東郷和彦のレビュー一覧
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19世紀から20世紀の前半まで世界の常識は帝国主義で、日本も例外ではなく軍事主導で多くの領土を獲得した経緯がある。
ちょっと前まで国境は、武力で決まっていたんだよなぁ。
この本では三つの領土問題を取り上げているが、実はこれらはそれぞれ力点が違う。北方領土は「歴史問題」であり、竹島は「政治問題」、そして尖閣諸島は「資源問題」だ。いずれの問題も、当時のような軍事主導体制での解決はできないので、外交や政治の問題になってくるのはいうまでもない。
マイケル・ウォルツァーの“Politics-short-of- force may depend on force-short-of-war”が思い出されたが -
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最近、大きな問題としてクローズアップされている、日本の領土問題について、3代続けて外交官の東郷氏が、外交官としての北方領土の解決にあたった経験を踏まえての交渉等を含めて説明している。
内容としては1部は東郷氏が、北方領土、竹島、尖閣諸島について、それぞれの歴史的経緯、それぞれの宣言などについて説明し、外務省としてはどのように当たってきたかを解説している。2部は保坂氏との対談形式で、それぞれの問題について、意見交換をしている。
読んでいて、国ごとの交渉というのは、どこかで妥協点があるわけで、その意味では原則論だけに則るのはどうかなと思った。また、欧州の交渉だと領土にはこだわらない解決法を考え -
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北方領土、竹島、尖閣諸島。これらの問題を同一に考え、強行に抵抗することの危うさを指摘した良書だと思った。北方領土は歴史問題を孕み、竹島は政治問題を、尖閣諸島は資源問題を内包している。強行であることの危うさは、「北方四島」というコトバがその原因かもしれない。歴史上あった「面積等分」や二島返還が実らなかったのはよ四島への固執が原因だったのかもしれない。領土問題はこれまでの歴史の熟知なしには相対することのできない問題。日本、韓国、中国、その発言する順序でさえも重要なファクターになりうるように。今後、外交関係の発言に注視したいと思った。「時間が解決する」のではなく「時間が経つほどに危機的状況を迎える」
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ネタバレ【書評】
本書の筆者である、ロシア担当の元外交官が語る声には重みがある。領土問題を語る場合、現在の日本がおかれた状況に、筆者は並々ならぬ危惧を抱いている。筆者が深く関わった北方領土返還交渉を始め、竹島、尖閣諸島を巡って、一連の関係国の日本への風当たりはどれも強くなっている。これは、日本の対外的な力が落ちていることを意味するとともに、世界が異なる秩序に入りつつあることを示している。
実務家として領土返還交渉に携わった筆者によると、北方領土交渉の失敗の幾つかは日本の側に帰せられ、戦後の日本政府と外務省の進めた領土交渉は「ミッドウェーに匹敵する敗北」を喫してきた。「交渉者の判断を曇らせた大きな要 -
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ネタバレ日本の領土を如何に守り解決するか? 太平洋戦争終結後、日本は一貫して領土問題を避けて来た。 いや、逃げて来た。 もし私が結論を出せと言われるならば、淺知恵といわれてもひとつの結論を持っている。 まず、領土問題は、北方四島・竹島・尖閣諸島を並行して処理する方法。 まず、北方四島(択捉・歯舞・色丹・国後)は、歴史問題からしても、まず間違いなく日本の領土であり、譲る事は出来ない。 ロシアの不法占拠である。 尖閣諸島も歴史的にもこれも日本の領土である。 日本が実行支配してる。 しかし、竹島に関して言えばICJに訴える方法もあるが、韓国は竹島に関しては、非常に強行だ。 まず、韓国と妥協して竹島を認めるが
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本書は、ゴルバチョフ以降、ソ連・ロシアと領土返還交渉に携わってきた東郷和彦氏が前半に3つの「領土問題」についての経緯並びに現状を解説・論評を行っている。後半は東郷氏と近現代史に造詣の深い保阪正康氏の対談。
