H・G・ウェルズのレビュー一覧
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本書収録の「陸の甲鉄艦」が強烈。戦車が登場する10年以上前に書かれた話で、ウェルズの先見性を評価するときに話題になる短編。
しかし本短編は先見性以上に文明人とされる西洋文明の驕り、陳腐さを激烈に批判しているところに価値がある。
敵方の最新兵器として登場する戦車(機械)に対して、当初は「人間対機械」と敵方を戦車に操られた人間として批判する書き振りであったジャーナリストの主人公が、味方の屈強な兵士が戦車を田舎者が扱う鉄器と見下したところで、「人間対鉄器」とかえた。西洋文明を代表する味方の発言から知性の死滅を感じ、敵方を人間としてとらえ西洋文明人を人間から鉄器にすり替えるウェルズのブラックユーモア。傑作。
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SFの始祖と聞いて気になって読んでみた。
1895年にこんなストーリーを考えるなんて、、、!
短編全て面白いが、やはり最終話「タイムマシン」が群を抜いて面白かった。
タイムマシンの概念、そして彼の描く人間の行く末、地球の運命、、、
突拍子もないような非現実的な物語ではなく、妙に現実的というか、あり得そうな未来なのもすごい。
書きぶり(訳しぶり?)も、惹き込まれる表現と構成で非常に良かった。
SF作品は人並みに触れてきたけれど、こんなに色褪せない、楽しめる作品だとは、、、びっくり。(正直古典すぎると面白くないのでは?教科書的な本なのでは?と不安だった)
他の短編も、少し風刺的な視線も入ったような作品が多くて好みだった。
面白くてガーッと読んでしまったので次はゆっくり味わいながら読みたい作品。
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Posted by ブクログ
原題 The War of the Worlds
11/28は「火星の日」。1964/11/28に火星探査機マリナー4号が打ち上げられたことに因むそうです。その8か月後、マリナー4号が送ってきた画像を見て、人々は火星が「死の惑星」(ニューヨーク・タイムズ紙)であることを知り、失望します。ガリレオが初めて望遠鏡で火星を見たのが1610年。以来、火星の生命は人類の長年の夢だったんですね。
原題のWorldが複数形であることからもわかる通り、異なる世界同士の戦争(一方的ですが)です。初版が1898年。現在2021年だから…123年前。すごいなぁ。火星人の圧倒的な科学力の前に、なす術もない地球人。文明を盾にとり傲慢な営みを続ける人類への警鐘と、非常時に暴露される人間の本性。科学的根拠に基づく火星人の姿はあまりにも有名。
1938/10/30にニューヨークで流された火星人襲来のラジオドラマは多くのリスナーが信じたそうです(パニックというのは新聞の誇張のようです)が、他に確認のしようがない当時では、無理もないですよね。逆に今はメディアが多過ぎて何が本当で嘘かわからない。Art abides in a realm that is neither truth nor fiction. 小説はまさに虚偽皮膜、ですね。 -
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現代に比べて宇宙や科学についての知識が十分じゃない19世紀末に書かれた物語だから、SFとしてのリアリティは薄れちゃうけど、この時代の人は、地球の海は宇宙から灰色に見えると思ってたんだなぁとか、当時の人が持てる知識を総動員して推測したであろう宇宙や地球のすがたの描写なんかも面白い。この本が出版された後に発生する
WW1のような、毒ガスなどの大量破壊兵器を用いて市民を無差別に殺戮する近代戦と、その殺戮下の市民の様子を予言していたのがすごい。
地球外にまさか高等かつ冷酷な知的生命体がいるとも思わず、地球に我が物顔でのさばっている人類。地球を狙う高度な地球外知的生命体の存在を仮定するとき、人類は、一粒の水滴の中で観察される微生物であり、また、天敵のいない島で警戒心を忘れて安穏と生きてきて、島にやって来た船乗りにむやみに近寄っては撲殺されるドードー鳥であり、海を越えてやってきた白人に滅ぼされる原住民に過ぎない。この仮定は、そのとき人類の営みにどれほどの価値があるのかという問いを私たちに投げかける。また、それは同時に、火星人を西洋文明に置き換えたとき、大航海時代の新航路、新大陸発見以来、進出した先々の地で西洋文明国がなにをしてきたのか?という問いでもある。
人類は一方では一粒の水滴の中のちっぽけな微生物に過ぎず、また一方では私たちは冷酷で醜悪な火星人で、それでもなお生きようとして、人間は人間でいようとしてもがきつづける。
小学生の頃初めて読んだSF小説だから思い入れが強い。 -
購入済み
読後感想
実写の映画では表すことのできない素材であるがゆえに、古い作品ながら心地よい緊張感をもって読むことができる。惜しむらくは前半部分にもっと透明人間であることの快感が書かれていたら感情移入できたと思えるのが残念だった。
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1922刊の世界通史。
「1850年にはエジプト以外のアフリカは暗黒大陸であった…1900年までにヨーロッパ列強の間に、原住民の福利には無関心に分割された。ヨーロッパ色に塗りつぶすことが永久的解決と信じ…産業革命によってもたらされた一時的な優位が、人類指導権の証左とみなされ、科学知識が移転しうるものとは思い至らなかった」分裂しかけたオスマン帝国、インド、清、日本「アジアの人口稠密な文明諸国をも、搾取のための原料にすぎないかのように分割することに傾倒した」ところが、新たに日本が一強国として参入した。中世的から古今に類を見ない西欧化に成功…
第二次世界大戦前の、世界大戦は君主制独裁と民主主義の戦いであったという進歩主義的史観。
岩波新書の、第二次世界大戦後の見解との変化が興味深い。