると決めたら、一歩も譲らない決意もかっこいい。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
おもしろすぎる。
入り込んでしまい、2時間弱で読破。
最後の20ページは心が
震えたいうか、
とてつもない感情が自分の中に生まれて、
チクチク痛かった。
男性主体社会では夫婦関係は「愛」にならず、
それは「保護者」と「人形」になってしまう。
その要因は簡単なもので、
自分の実存確認、内省を行わないこ...続きを読むとになる。
というか、従属できて、それで生活できてしまうんだから必要がなくなる。
結果、相手からの影響は感化ではなく洗脳になってしまう。
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
社会とかシステムって人間を壊すよね。まさしく。
「法律は動機のいかんを問わんものです」
「若いうちに堕落する人間は、まずたいてい、その母親が嘘つきだ」
「けれどもね、心から愛する人と、会って話するのが好きな人とありますわ」
「あけすけに話をする必要があります。ごまかしや上塗りでは、とてもとてもあの上やってゆけるものではありません」
「あなた方はわたしを愛していらっしゃったのではありません。わたしを夢中に甘やかしているのが、いい楽しみだったのです」
「パパはわたしを自分の人形と呼びました。そうしてわたしと遊びました。ちょうどわたしが自分の人形をおもちゃにするような風に。」
「わたしはあなたの前で芸当をして生きておりました。しかもあなたはそれをお好みでしたわね。あなたとパパと、お二人とも、私に対してふかい罪をおつくりになった。あなた方のお陰で、わたしはこんなからっぽの女になりました」
「わたしには子供を教育する勤めを果たすだけの力がございません。その以前にわたしが果たさなければならない、ほかの勤めがあります。わたしはまず自分を教育しなくてはなりません。しかも、あなたはそれを助けてくださるお人ではございません。わたしは独力でいたさなくてはなりません」
「今となっては、世間の言うことだの本に書いてあることだのは、わたし標準とはいたしません」
「私が正しいか、社会が正しいか、窮めなくてはなりません」
「あなたの心配の一滴でもいいから飲ませてほしいのです。でもそれをおねがいすると、あなたはいつも軽い冗談にしてしりぞけておしまいになりました。あなたはわたしをちょうど人形のように教育なさいました。あなたは子供を相手にして遊ぶように、わたしを相手にお遊びになりました。わたしは苦しみを担うことができたらどんなに嬉しかったでしょう。私は嵐のように吹きすさんで高めてくれるものを、心からあこがれていました」
Posted by ブクログ 2021年03月19日
ノルウェー戯曲家イプセン1879年(明治12年) 作
夫は新年から銀行頭取に転身予定、ちょっと世間知らずの可愛い妻は数年前に父の署名を擬装して病気の夫の為にお金を借用していた。クリスマスの夜内緒にしていた夫にばれ罵倒される。夫の本心がわかり「あたしは、何よりもまず人間よ、あなたと同じくらいにね」名台...続きを読む詞を残して夫と子供を捨て自立を決意し家を出てゆく。
フェミニズムの原点作品かもです。
Posted by ブクログ 2021年01月01日
普段あまり親しみのない古典、劇ということで難しいかなと構えていましたが、思った以上に楽しめました。愛情深く夫を救った妻に浮上した災難の話かと思いきや、美しくてかよわい若妻と思いきや、でした。しかもこれを男性が書いたなんて天晴れです。時代や国は違えど、現代夫婦にも通じるものをかんじました。やっぱりパー...続きを読むトナーとは深く話し合える仲でありたいです。
Posted by ブクログ 2020年05月21日
ヨーロッパ、とくに北欧は男女平等、同権が進んでいるというイメージがあった。この「人形の家」は直接的な「差別」をテーマにしているわけではないと思うが、社会に根深い不平等な制度・意識は100年ちょっと前の北欧でも根深いものがあったのだろうと知る。
ノーラがサインを偽装せざるをえなかったのも、その後にそ...続きを読むの事実を隠さないと正当に生きていけないとノーラが思ったのも、やはり社会制度や意識がノーラに正しく生きさせることを許さなかった、と見るべきであろうか。
たいへん考えさせられる一冊。
Posted by ブクログ 2015年06月08日
「あなた方は、あたしを愛していたんじゃないわ。ただかわいいとか何とか言って、面白がっていただけよ」という一文を読んで忌野清志郎が「キミかわいいね/でもそれだけだね」と歌っていたことをふと思い出す。19世紀に書かれた戯曲で描かれるのは、良い娘/妻としての役割から解き放され、実存として浮かび上がる自己に...続きを読む目覚めたひとりの女性の姿だ。罪の果実を食して始めて人間として目覚めるというのは正しく神話的と言える。最後20頁におけるノラの怒涛の台詞は強烈なカタルシスをもたらすと同時に、その叫びは現代もなお主題たり得ている。
