南川高志のレビュー一覧

  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

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    ネタバレ

    先に読んだ「『自省録』精神の城塞」は自省録の思想的な面に注目した本だったが、こちらは歴史的背景から自省録を見てマルクス・アウレリウスを読み解こうとする本。
    マルクスはストア派の思想にのっとったいわゆる哲人皇帝というよりは、現実的にアントニヌス・ピウス帝を手本にした政治をしただけで、哲学は個人的な思想の範囲にとどまっていたというのが著者の考えで、結構面白かった。また、自省録では死を自然なものとして受け止めるよう繰り返し書かれているが、これは疫病ののパンデミックと終わらない戦争という二重苦であまりにも死が身近だったマルクスの環境を考慮して受け止めるべきとあって、なるほどと思った。
    この著者の本は前

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    2025年03月28日
  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

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    哲学、歴史それぞれに解釈されてきたマルクスアウレリウス(圧倒的に哲学者からではあるが)、について歴史的背景を紐解きながら、どのような政治を行ったかを歴史家による解説。
    結論としては、育ての父であるアントニヌス帝の元老院を立て、皇帝としての職務を全うするという方針をつらぬいたとして、ストア派としての哲人皇帝という見方とは違う点を強調している。歴史については客観的事実が述べられており、破綻はないとはいえ、自省録には政治の話はほとんどなく、どのようにマルクス帝が考えていたのはいまいちつかみにくい。

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    2024年07月15日
  • マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国

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    自省録を3度読み返し
    さらに理解を深めたいと思い読んだが
    人の名前が出過ぎて時たま、ん?誰のこと?
    とはなったがマルクスがどんな時代背景で
    書いていたのかを知れ、
    さらに自省録の理解が深まった
    人名が出てくるところは軽く読み
    他の場所は深く読むという
    読み方をおすすめする。

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    2024年03月03日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ローマ帝国が当初、民族の捉え方がフレキシブルで融通性に富み、帝国を発展させる力の一つであったが、東西の分裂、東方民族の侵入への対処に狭小な考え方が入りはじめ、フレキシブルさを失った帝国の未来は暗澹たるものになってしまった。

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    2022年07月29日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ギボンのローマ帝国衰亡史も読んでいないし、ローマ帝国の歴史に詳しいわけでもないため、消化不良気味。
    ローマ帝国がこんなに広大だったことに驚いた。また、最初は、外れの方は境界が曖昧というかゆるかった、民族という意識がなく、「ローマ人である」という意識で繋がっていた。帝国崩壊の原因はそのような意識でいたはずの「第3のローマ人」達を排外主義により帝国の中心部から排除しようという動きのせい、など。
    現在の日本は大丈夫かな、とつい考えてしまった。
    巻末に簡単な年表がついていて、先に気づいていれば、もう少し頭がついていけてたかもしれない、と思いました

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    2020年03月01日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    『ローマ帝国衰亡史』といえばギボンのものが本家本元。その向こうを張って21世紀の衰亡史を書こうというもの。歴史学はその同時代の影響を必ず受けるものだと。もっとも本家は文庫本で全10巻。手軽なところが21世紀的という訳ではなかろうが。

    カエサルの時代(前1世紀)、五賢帝時代(2世紀)、軍人皇帝時代(3世紀)からまず概観して、コンスタンティヌス大帝、ウァレンティニアヌス朝、東西ローマ帝国分裂(4世紀)、西ローマ皇帝廃位(5世紀)までを扱う。ローマの歴史に詳しくないので、ざっと掴むのにはありがたい記述の分量。

    ・ローマ帝国の国境は出入りのルーズな「ゾーン」であった。→昔だしそんなものか。一方、ハ

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    2018年11月05日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ・ローマ帝国を実体あるものとしたのは「ローマ人」であるというアイデンティティ。このアイデンティティのもと、外部からの人材を受け入れてきた。しかし、四世紀以降の経過の中で徐々に変質し、内なる他者を排除するようになった。政治もそうした思潮に押し流されて動くことによって、その行動は視野狭窄で世界大国に相応しくないものとなり、結果としてローマ国家は政治・軍隊で敗退するだけでなく、「帝国」としての魅力も威信も失っていった

