本間龍のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
原発安全神話を作り上げた原発広告をプロパガンダの一種と見做し、その歴史と構造を探った書。
1991年に作成された「原子力PA方策の考え方」は原発広告の舞台裏が垣間見えて興味深いし(p.48-64)、「私も脱原発だ」と公言して都知事選に立候補した舛添要一氏が過去にちゃっかり原発推進派のシンポジウムで基調講演を務めていた模様が収録されている点も見逃せない(p.244)。
ただ、広告の分析は表層的で決して鋭いものではないし、事実なのか著者の臆断なのかよく分からない表現が散見されるのもいただけない。したがって、本書の価値は歴代の原発広告を多数掲載した資料性の高さにあると言って良いのだが、縮小された -
Posted by ブクログ
巨大広告主たる電気事業連合会と電力各社が、電通、博報堂の大手広告代理店を通じて、どのようにメディアを支配し、マスメディアで自分たちに都合がよい情報だけを流し、不都合な情報を流さないようにコントロールしているかという仕組みを解説した書籍。
広告関係の仕事をしたことがない方にとってもふーんと読めると思います。
本書の指摘で再度思ったのは、電通、博報堂がメディア広告業界を独占しているのにもかかわらず、独占禁止法上の問題がまったく指摘されていないこと。これが、日本の言論界(マスメディア)と政治権力をどれだけ支配しているかということの指標になるだろう。 -
Posted by ブクログ
タイトルで電通悪みたいに見えてしまうけど、本当に叩かれるべきは電力会社のメディアへのプレッシャーだろう、と思う。
この本は電通、というかテレビの広告枠を買う広告会社はどのような仕事なのか、という紹介本として読むと面白い。
逆にメディア側の立場になったとき、メディアが広告費をもらうことで起こりうること、営業はどこまでクライアントファーストにして編集に意見を通すのか、そういった事を考えると面白い視点が生まれる。
あと、デンパクがそれぞれcciとDACを立ち上げた、というくだりがCAとDACを立ち上げた、というとんでもない誤記になっていてビックリした。 -
Posted by ブクログ
中国で起きた大規模な反日運動がその翌日に急速に収束するのに役立ったのは政府が国民の大半に向けて送ったショートメールだったという。国民の大半にメールを送れること自体も驚きだが、ITが支配に利用される現実を見せつけられた気がする。言論統制の最終段階の一端を垣間見た。
さて、わが国には言論の統制は存在しないのだろうか。一般に報道の自由という言葉は普及しているがその実態はどうなのだろうか。その答えの一つを本書は示してくれる。
東日本大震災に至るまで、原発はクリーンエネルギーとして好意的に報道されてきた。新聞各社は電力会社やその関連団体の出す全面広告をしばしば掲載し、特に地球温暖化問題が周知されて -
Posted by ブクログ
ネタバレツイッターにしろブログ界隈にしろ、兎に角世界は常に何者かのあくどい陰謀によって支配され、陰謀者は美味しい思いをして、我々貧乏人は徹底的に搾取される、そんな話が絶える日は無い。
ある一面に於いてそれは確かにその通りではある。弱肉強食の現実は間違いなく存在し、そこには所謂勝ち組と負け組がいる。そして勝ち組は益々勝ち、負け組はどんどん負けるという残酷な現実も存在はする。
しかし、もう一つの側面から現実社会にアプローチすると、また違った面も見えてくる。それはどんな光景か?自らに課せられた義務を果たすため、世界が滅ぼうが人が死のうが、兎に角自身のミッション達成のためにがむしゃらに突き進んでいる人たち