南川高志のレビュー一覧

  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

    Posted by ブクログ

    いわゆるローマ帝国の五賢帝の最後の皇帝で、「哲人皇帝」と称されるマルクス•アウレリウスの生涯と、彼が生きた時代のローマ帝国の社会、文化を重ねて記した著作。
    単に皇帝その人を記すだけでなく、当時の時代背景や人々の考え方なども、豊富な文献と知見から示されており、とても理解しやすかったです。
    次々と起こる厳しい状況の中、皇帝としての務めを果たされたマルクス•アウレリウスの姿に感銘しました。

    0
    2025年11月06日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ローマ帝国(西ローマ帝国)の崩壊は、世に言う「ゲルマン人の大移動」が主因ではなく、ローマ帝国自体が時代とともに変容していき、ローマ市民自体の弱体化(権利は主張するが義務は果たさない)、異民族に対する狭量な排斥運動、皇帝(軍隊)間の内紛といったことが重なり自壊したという話。読んでいると今のアメリカを映しているようで、パクスアメリカーナも風前の灯火に思えてきて少々怖い。

    0
    2024年07月20日
  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

    Posted by ブクログ

    自省録が有名なマルクスアウレリウスとは何者なのか興味を持って読む。
    当時のローマの時代背景や周辺環境、人の繋がりについて詳細に書かれており、マルクスがどのように育ち、何に苦悩したかがわかる。
    かなり詳しく研究してまとめられていて、ローマ史の本としても学ぶことは多い。
    自省録がどのような思いで書かれたのかもよくわかり、また読みたくなった。
    しっかりとした本でありながら読みやすく、タイトルと中身も符合した良い本です。
    ローマの風呂は汚く水道も整備が足りず、川に汚物垂れ流してたのは結構衝撃。

    0
    2023年10月26日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    ローマ帝国の崩壊を、人々が「ローマ人である」という誇りを持ったアイデンティの衰退から説明している、と思われる。
    人物名が多く、地理に馴染みがなかったので読むのに時間がかかり、理解できた自信はないが、物語の核はとても分かりやすかった。
    トップの政策の失敗、汚職により体制が綻び始め、人々の生活が立ち行かなくなると「仮想敵」がいると呼びかけて団結を図ろうとする流れは、現代でも見られるだろう。
    ローマ帝国の存続は、まさに人の流れに制限がほとんどなく、有能であれば徴用されて、出世ができたという文化にあり、それを自ら狭めてしまったのは生存可能性を自ら低くしてしまう行いであった。
    この点は、組織論でも指摘が

    0
    2022年03月13日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    地図や系譜図がふんだんに用いられ、年表も付けられているので慣れない人名や地名も混乱せずに読める。さらに欲を言えば、これだけよくまとまった内容なだけに、索引があるとうれしいところ。

    0
    2021年02月18日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    ローマ史は大好きなテーマの一つなので、大変面白く読めました。まだまだ学問的にこの分野は進んでいきそうで今後の展開が楽しみです。

    0
    2020年07月25日
  • ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像

    Posted by ブクログ

    古代ローマ・五賢帝時代の概説書。

    五賢帝時代というと、ギボンの「人類が最も幸福だった時代」という言葉に象徴的に表されるように、一般的には
    ・「養子皇帝制」に立脚し、有能な皇帝が5代続いた政治的に安定した時代
    ・版図は最大化し、大きな軍事的な混乱のなかった時代
    ・上記に立脚し、人々はパクス・ロマーナを享受していた・・・
    と言ったイメージが連想されるし、事実学校教育ではそれに近いことを習った記憶がある。

    本書の特徴は、「プロソポグラフィー的研究」の手法を用い、後世書かれた史料からだけでは分かりづらい当時の政治支配層の動向を描き出し、そこから当時の政治状況を分析している点である。
    この結果、本書

    0
    2017年06月06日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    歴史に疎い私でも丁寧に読んでいけば理解できる。
    ローマ帝国の衰亡の原因を「ローマ人らしさ」の消失に求めている点は、組織のあり方、特に組織文化や組織アイデンティティーの観点ともつながる課題となりうる。
    改めて、歴史を解釈していくことのおもしろさを認識させてくれる好著である。

    0
    2013年09月17日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    ローマ帝国の衰亡は、遠い昔の出来事なだけではない。何故、かくも強大な帝国が衰亡したのかを知り、その教訓を今に生かす。我々が歴史を学ぶ理由のひとつががそこにある。
    終章203ページの一文こそが、本書の中で著者が一番言いたかったことに違いない。

    【蛇足】
    「匈奴=フン族」とは断定できていなかったのね。知らなんだ。

    0
    2013年06月13日
  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

    Posted by ブクログ

    自省録の書かれた時代背景と実際のマルクス帝の生についての解説
    貴顕に生まれながらも心休まる隙のない生を理解してまた自省録を読むのも良さそう

    0
    2025年03月21日
  • ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「ローマ帝国の誕生」に続いて読んだけどこの本も良かった。五賢帝時代の話が本題だが、アウグスティヌスから五賢帝に至るまでの歴史も軽く触れられていて親切。平和と安定のイメージがある五賢帝時代にも皇位継承を中心に政治はごたついていて、皇帝たちはバランスをとるのに苦心していたという実態を、統計的な研究から浮かび上がらせている。優秀な養子による安定した皇位の継承は実際にはなく、実子がいないために起こった疑似的なもので、権力闘争を内にはらんだ危ういものだったという意外な分析が面白かった。皇帝や元老院の人々の親族関係はごちゃごちゃしすぎて難しかったけど、当時の人たちもしがらみが多すぎて大変だったんだろうなあ