Posted by ブクログ 2014年07月13日
いつ彼女の金銭的秘密がばれてしまうのか、ハラハラしてとても面白かった。しかしばらされずに済んだ理由が少し物足りない。女は男に寄生して養ってもらえばよいという例だと考えると悪くないかも。驚きの展開だったがその対比のような主人公の選択は潔くてかっこよかった。夫には豹変のように見えるのだろうが、実際は彼女...続きを読むはずーっとお人形を演じていたのだ…わりとよくある家庭の光景なのかもしれないと思った。今もどこかに人形の家はきっとある。
Posted by ブクログ 2012年02月22日
主人公ノラが気づくことは、現代にもあてはまるのではないかとはっとさせられます。結婚する前はお父様の手のひらの上で、結婚してからはあなたの手のひらの上で、芸当をして、目をかけて可愛がってもらっていたんだと、何一つ魂が向き合うような話をしてこなかったのだと。
主人公ノラと夫との闘いは、作者イプセンが当初...続きを読むに意図したように女の世界の論理と男の世界の論理との違いです。
Posted by ブクログ 2011年06月10日
舞台は一軒の家の中のみ、の地味な設定なのに、
どきどき、はらはらで止まらなくなります。
当時の人にとっては、衝撃のラストだったことでしょう。
とはいえ現代でも、主人公のような生き方をしている女性はたくさんいるだろうなと思います。
あんな風な女性が、あんな風に一瞬で心を決めることができるものだろう...続きを読むか、とも思いますが、それはまあ、芸術作品なので。
Posted by ブクログ 2011年05月25日
三幕家庭劇。
劇脚本。
未亡人視点。
因習に縛られて放蕩していた夫の元に留まらなくてはならなかった女性の物語。未亡人になった彼女は息子のために夫の偽りの名誉を保とうとするが、結局は親の業(遺伝病)を受け継いだ息子は精神を病み、彼女は追い詰められる。
五人劇。人数としては学芸会に最適ですね。...続きを読む 内容は……まあ微妙ですけど。
ヘレーネ(苦労した未亡人・アルヴィング夫人)オスヴァル(息子、画家)マンデス(人の噂や評価ばかりを気にする牧師)エングストラン(レギーネの義理の父。指物師、詐欺師? ちんぴら)レギーネ(アルヴィング夫人のしたたかな召使)
幽霊は実体のないもの。つまり、因習とか業。それが色濃く出るのは、オスヴァルがレギーネに戯れかかっているのをヘレーネが目撃した時に。
レギーネの母はアルヴィングとの間にレギーネを作っていたのだ。そして、兄妹であることを知らない二人はいちゃついていて、それにヘレーネは大きなショックを受ける。
オスヴァルはだが、レギーネが妹だとは知らなくても、その人柄を存分にわかった上で彼女を妻にしようとしていた。彼は不治の病で、痛み止めのモルヒネを溜め込んでいた。次に発作が起きた時、それを飲ませて、人生を終らせてくれることを祈っていた。母はダメだった。
レギーネなら、薄情だから、病人の世話なんかすぐに嫌になって、やってくれるに違いない、と。
まさにそうです。レギーネは言います。
「こんな田舎にぐずぐずして、病人の看護に一生費やすのは嫌」そして出て行く。まったく、素直な女性ですね(苦笑)
ラストは息子が発作を起こす。太陽、太陽と抑揚のない声で呟いて。ヘレーネはモルヒネを使おうかと迷い、「いや、いけない」と金切り声で叫んで、恐怖のあまり立ち尽くす。 かわいそうです。牧師が全部悪いんです。
Posted by ブクログ 2019年03月03日
台詞中心で物語が展開され、小説というよりかは舞台の台本を読んでいる感じ(実際がそうなのか)
イプセンの「人形の家」は高校時代から少し気になっていたが、「これでよかったのか...?」とあまり腑に落ちない結末であった。評価としては3.5くらい。
個人的には話が複雑でなく古典文学にしては比較的読みやすい部...続きを読む類に入るが(ノヴァーリスの「青い花」を読んでしまったせいか?)他の人のレビューもぜひ参考にしたい。
Posted by ブクログ 2014年06月15日
たった二日間の間に起きた出来事により、
夫婦の心のすれ違いに気付き離婚までに至るという
スピーディな展開の物語。
現代、この様な作品はたくさん出回っているが、
140年以上前に描かれたというところに驚かされる。
結婚している者、特に女性側がみると、本当にあるあるで、
林真理子さんなどの現代小説を...続きを読む読んだかの様に最後は共感できる。
つまり男女間の心の溝は今も昔も普遍的なものなのだろう。
Posted by ブクログ 2014年06月03日
劇形式で、作り物のように簡略化されながら、近代という時代をひしひしと感じます。
絶対に理解しあえぬ男女。
ノラの言うことが分からず困惑している夫があわれで、悲しい。
Posted by ブクログ 2013年11月04日
えー・・・これは・・・
「人形」に過ぎなかったノラの、人間として歩みだす、
物語・・・なのか・・・?
