玉木俊明のレビュー一覧
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「迫害された移民の経済史」ではあるが、
重点は迫害ではなく経済にあって、
迫害されながらも、なおそれによって離散していることを
強みとして生き抜いてきた人々の一つの歴史である。
ディアスポラというと、ユダヤ系のイメージが強く
本書でもその系統であるアシュケナジムや、セファルディムはしっかりと紙幅がとられている。
とはいえ、ほかにもユグノーであったり、
スコットランド移民であったりの話があり、
多様な形の移民がある。
もっともそれでも西側に偏っているのは東洋からは
経済圏としての勢力を持つようなまとまった移民がなかったからであろうか。
宗教的な理由、政治的理由、 -
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ネタバレ<目次>
序章 「世界史」はいかにしてはじまったのか
第1章 大航海時代~グルーバル交易ネットワークの誕生
第2章 世界史から見た「宗教改革」
第3章 宣教集団にして死の商人~イエズス会の世界戦略
第4章 科学革命とキリスト教
第5章 カール5世とスレイマン1世~16世紀前半の世界
第6章 フェリペ2世vs主権国家~16世紀後半の世界
第7章 世界史に組み入れられた戦国日本
まとめ
<内容>
教養新書としては、ざっくりな内容かもしれない。帯に「歴史総合」を学ぶ人必読!の怪しい文字も…(つられて買った私も…)。専門は16~18世紀のバルト海貿易だそうで、まあ、タコつぼの専門を -
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歴史を暗記で覚えようとしていた過去の自分にこう言いたい。歴史は流れで覚えろと。おかげで、こういう本を読むときは毎回苦労するハメになります……
内容としては、古代の移民から、中世の商人たち、奴隷貿易から現代の難民まで、様々な「移民」について各章ごとに、簡潔にまとめられている印象です。なので読みやすいことは読みやすいのですが、自分みたいに基礎知識が抜けていると、言葉がサラサラと流れていってしまうこともしばしば……
やっぱり印象的なのは、現代に近い話かなあ。イギリスとスコットランドの問題、難民の問題、EUの問題、それの元を辿っていくと、ヨーロッパ諸国の帝国主義的な拡大や、領土の勝手な分割による民 -
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2019年8月現在、Brexitで世界を賑わす英国について、その歴史を今一度把握してみたい、という思いにかられて本書を手に取りました。
島国とはいうものの、やはり大陸欧州との関係は密接です。11世紀にイングランドを征服したノルマン王朝の始祖ギヨーム(征服王)は、フランスでは地方領主たるノルマンディー公でした。こうして、イングランドの貴族階級はフランス語を話し、民衆が英語を話すという社会の重層構造が生まれたとのことですが、以前フランスで勤務していたときに、この事実からフランス語が英語に対してより洗練されている言語、と宣っていたのを思い出しました。
その後、プランタジネット朝では英仏にまたがる -
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高校の時の世界史を学んだ時には、現在の国が過去にどんな歴史を辿ってきたのか、という視点に縛られてしまい、地域や民族という観点から俯瞰的に歴史を考えることが出来ずに苦戦したのを覚えています。
本書では、アレスサンドロス大王から母を訪ねて三千里まで、様々なトピックを切り口に、当時の情勢を明快に解説してくれています。
特に興味深かったのは、確率論のきっかけとなったフェルマーとパスカルの往復書簡についてです。二人はサイコロによるギャンブルをする場合の賞金の分け方について手紙で数学的議論を交わします。
現在の生命保険や損害保険は、確率・統計学なくして成立しえませんが、その端緒が17世紀の二人のフラ -
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本書では、オランダ、英国、米国が、情報網をどのように掌握したか、またそれを活用して、ヘゲモニーの一時代をどのように確立したかについて、著されています。
ヨーロッパ商業の国際展開の中核であったオランダと、活版印刷技術が商取引のテンプレート化に果たした役割について、本書を読んで初めて認識しました。
また、電信網を張り巡らせ、情報を迅速に伝達・収集することによって情報帝国としての地位を確立した英国。19世紀にはユーラシア大陸を横断する電信網や海底ケーブルまで敷設し、グローバル電信網を構築していた事実に驚きました。これが今に続く、海運・金融セクターでのロンドンの国際的な地位の確立に大きな役割を果た -
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歴史というと、年号を覚えて、普段使わないような難しいことをひたすら覚えて、同じような名前が何度も出て来るのを覚えて......。
そんな、恐ろしく退屈な暗記科目、と思ってはいないだろうか。
あるいは、そんなの誰も知らねえよ!と叫びたくなるようなマニアックな問題にさらされ、しかしマニアックな人々はそれを常識とでも言わんばかりに平気で解いて、テストでの屈辱を覚えたりしてはいないだろうか。
しかし本来歴史とはそういった学問ではないはずだ。
人の営みというものは面白く学びを得られるもののはず。
本書はそこに焦点を当てて、少し変わった角度から現代との関わりを感じさせる構成になっている。
例えば、ヴァイ -
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新書ながら世界史のエピソード・うんちくが満載 私としては大いに刺激を受けた
より深く極めたいテーマは、それぞれの参考図書にあたれば良いと思う
歴史を生き生きと学ぶことのできる貴重な一冊でした
1.交易の価値
侵略・征服というほうが華々しいが、現実には双方がWin-Winとなる交易の意義が大きい
ただし「アヘンと奴隷の貿易」のように、交易とは言えない場合もある
ちなみに、奴隷は綿花と、
1-2.「輸送」を握る者が交易を支配する
大航海時代のポルトガル・スペイン
大英帝国
現在の国家をベースに盛衰を見ると誤る スペイン国王の領地
イエズス会も布教と交易特に軍事商品鉄砲・大砲
2.イスラム・イ -
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ネタバレ情報だけ届いても、実は世界は動かない。
実際に物が(経済的に許容できるコストで)動くってのは凄いよねってのと、今読んでいる「東インド会社とアジアの海」にも繋がるなあと思って読んだモノの、いくら新書でもさすがに軽すぎる。浅すぎる。ちょっとがっかり。
特に、著者独自の見解?であるディアスポラ後のアルメニア人、ポルトガル系ユダヤ人の役割の大きさについて、裏付けるモノが少なく、語尾が「思われる」ばかりになっていて、ちょっとそれでは困る…
産業革命よりも、航海条例こそが、英国の世界帝国化に大きな役割を果たしている!とか、「世界の工場」よりも「世界の物流の支配」の方が大きいとかについては、裏付けが提示さ -
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世界秩序について、現在を起点にしてではなく時間と空間を俯瞰して考えていく。そこにはそれぞれの時間と空間の繋がりが、ある時は重なり合い、ある時は別々のものとして現れてきた。それぞれの世界史ではなく、地球の世界史が続いてきた。
本書は、リベラールアーツの学びとして、自分自身が向き合う様々な場面で活きる知識といえよう。
それでは、世界秩序が収斂していく中で何が決め手となったのか。本書では、情報と物流を手元に集めて、自ら働きかけることではないかと問う。そうする中で、自動的に富が集まるようになるのがヘゲモニー国家という世界秩序の覇権を握る存在である。
中国が「再興」するにおよび、これからどうなる