岡田美智男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
弱いロボットの研究開発を通して他者との関係性を述べている。著者の岡田美智男教授は、「弱いロボット」というコンセプトのロボットの開発で知られている。
この新書のなかで紹介されるロボットは、すべてどこか弱い部分がある。その弱さが、人と想像できなかった関係性を生み出すことができる。全編を通して万能や高性能なロボットではなく、あえて「弱い」部分があるロボットによる関係性を述べていた。これは人間も同じで、完璧ではなく弱い部分、言い換えるなら他に助けてもらう部分の重要性を説いていたと思う。
自己責任といった風潮もあるが、一度立ち止まって「弱いロボット」と人との関係性といったものを参考に、社会の在り方を -
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間借り本屋トカクで取り扱っている本の紹介。
弱いロボットを初めて認識したのは確かインターネットの記事だったと思う
そこで紹介されていたのは 自分ではゴミを拾えないゴミ箱ロボットの話だった
ゴミを見つけるとオロオロオロオロとその 周辺を周り まるで困っているかのように見せる
そして通りがかりの人が拾って 自分の中にゴミを入れてくれたら まるでありがとうと言うように礼をするのだ
これめちゃくちゃ可愛いなと思ったのは 覚えている
この岡田先生の本に出てくるロボットは 一般的に想像されるような便利なロボットではない
愛玩のロボットに近いがそれに全て当てはまるというわけではない
難しい話 -
ネタバレ 購入済み
状況の中に組み込まれた行為
・ロボットにお掃除してもらうのはうれしいけど、ほんの少し手助けになれているという感覚も捨てがたい。
・「とりあえず動いてみよう」→周囲のものや制約を生かしつつ、一つの物事を成し遂げる。
偶然の出会いを、一つの価値に変えている。
・行為は、状況の中に組み込まれている。
・わたしたちは目の前にある対象の振る舞いを引き起こした原因を探るとき、
その対象の内側で起こっていることに帰属させやすい。
・自分の立場から考えるとき、今度はその要因を、自分の外に求めている。
・自分の内側からは、その身体の一部や、自分の顔は見えない。
しかし、とりあえず動きだすことで、初めて自分の姿がそこに立ち現 -
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「弱さ」の価値を、ロボットとのコミュニケーションを通して考えた本。
「なんでもできるロボット」は、ひとつでもできないことがあると「何でできないのか」「こうしてほしいのになぜしないのか」と責められてしまう。反対に、「できないことの多いロボット」や「そもそも役に立っているのかよくわからないロボット」は、人を手伝ってあげたい気にさせたり、意外に役に立つものだと思わせたりしてしまうらしい。
なんか、これを子どもに当てはめると可哀想な気持ちが湧いてくる。「できる子」ほど出来ていないところを厳しく指摘されて出来るようになるまで追い立てられて、「できない子」はちょっと出来るようになっただけで褒められたり、存 -
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お掃除ロボットの理想像は、人間が何もしなくても部屋を掃除してくれるというもの。現在、ルンバに代表されるお掃除ロボットは、椅子の下や物が置かれた場所は掃除できないため、人間がわざわざ椅子をずらしたり、床から物を排除したりしなければならない。そこにはロボットと人間の双方向のコミュニケーションがあるという。
確かに理想的なロボットでは、人間は読書や仕事など自分の興味に集中する傍らでロボットは掃除するという、ディスコミュニケーションが生まれる。しかしルンバの行く先を予測し、人間はその先にある障害物を取り除いてあげる、その結果ルンバは部屋をきれいにする。一見、面倒な作業が見方を変えるとロボットとコミュ -
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ネタバレむちゃくちゃ面白かった。「弱い」ロボットとはどういうことか。市場のわがままに答えて「役に立つ優秀な人の代わりになる」ロボットを作ろうとすると、ロボットはどんどん効果になり、正確性を求めて融通が利かなくなり、人との関係性は固定化されたものになり、人とロボットとのコミュニケーションは薄れる。人はもっと完璧なものを、と傲慢になる。人と関係を結ぼうともじもじすることは内に向かっているようで外とつながりを求めていること。それを見て人はつい手を差し伸べたくなる。それが「人らしい」コミュニケーションの一面ではないか。人との意思疎通に悩む人、人の「気持ち」を理解するのが苦手だと思っている人におすすめ。
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「弱いロボット」、コンセプトがとっても良いなと思い読むことにしました。
完全無欠の独立機関ロボット、あるいはそのロボットを操作すること、そういう時代もあったとは思います。
ですが、ここ20年くらいのロボット界隈?はちょっと状況が違っているようなのです。
本書を読んでいると、画像とともに登場するロボット達はどれもこれも「不完全」です。
例えば、「もこ」と言いながらヨタヨタと人に近づいて、結果として人にゴミを拾わせてしまうゴミ箱ロボットや、
じ~~っとコチラを見つめておどおどしながらティッシュを配ったりアルコール消毒をしてくれる「アイ・ボーンズ」や、
昔話を話す途中でもの忘れをし -
Posted by ブクログ
石黒浩著「アンドロイドは人間になれるか」(文春新書)と同様。人間を外化、モデル化することでコミュニケーションとは何か探っている。頭のいい人の話が、心に響かないのは、ご説ごもっともで自己完結しているためのようだ。
以下、引用
● 部屋の壁や椅子を味方につけながら(そのことを意識しているかどうかはおいておくとして・・・)、結果として部屋のなかをまんべんなくお掃除してしまうロボット、それとプランをたてながらテキパキとお掃除をするちょっと進化したロボット。前者はちょっとゆきあたりばったりで、あまり深く考え込むことのない行動派タイプだろうか。後者はやや慎重に行動を選ぶけれど、なかなか臨機応変に振舞えな