どちらかというと私は旦那の方に感情移入してしまうんだけど・・・
まぁ、愛されて可愛がられて主体性をうしなって、男の人形になっちゃう、
あることがきっかけでそれに気が付き、一人の人間として自立して...続きを読むいく、という物語は、うん、そだね。
子供の反抗期と同じ・・・
時代なのか、わからないけど、あまりすっとは下りて来なかった。。
謎。みんなの感想が気になる。
Posted by ブクログ 2013年08月05日
家の中で従順に従っていた女性が、ある出来事をきっかけに自分というものを確立させるために自立しようと試みるお話し。ノラが、夫婦で確かに話し合ったことが無い、という台詞にはドキリとさせられる。
Posted by ブクログ 2020年07月15日
現代のトレンディドラマで扱ったとしても、全然違和感を感じないだろうテーマの新しさにびっくりした。自分の周りの友達からも、この物語の中で起こったことと非常によく似た話しを時々耳にしてきた気がする。
主人公ノーラと同じようなことを考えて唐突に目覚める女性は、現代にこそますます多くなっているだろうし、こ...続きを読むの「人形の家」という素晴らしい参考書(過去問題集)があるにも関わらず、その突然のアクシデントの勃発に面くらう男もやはり多くいるにちがいない。
「人形の家」という言葉の意味が最初わからなかったけれど、読み終わってみて、とても秀逸なタイトルだったことに気づいた。
時代や国を越えて、多くの人に共感を与えられることが名作の条件だとすれば、この作品は、間違いなく不朽の名作と呼ぶにふさわしいと思う。
ノーラ:あなたは一度も、あたしをわかってくださらなかった。あたしはとても間違った扱いを受けていたのよ、トルヴァル。最初はパパに、それからあなたに。
ヘルメル:何だって!われわれ二人に、誰よりもお前を愛した二人にだって?
ノーラ:(頭を振って)あなた方は、あたしを愛していたんじゃないわ。ただかわいいとか何とか言って、面白がっていただけよ。
ヘルメル:何てことを言うんだ。ノーラ!
ノーラ:ええ、そうなのよ、トルヴァル、パパと一緒にいたころ、パパは何によらず自分の思うことをあたしに言ったわ。だからあたしも、同じように考えた、そして、もし、考えが違えば、あたし、隠したわ、だって、パパには気に入らなかったでしょうからね。パパはあたしを赤ちゃん人形と呼んで、あたしが自分の人形と遊ぶように遊んだわ。それからあたしは、この家へやってきた。(p.160)
ヘルメル:家も、夫も、子供も捨てて!世間が何と言うか、お前はお構いなしなんだ。
ノーラ:そんなこと気にしちゃいられないわ。わかっているのは、こうしなくちゃならない、ってことだけよ。
ヘルメル:何というけしからん!お前は自分の、いちばん神聖な義務を放棄するんだぞ。
ノーラ:何があたしのいちばん神聖な義務だ、っておっしゃるの?
ヘルメル:そんなことまで言わなくちゃならないのか!夫と子供たちに対する義務じゃないか?
ノーラ:あたしには、同じように神聖な義務がほかにあるわ。
ヘルメル:そんなものはない。どんな義務だ?
ノーラ:あたし自身に対する義務よ。
ヘルメル:お前は何よりまず妻で、母親だ。
ノーラ:そんなこともう信じないわ。あたしは、何よりもまず人間よ。あなたと同じくらいにね、少なくとも、そうなるように努めようとしているわ。そりゃ世間の人たちは、あなたに賛成するでしょう、トルヴァル、それに、本で言ってるのも、そういうことよ。でも、あたしは、もう、世間の人の言うことや、本に書いてあることには信用がおけないの。自分自身でよく考えて、物事をはっきりさせるようにしなくちゃ。(p.164)
Posted by ブクログ 2009年10月04日
10年ぶり。同窓会で久々に逢う知人は、
それぞれ、様々な人生を送っています。
結婚/離婚、出産/死別。
良いことも悪いことも人それぞれです。
最近、
「離婚した」、もしくは
「離婚しそう」、といった人が、
何人か周りにいます。
どんな理由でそう至るのか、
当事者同士の中で、それ...続きを読むぞれ言い分があるのでしょう。
イプセンは、結婚についてこう言っています。
●「結婚とは―諸君が諸君の全精神を注ぎ込まねばならぬことである」
この「人形の家」は、
女性の自覚と解放を取り上げています。
幸せな家庭も、円滑な夫婦仲も、
妻が自己を犠牲にすることで、
成り立っていることもあるようです。
結婚して、妻を掌で扱っていませんか?
そんな気がなくとも、
過剰な気遣いがそんな状況を生みだしていることもあります。
この本を読み、互いの関係を俯瞰してみましょう。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
劇の台本のようなかたちで、セリフが書き連ねられ、場面も居間から動かず、淡々と進む物語。私は、女性がこのように男性の都合よく家庭に縛り付けられ、その支配の下で人形のような扱いをうける差別的社会の様子が、あまり実感として得られずに生きているが、それとは別に、この作品から、性の別に関らず自分の足で生きてい...続きを読むくことの力強さと孤独とを感じ、またその中で精神が卑屈にも自由にも、また優しくも汚くもなりうることを感じた。また、こんなに互いに疑い合いながら生きて、信頼も裏切りへと簡単に覆ってしまうのでは、心が常に殺伐としているのだろうな、と思い、同時に私自身の生きている世界の狭さを感じた。