【感想・ネタバレ】〈弱いロボット〉から考える 人・社会・生きることのレビュー

あらすじ

ロボット=完全無欠な存在,とイメージする人は多いでしょう.本書に登場するロボットはどれも弱みや苦手を持ち,それゆえ周囲の助けをかりて初めてコトを成し遂げます.弱さを補いあい,相手の強さを引き出す〈弱いロボット〉は,なぜ必要とされるのか.生きることや他者との関係性,社会の在り方と共に考えます.

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Posted by ブクログ

弱いロボットの研究開発を通して他者との関係性を述べている。著者の岡田美智男教授は、「弱いロボット」というコンセプトのロボットの開発で知られている。

この新書のなかで紹介されるロボットは、すべてどこか弱い部分がある。その弱さが、人と想像できなかった関係性を生み出すことができる。全編を通して万能や高性能なロボットではなく、あえて「弱い」部分があるロボットによる関係性を述べていた。これは人間も同じで、完璧ではなく弱い部分、言い換えるなら他に助けてもらう部分の重要性を説いていたと思う。

自己責任といった風潮もあるが、一度立ち止まって「弱いロボット」と人との関係性といったものを参考に、社会の在り方を見つめなおすのもいいかもしれない。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

弱くて凸凹な力で世の中を変えていく原理が分かる本。
著者は、「弱いロボット」の生み出の親だ。NTTで音声研究をした後、モノ作りマインドあふれる学生が集う大学のオープンラボに拠点を置く。

ブリコラージュ、創発、ユーザーセンタードデザイン、ウェルビーイングといった今どきワードを、弱さを起点に説明しようとするときに着目すべきポイントが理解でき、とても勉強になった。
居場所づくりを模索中の私にとっては、「誰かに喜んでもらえることなら、みんなでできる」という指摘は、忘れてはならないことだと感じた。

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2025年03月07日

Posted by ブクログ

自分ひとりでやりきることよりも、弱さを見せることでむしろ周りの手助けを得ながら動くことの方が最終的に幸福度も上がり、レジリエンスも高まるという話。ロボットやさまざまなテクノロジーに限らず、人と人との関わりにも言えることだなと。
事例がたくさんあり、岩波ジュニア新書ということもあり読みやすいですが、内容は大人もとても考えさせられるものでした。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

完全無欠を目指すのではなく、共に関係し、補い合う関係を目指すテクノロジーへ、、、
岡田美智男さんが持つ弱さの哲学がとてもよかった
熊谷さんの「自立とは依存先を分散させている状態である」も納得

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2025年02月25日

Posted by ブクログ

人もロボットも、何でも完ぺきにできすぎない方がいい。依存先をたくさん持っている人が、本当の意味で自立しているということ。本書からは気づきがたくさんあった。

でもそれを悪いように捉えて、(劣っている相手に対して自分が優位に立てるから)弱い相手が好き、という人(多くは男性)も一定数いるから、そこは気をつけたい。

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2024年10月07日

Posted by ブクログ

 「弱いロボット」、コンセプトがとっても良いなと思い読むことにしました。

 完全無欠の独立機関ロボット、あるいはそのロボットを操作すること、そういう時代もあったとは思います。

 ですが、ここ20年くらいのロボット界隈?はちょっと状況が違っているようなのです。

 本書を読んでいると、画像とともに登場するロボット達はどれもこれも「不完全」です。

 例えば、「もこ」と言いながらヨタヨタと人に近づいて、結果として人にゴミを拾わせてしまうゴミ箱ロボットや、
じ~~っとコチラを見つめておどおどしながらティッシュを配ったりアルコール消毒をしてくれる「アイ・ボーンズ」や、
昔話を話す途中でもの忘れをしてしまい、人が教えてあげることで話が先に進む「トーキング・ボーンズ」などなど。

 こんなロボットがいてもいいの!?と一瞬なってしまう私は、一昔前の人種なのかもしれないです・・・。

 でも、それでもロボット達の「仕事」は成り立っているんだから、面白いです。

 こういった最近のロボット現象から、いろんな視点から社会や人間を考察することができるでしょうが、私はある意味、ロボットにも弱さがあることで社会が豊かになるのではないだろうか、と感じ取ったりしました。

 本書では、「自立」についての面白い視点も紹介されています。一言だけご紹介すると、「依存先を増やすこと」という逆説的な視点です。医師、科学者の熊谷晋一郎さんの視点です。

 ロボットですらこうなのだから、ヒトもそうあっていいのだろうと読んで思えました。

 もう少し社会が、一般的な自立が薄まって、本当の自立が濃くなるといいな、とも読後考えました。

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2025年12月07日

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