お互いにタブーを恐れず、何故それぞれの問題に進展がないのかを忌憚なく討論している。対露では「四島一括」の一人歩き、竹島・尖閣では「日韓併合」「日清戦争」がキーワードであるとしている。
北方は新プーチン政権のサインを見逃さないこと。竹島については政府間交渉が現状不可能であることから、学術や文化交流のレベルでの信頼醸成を図ること。尖閣については非常に武力衝突が危ぶまれることを指摘しなが -
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幼い頃の記憶を辿ると、家の近所は田んぼや畑に囲まれ、広大な林から流れてくる風の音が、時に轟音の様に真っ暗闇を駆け抜けたり、枯れ葉を舞わせながら吹き抜けていく様な風景が身近にあった。学校帰りに裸足で田んぼのヌルヌルした土に足を踏み入れては、得体の知れない虫を踏んづけたり、畑を駆け回れば、枯れ草に足を取られて派手に転げ回っていた事もよく覚えている。今そんな風景はどこで見られるのだろうか。少なくとも実家に久々に帰れば、一体自分が小学校に通った通学路が何処だったのか、待ち合わせ集合場所のあの、よく噛み付く犬がいた家は何処だったのか全くわからない。砂利道はアスファルトに変わり、曲がりくねった生垣はまるで
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小学校の教室の風景を思い出す。暴力的にすぐに脅しをかけてくるガキ大将、感傷的な泣き虫でネガティヴな子、かまってほしくていつも分かりやすいイタズラばかりしてる子、頭脳明晰スポーツ万能で家も金持ちだけど自分のことばかり考えてる子。そんなクラスの学級委員長が、次の文化祭の出し物何にしますか、と問いかけても中々纏まらない。皆自分勝手に楽を考えたり、儲けを考えたり、そもそもやる気無かったり…。
一つのコミュニティ、国内でさえ纏まらないのに、国家間の外交となればそんな比にもならないほど困難な事は当たり前だ。外交は殴り合わないケンカ・武力行使しない戦争だと言われるが、ネチネチ互いを批判し合うならいっそ殴り合 -
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領土問題。
政治問題、歴史問題、資源問題。
感情論に走ると収集がつかないのは当然だが、見る角度によって変わってくるよなー。
太平洋戦争後、サンフランシスコ平和条約を基準にするのか、その後の各共同声明、日露共同、日中友好か。はたまた、1903年か、1905年か。
最初に見つけた方が所有者、実行支配した方が所有者、最初に見つけたという現存する歴史書がある方が所有者...
仲良く出来んかね。北方四島の時には共同開発の妥協案が出たが、日本敗戦後のプライドなのか強引に撥ね退けたな。
遡れば、パンゲアなんて大陸が地続きだった時代は誰のものでもなかったのにな。市場経済主義に戦中戦後の歴史問題が絡むと果て -
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北方領土、竹島、尖閣諸島の問題は、考えるたび虫の居所が悪くなるというか、気持ち悪い、すっきりしない、…どういう表現が適切なのかわからないのだが、とにかく嫌な気分にさせられる問題である。しかし、本当に最近の動向は憂慮すべき状況であり、少しでも見識を深めなければと思い、読んでみた。
「(2008年の教科書と竹島問題に関する)韓国の反応は、韓国事情をフォローしている人から見れば、予見されたものといってよいと思う。
しかしながら、である。この韓国世論の盛り上がりぶりのなかに、考えこまざるをえないものがあることも、否定できない。戦後の日韓関係全体のなかで、日本がけっしてこの問題を大上段にふりかざした -
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メモ
72年周恩来発言、78年鄧小平発言⇒棚上げ
「領土問題は存在しない」
冷戦時代のソ連の言い分
米国の尖閣介入条件
武力衝突が起こり、前線で自衛隊が防衛
日本が中国を挑発しないこと
「左からの平和ボケ→無責任安全保障」と「右からの平和ボケ→無責任戦闘主義」
周りから見て、日本から中国に対する挑発があった場合、どこが助けてくれるのか?日本はどこまで自力でやれんのか?
竹島密約
丁一権国務総理と河野一郎国務大臣の直接署名
「解決せざるをもって解決したものとみなす」
自国領土の主張はOK
漁業区域設定の際は双方とも自国領として線引きして重なった部分は共同水域
韓国は警備員の増強や施設の