    0
    2024年09月05日
  • ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像

    Posted by ブクログ

    1998年刊行本の文庫版。ローマ帝国最盛期とされる五賢帝の時代の虚実を検討し、その政治的安定を支えた構造を明らかにする内容。後の3世紀の危機にいたる端緒がマルクス・アウレリウス帝代に生み出された経緯も理解しやすい。

    0
    2023年07月16日
  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

    Posted by ブクログ

    哲人皇帝と呼ばれるが、哲学者というわけではない。先帝を模範として統治に臨んだ皇帝。
    戦争や疫病がなければ彼にはやりたいことがもっとあったのではとも思う。

    0
    2023年07月13日
  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

    Posted by ブクログ

    マルクス・アウレリウスの生涯を、著作の「自省録」とともに俯瞰した一冊です。
    マルクス自身は哲学者であった訳だが、その政治は色んなしがらみにより現実に即した従来からの政治の延長上にあったということがよくわかりました。

    0
    2023年05月04日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    著者なりの解釈のローマ帝国衰亡史。

    まず全盛期のローマ帝国がいかにしてあのような巨大な領土を成せていたのかを説明する。
    そして、コンスタンティヌス帝以降の通史を追って、それがいかに崩壊していったかを説く。

    曰く、全盛期の帝国には明確なフロンティアはなく、帝国を帝国たらしめていたのは「ローマ人である」というアイデンティティであったという。
    そして、その基盤が揺るぎ始めるのがコンスタンティヌス大帝の治世であり、最後はわずか30年の間に一気に瓦解したことを描く。

    政治史と社会史に重きをおいた論調。
    ローマ帝国の紐帯の基盤を、人々の「意識」に求め、その「意識」を育んだ政治システムがいかに変容した

    0
    2014年06月22日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    ローマ帝国の衰亡の原因を、寛容さの喪失であるとして論じている。
    ローマ帝国というとゲルマン人によって滅ぼされたという印象をもつが、実際は魅力的な「ローマ人である」というアイデンティティーでもっていわゆるゲルマン民族などの外部部族をその内に受け入れ、帝国がまとまっていた。
    それが、国家の危機に際して「排他的ローマ主義」が台頭してきたことが、急速に国家の魅力を失わせ、ローマ帝国が「尊敬できない国家」へと成り下がったとしている。
    国家としての魅力を失ったときに国は滅びる。ある意味非常にわかりやすい話だが、その経緯はとても複雑だった。如何にして国家は滅びるのかについて考えさせられた。

    0
    2014年04月07日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    歴史の時間では、ローマ帝国はゲルマン人が北から侵入してきた
    ことが原因で衰亡したと習ったように記憶している.本書では帝国の政治状況を加味した解説がなされており、非常に納得できた.このような記述がある.「北からの諸部族の移動の影響を最初に受けたのは帝国の東半だった.しかし崩壊したのは西半である.西半は在地の有力者が強く、東半は皇帝政治の権力が強かった.」 この権力者たちの心がローマから離れたことが衰亡した最大の要因だ.さらに「ローマ帝国の衰亡とは”ローマ人である”という帝国を成り立たせていた担い手のアイデンティティが変化し、国家の本質が失われていく過程であった」と結論を述べている.

    0
    2013年07月09日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    ローマ帝国の衰亡の要因は、外部の民族をローマ市民として、受け入れていた寛容さが失われていき、排他的になっていったことだと著者は言ってるのだと思う。そして、ここでははっきり明言せず、匂わせるだけだが、その背景にはキリスト教の信条があるのだ。
    コンスタンティヌスが大帝と呼ばれ、ユリアヌスが背教者と呼ばれたのは、前者がキリストを国教としたのに対して、後者が他の宗教の信教の自由を認めたからだが、キリスト教は極めて排他的な宗教で、ローマ帝国の寿命を縮めた要因になっているのだと思う。

    0
    2013年06月19日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

    Posted by ブクログ

    南川さんは、日本で信頼できる古代ローマ史家のひとりだと思います。現在の我々の「民族」という言葉の意味が、古代ローマの歴史に接する際に、邪魔をします。19世紀以降の民族としての「ゲルマン人」という人たちは存在しないということをあらためて認識しました。(途中)

    0
    2013年06月16日
  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    五賢帝の1人だけど『自省録』と映画の『グラディエーター』冒頭くらいしか分からないので、即位前の生活や即位後の疫病やパルティアやガリアでの戦争の話など歴史の話が良かった。 どこかに『自省録』があるから探して読もうかな。

    0
    2025年10月04日