本間龍のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故が起きる前から、
原発の安全神話については懐疑的だった。原子力だよ?核だよ?
安全対策は万全だというけれど、地震列島・火山列島の日本に
人間が制御出来ないモノを作って本当に大丈夫なのか…と。
だから、新聞紙面に掲載されていた電力会社の広告も胡散臭く
感じていた。専門家だとか、有名人だとかが、原発の必要性や
ら安全性を説いていても「本当かよ」って感じだった。
広告業界の片隅にいたから分かる。畳みかけるように何かを
主張する広告ほど、危険なものはない。著者の一連の原発広告
関連の書作を読んでいると「やっぱりな」との思いを強くする -
Posted by ブクログ
あ、この広告ね。うん、このCM見たことある。1970年~2011年の間に、電力9社が費やした広告宣伝費は、2兆4179億円超。
もちろん、その費用の原資はあなたや私が支払っている電力料金から、そしてその多くは「原子力発電所は絶対に事故を起さない」「万一事故が起きても放射能は絶対に外に漏れない」「原発は安全・安心なシステム」という福島第一原発事故で露呈した嘘で固められた原発神話を作り上げるための物であった。
「電通と原発報道」で日本の広告業界が電通を通じた巨大マネー(原資は電力料金)によって、情報統制されている事実を淡々と明らかにした筆者が、その証左として3.11以前の広告の実例を列挙したこの本 -
Posted by ブクログ
原発推進広告のオンパレード。よくも集めたり。しかし実際は原発広告は膨大で、本書にあるのはその一部だと。どうして寡占事業に広告がいるのか。答えは本書で。
意見広告のようでいて、反論の余地のない一方的なカネに物を言わせたやり方はどうなのだ、と、かなり前に天野祐吉さんが広告批評で原発広告をとりあげていた。ここは必見である。
プロパガンダのやり方、の本とも言える。原発業界というより広告業界(大手広告代理店)に怒りを向けたい、というのが真意だとは思うのだが。
どんな業界にしても、大きくなりすぎたところ、力を持ちすぎたところがあらわれると、あとはこうなるのだと。食品も、実のところこんな感じだろう。となると -
Posted by ブクログ
原発に関して「いくらくらい」「どのように」広報活動が展開され、その日本最大の広告費でメディアの自主規制を陰に陽に招いていたかを、豊富な事例とデータを基に描いている。反原発ではあるけど冷静な第三者的な筆致が守られており、国家プロパガンダ研究の書としても有用。
しかし、これだけの広告コストを独占企業が総括原価方式で電気代に計上するとかよく見逃されていたものです、というか国家広報の一翼だっただけの話ではありますが。
広報費用・再処理費用を考えると原発にコストメリットなど無かったのは明らかなことですが、バブルの時に買ってしまった(しかもトイレも無い)マンションみたいなものなのだから、原発のコストを明示 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題につられ読んだが
1章と 最後の章以外は 広告代理店の仕事の仕方に多くのページがさかれている。
そのクライアント(メーカや広告主)とメディア(テレビ 新聞など)の間を取り持つのが広告代理店であり その仕事の仕方が
日本の民主主義の根幹をくさらした一因になっていることを教えてくれるため
この本を読む価値は高い。
博報堂出身の著者が 電通を名指しで批判しているというより
広告代理店と癒着するメディアという構造を批判している本である。
その癒着もビジネスにとってお互い利があるからで
国民にためになっていないことまが 明らかなのだから
これは 国民が立ち上がらないといけない。 -
Posted by ブクログ
著者は元博報堂社員で詐欺罪にて実刑判決を受けた人物。
本書はこの著者による「デンパク」とも称される、電通と博報堂の広告代理店業界2強の解説本です。
"#尚、著者の詐欺罪による実刑判決と言う経歴から、不平不満を抱えた人物によって書かれた公平さにかけた書籍かとお思いになられる方も居られるかも知れません。
#しかし、少なくとも私が一読した限りにおいてはその様な感じはありませんでした。
#最も、この様に思ったのは私が広告代理店業界に関しては疎いせいなのかも知れませんが・・・"
では、前置きはこの位にして以下で簡単に内容紹介。
本書は全5章からなり、それぞれ
1章:コ -
Posted by ブクログ
原発推進の広告宣伝の裏側に関する暴露本であり、反原発・脱原発を主張する本、と考えればよいかと。
ただ、元博報堂の社員である著者が電通を攻撃するような部分が多かったり、取り上げているデータが中途半端でご都合主義だったりして、客観性に欠けるので、あくまでも「こういう見方もある」程度で捉えるのが健全な気がします。
一次情報が少なく、二次情報に頼っている、という意味でも、信憑性に欠ける印象です。
取り上げる事象は同じだとしても、元電通の社員による内部告発であれば、もっと深く切りこめたのかもしれない、と思いながら読み進めました。
広告代理店の考え方や仕事の進め方を知る上では参考になりましたが、反原発 -
Posted by ブクログ
原発プロパガンダ (岩波新書)
本間 龍
先日小泉純一郎元首相の講演会を聞きに行ったのですが、内容の8割くらいが反原発の話でした。その時思ったのは、原子力を営む会社でありながら、自分は原子力に対してスタンスを明らかにできるほど詳しく知らないということでした。
自分の不勉強さを恥じて読み始めた本の一つがこの本です。どうしても原発を生業としてきた東芝としては、原発推進の立場、ポジショントークになってしまいます。一旦批判的な人たちの声も含めてフラットに考えたいなと思っています。
この本の主張は、「安全かどうかわからない原発に対し、安全神話を構築し総括原価方式を使って集めた莫大な原資で大量の