玉木俊明のレビュー一覧
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香辛料、砂糖、化学調味料と味覚に直結する調味料の変遷でどのように歴史が動いていったかを書いた本。
古代や中世はフェニキアとかアラブアルメニアとかが香辛料を扱っていたが近世になると味強すぎて食えないから素材の味をという好みになり砂糖のほうが良くなったと。そして輸入だけでなく自分で作ろうとのことで南米なりを植民地化してという話。そしてものだけでなくその流通ルートを押さえたイギリスすごいよね、でも第2次産業革命で化学が発達したから化学調味料になると後塵を拝したねというオチかと。そして味の素とかがある日本も少し出てくる。
それはそれでいいが、あとがきでヨーロッパもアジアによる味覚がないとなりたたなくな -
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「迫害された移民の経済史」ではあるが、
重点は迫害ではなく経済にあって、
迫害されながらも、なおそれによって離散していることを
強みとして生き抜いてきた人々の一つの歴史である。
ディアスポラというと、ユダヤ系のイメージが強く
本書でもその系統であるアシュケナジムや、セファルディムはしっかりと紙幅がとられている。
とはいえ、ほかにもユグノーであったり、
スコットランド移民であったりの話があり、
多様な形の移民がある。
もっともそれでも西側に偏っているのは東洋からは
経済圏としての勢力を持つようなまとまった移民がなかったからであろうか。
宗教的な理由、政治的理由、 -
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ネタバレ<目次>
序章 「世界史」はいかにしてはじまったのか
第1章 大航海時代~グルーバル交易ネットワークの誕生
第2章 世界史から見た「宗教改革」
第3章 宣教集団にして死の商人~イエズス会の世界戦略
第4章 科学革命とキリスト教
第5章 カール5世とスレイマン1世~16世紀前半の世界
第6章 フェリペ2世vs主権国家~16世紀後半の世界
第7章 世界史に組み入れられた戦国日本
まとめ
<内容>
教養新書としては、ざっくりな内容かもしれない。帯に「歴史総合」を学ぶ人必読!の怪しい文字も…(つられて買った私も…)。専門は16~18世紀のバルト海貿易だそうで、まあ、タコつぼの専門を -
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歴史を暗記で覚えようとしていた過去の自分にこう言いたい。歴史は流れで覚えろと。おかげで、こういう本を読むときは毎回苦労するハメになります……
内容としては、古代の移民から、中世の商人たち、奴隷貿易から現代の難民まで、様々な「移民」について各章ごとに、簡潔にまとめられている印象です。なので読みやすいことは読みやすいのですが、自分みたいに基礎知識が抜けていると、言葉がサラサラと流れていってしまうこともしばしば……
やっぱり印象的なのは、現代に近い話かなあ。イギリスとスコットランドの問題、難民の問題、EUの問題、それの元を辿っていくと、ヨーロッパ諸国の帝国主義的な拡大や、領土の勝手な分割による民 -
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2019年8月現在、Brexitで世界を賑わす英国について、その歴史を今一度把握してみたい、という思いにかられて本書を手に取りました。
島国とはいうものの、やはり大陸欧州との関係は密接です。11世紀にイングランドを征服したノルマン王朝の始祖ギヨーム(征服王)は、フランスでは地方領主たるノルマンディー公でした。こうして、イングランドの貴族階級はフランス語を話し、民衆が英語を話すという社会の重層構造が生まれたとのことですが、以前フランスで勤務していたときに、この事実からフランス語が英語に対してより洗練されている言語、と宣っていたのを思い出しました。
その後、プランタジネット朝では英仏にまたがる