日戸浩之のレビュー一覧
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ネタバレデジタル革命による資本主義の常識の変化について描いた一冊。デジタルを技術面ではなく、経済社会歴史の側面から分析し、将来について論じている。
シンクタンクの本だけあり、データ豊富で示唆も豊富である。
構造的な分析もありおもしろい。
メモ
・シェアエコ は投資抑制、雇用抑制的な部分がある。
・日本、直近は人口減だが一人当たりGDPは増えている。
・海外と比較し、日本のみ労働生産性上昇に対して賃金が上昇していない。非正規雇用などの雇用シフトや自動化投資への偏重などが原因か。
・デジタルによって引き起こされた経済のピンボケ。
・資本主義とは差異の発見活用創出を通じて利潤を獲得し、資本の永続的な蓄積を -
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センター試験にの評論問題に採用されるような,非常に読みやすい文章。
現代において,人は「モノ」に執着するのではなく,「コト」に価値を置き始めている。
本書でも取り上げているが,例えば音楽業界では,CDなどの媒体からiTunesから直接ダウンロードする形にニーズがシフトしていった。これは単純に物理的な領域排除と,特定の曲のみを購入したい場合に重宝する事が考えられる。そして今,iTunesから,スポティファイなどのサブスクリプション型で視聴する割合が増えてきた。これは正に「コト」体験のニーズを明らかに示しているが,実は曲のデータを「仮想的物理領域」と人々が捉え始め,最早デジタルデータに関しても -
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シンクタンクであるNRIの整理・分析・考察だからか、とてもスムーズに論旨が沁み込みました。先ずは、商業資本主義→産業資本主義→デジタル資本主義という超大雑把な時代区分がめちゃくちゃわかりやすいこと、「消費者余剰」を生み出す各種サービスのデジタルトランスフォーメーションが「生産者余剰」の指標であるGDPじゃ捉えきれなくなってきていること(お恥ずかしながら「消費者余剰」という言葉、本書で初めて知りました…)、ハンナ・アレント「人間の条件」の「労働」「仕事」「活動」という概念から援用した「労働社会から活動社会へ」という移行が行われること、その時「労働生産性から知識生産性へ」というキーワードによって情
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野村総研による、継続して行っている3年ごとの日本人の消費調査。
第3章では、消費二極化時代のマーケティングと言うタイトルで、高くても良いか、お気に入りにこだわるか、という二軸で切っている。
ほかの章では、まぁなるほどそうだよね、と言う、まぁある意味ありきたりな考察が多い。ここでは冒頭で、著者自ら2012年から15年にかけてのスマホ普及による影響が非常に大きく、面白くないと切りながらも、ライフステージなどのセグメントと経時変化を追いかけている。
お金、時間、どちらがより多くあり、あるいは枯渇している中で、何を大事にする日が少しずつ変わってくる様子を考察していた。なかなかこれはと思わせる。
前 -
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世の中を豊かにしているデジタル技術が今の資本主義や民主主義にどんな影響を与えうるのかをまとめている。
GDP推計の限界と他の経済指標の模索。
消費者余剰(お買い得感)の向上と生産者余剰の減衰に関してシェアリングエコノミーを起点として語られている。
今デジタル技術によってどんな変化が起きているのか、また、これから起きようとしているのかがわかりやすく書かれている。
デジタル技術に対する各国の考え方は文化や宗教などにより多様であり、資本主義の奴隷として活用するか、ユートピアチックな共有財の経済を作り上げるか、間を取るかはこれからの私達次第である、 -
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消費者余剰、生産者余剰、懐かしい。中小企業診断士受験の際にも再度とらえ直した事を思い出した。GDPの指標の理屈は知っていたが、最後に足し合わせることに疑問を感じていたが納得した。消費者余剰がデジタル化により増加したことは、人類にとって喜ばしいことである。生産者余剰の減少が回り回って消費者の所得に反映されるのはその通りだが、デジタル化により眠っていた資産が有効活用されるシェアリングやP2Pサービスが確立されたいま、老後も案外安価に楽しめるのかもしれない。しかしそれは資本財においてのこと。人間の本質的欲求はそれでは満足出来ないはずであり、その点は別の書籍に譲るべきだろう。なかなかの示唆に富んだ書籍
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OECDのレポートによると、日本の賃金水準は1995年以降の20年間全くがあがっていない。それどころか下がっている。フランスは約1.3倍、米国も約1.2倍、ドイツでも約1.1倍にはなっているなかこれは非常に稀な国だ。
ところが、NRIの1万人アンケートによると、人々の生活レベルの満足度は2006年以降、年々高まりを見せているらしい。賃金が据え置きなのに生活の満足度レベルが高まっている?これってどういうことなのだろう。
我々の生活は常にデジタル化の恩恵を受けている。無料のネットサーチで冷蔵庫の最低価格を知れるし、好みの音楽だって、映画だって月1,000円で楽しみ放題だ。電話もメッセージも無料。 -
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会社から貰ったので読んでみた。「日本の GDP が伸び悩む一方で、我々は(インターネットを中心とした様々なサービスの発展によって)ますます豊かになっているようにしか感じられない」という素朴な疑問から出発し、現代社会の経済発展を計るには GDP は不適切な指標であると説く。
どちらかと言うと、GDP の成長 = 経済発展と定義した上で、我々の豊かさや幸せは "経済発展" では計れない何かに変貌していると言われた方が納得がいくが、いずれにしても Google Map 一つとってみても、Google が生み出している価値が広告だけではないことは明らかで、それを消費者余剰と生産者 -
Posted by ブクログ
野村総合研究所が1997年から3年ごとに実施している、日本の消費者1万人に行った消費意識調査結果を解説している本。
Webやソーシャルメディアの普及により、今は情報過多の状況にあり、どの情報をもとに決めるべきかとても難しくなっている。しかも、長く不況が続き、デフレが続いたことで、消費者は安く抑えるべき部分と、お金をかけても自分のために選ぶ部分を持つようになってきた。この自分で選ぶ部分にどのように入り込むかの重要性を説いている。
消費者のおおまかな希望を聞いて、場合に応じた選択肢を提示することが重要。たしかにその通りだが、オンラインだけでは難しいしリアル店舗ではコストがかかりすぎる。こうした話題