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    2018年11月04日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ローマ帝国はなぜ滅びたのか。世界史の教科書的には、分割統治によって弱体化した西ローマ帝国にゲルマン民族が侵入し、暴れまくった結果、なんとなく帝国は消滅したという説明だろう。たぶん。そんなスッキリしない説をはっきりさせようじゃないかと、最新の研究による新発見ネタも盛り込んで著されたのが本書。

    ややこしい人名が乱発する内容なので、ローマ史をそれほど知らない人にとって、とっつきにくい本だ。そんな人はなぜローマは滅んだのか、その一点だけを理解しようという心構えで読むべきだ。個人的には、反キリスト教の懐古主義者、ユリアヌス帝の短い生涯が印象に残った。

    で、ローマ滅亡の要因の一つ、「ゲルマン民族大移動

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    2015年10月01日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ローマ人の繁栄は異民族を排除するのではなく取り込むことにあり、衰退はその寛容さを無くしたこと。
    国の盛衰を考える上で軸がぶれるといけないのかな?
    日本はギネスで一番長く存在している国だが、日本の軸は何であるのか。
    これを考えさせられた。

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    2015年08月10日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ローマ帝国の五賢帝以降のキリスト教を取り入れてから滅ぶまでの描いた一冊。

    ローマ帝国の知識がないと難しい箇所も多々あったが、現代にも置き換えることのできる歴史の攻防はとても勉強になった。

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    2015年01月12日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ネタバレ

    斜陽期に入っていても、まだ日は高かった筈のローマが一気に衰亡した原因を、寛容から排他主義への人々の変容に見ています。
    ローマを排他的にした原因をキリスト教とするのではなく、キリスト教もまた変容していったするのが面白かったです。
    排他的になることからの視野狭窄が良い結果を生まないのは、何事にも共通していると思います。
    紙面の関係か全体的に少し物足りない印象でした。

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    2013年09月10日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    コンスタンティヌス大帝の時代から衰亡まで、21世紀のローマ帝国衰亡史をと気合いの入った記述をしている。「ローマ人である」という、帝国の担い手のアイデンティティが変化したとがローマ衰亡の原因としている。しかし、アイデンティティの変化は、ローマの内外の情勢が変化して衰亡していく過程を反映した結果としては考えられないのか。ローマ人のアイデンティティの考察は、非常に興味深く重要な指摘だが、ローマの衰亡に直接影響する道路・都市のインフラ、食糧輸送システムが何時頃まで機能していたかも知りたかった。

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    2013年08月16日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    『ローマ人の物語』、ちょうどこの本の主題である衰亡の前の五賢帝時代ネルヴァの巻まで読んだところで、この本。

    ローマをローマたらしめた寛容さがなくなり、不寛容なローマ(排他的ローマ主義)に社会が変質していった。カエサルから始まった外部部族の政治・軍事における比重の増加、外部部族側のエスニシティへの目覚めなどがあいまって、排他的なエスニシティ形成につながったようです。
    同時にキリスト教もその性格が変貌し、排他的になり、ローマ帝国が崩壊した。

    openとclementiaが同じかわかりませんが、不寛容な社会、組織は長続きしにくいでしょうね。


    前著も出ているようなので、こちらも読んでみようと思

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    2013年08月11日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ネタバレ

    南川高志『新・ローマ帝国衰亡史』岩波新書、ギボンの名著に“新”を冠する本書は、歴史学最新の成果を踏まえ地中海の帝国よりも「大河と森」の帝国の衰亡を点描する。帝国領土は確かに明るい地中海が全てではない。巨大な帝国は三十年で滅亡した。栄えた国が滅びること、国家とは何を考えさせる好著。

    四世紀後半、攻勢に晒されるローマは「尊敬される国家」をかなぐり捨て、全盛期の推進軸(市民権の平等と寛容)とは対極の「排他的ローマ主義」へ傾く。国家の統合よりも差別と排除を優先させ、実質的にローマを支える「他者」を野蛮と軽蔑し、排除した。


    「この『排他的ローマ主義』に帝国政治の担い手が乗っかかって動くとき、世界を

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    2013年07月02日
  • 新・ローマ帝国衰亡史

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    ニューヨークウォーク、ニューヨークトークということだろうか。
    トウキョウスタイルということもある。
    「ローマ人であること」ブランドで、ローマ人が再生産されていた。
    そこに差異性、差別性があまりに強調されると、嫌味になる。
    新人類は敏感だし、まして新勢力は古いスタイルに魅力なんて感じないだろう。

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    2013年06月17日