依田沙江美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ月村さんにすっかり魅了されています。
受のうじうじ加減が最高にイラつくものの、何だか憎めなくて共感してしまう。
人間誰しも卑屈になることあると思うんですが、それをもの凄く上手に
書き出してくれます。
此処まで卑屈にならなくてもいいんじゃない?
と思うこともありますが、そこは小説なので多少脚色された方が面白いかなと。
こういう地味で抑揚のないストーリーでも、キャラクターの心の動きを
凄く丁寧に書いてくれるので、飽きません。
寧ろこの地味さで読ませるためには、心理描写に重点を置かないと
いけないので、こういった『つまらなそうな日常』を瑞々しく書ける
能力が凄いなー……と思います。
田舎が舞台です -
Posted by ブクログ
依田作品には「黒い影」のような怖さが付きまとう。既読作品の中では、それが一番顕著に現れていたのが「AMETORA-雨寅-」だったと思うが、どの作品にも端的に言うと「人間だれしもが持っている心の中の腹黒さ」がどこかに登場する。人物と言う分かり易さだったり、やはり人の一部分としてだったり。その黒さがあのほんわかした絵柄の下に隠れているので、心理的なおぞましさが倍増する。「星の君」などと呼ばれて優等生の仮面をかぶっている星弥は、柔和な外見に似合わず、心の中では好きな男の子の弱みを握ってから、避けられているように感じていた龍泉に接触をする。接点を維持する為に、更に弱みを握り、自分を避けないように仕向け
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Posted by ブクログ
依田さんの作品はこのシリーズしか
きちんと読む機会を得ていないのですが、
何年でも続きを心のどこかで待ってしまいます。
情報に疎いのでこの本の発売も書店で偶然見かけて
出版に至ったことに激しく驚きました。
発刊が公式に宣伝されながら
数年に渡って延期延期であることは知っていたので。
さり気無くしつこくない画面絵柄描写に見えるのに、
人間の把握の仕方の峻厳さ、そしてその表現の巧みさに
いつも驚かされます。
今回もそうでした。
まだ続いてくれるといいなと思いますが、
続きを待つのも辛どいので期待せず
こころのかたすみあたりに置いておきたいです。