薄井ゆうじのレビュー一覧

  • くじらの降る森

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    『本当にくじらが降ってくるよ〜』と友人に薦められたのがかれこれ8年くらい前かしら。
    以来、ずっと気になってはいたものの、古本屋で見つけることができずにあっという間に時が過ぎてしまってた。
    電子化されていることに気づいて即購入、二日で完読。

    ある日、シンタロウは森の中で亡き父にそっくりな青年に出会う。
    その後、ポストに亡き父宛ての手紙を見つけたシンタロウは、差出人であるケイコという女性に出会う。
    名前を持たない変わった生い立ちの青年を通して、ルールと自由についてシンプルに描かれている。

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    2013年05月18日
  • くじらの降る森

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    どこにもかしこにもくじら。
    きわめて潔癖症のコイケケイコ。
    テントウムシの家。
    心が癒されるメルヘン。
    でも、彼はクジラは癒すために書いていたわけじゃないんだ。
    利用する人間への敵対芯があって当然。
    人間はすぐ、利用したがる。

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    2009年10月04日
  • 星の感触

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    どんどん背が伸びて巨人になっていく男と
    彼をとり囲む人間の心の交流、
    そして彼を見せものにしようとする世間。

    薄井さんは、心の美しさを何より大切にしているように感じる。

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    2009年10月04日
  • 午後の足音が僕にしたこと

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    これはストライク。短編集。
    最初と最後の話が繋がっていて、ラストまで読んでやっと納得。素晴らしいトリック。

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    2009年10月04日
  • 樹の上の草魚

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    喪失と再生の物語。ともすれば荒唐無稽な設定を、うまく物語の主題の中に落としこめている。村上春樹を彷彿させる、おだやかな語りが心地いい。
    いつ、「ヒロシ」の望みが成就されるのだろうと、ドキドキしながら読んだ。亘はとてもいい漢だ・・!ちょっとファンタジーな設定にはびっくりしたけど、そんなに突飛な設定でもない。「11人いる!」のフロルみたいなもんですね。

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    2009年10月04日
  • 星の感触

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    この著者の作品はどれも主人公のキャラはにてるところが多いんですけど、優しく、せつなく、どこか暖かく、青臭く、情けなく、無力で魅力的な作品なんです。

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    2009年10月04日
  • 樹の上の草魚

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    空想医学小説かと思えば、神話のようでもあり、ちょっぴりいびつで優しい男同士の友情の物語かと思えば、不器用でピュアな恋に落ちる男と女の愛情の物語でもあります。読んでいると、場面ごとの映像が鮮明に浮かび、クロスバ交換機のカチ・カチという快い音が頭の中にくっきりと響きます。
    なぜ、男と女、ふたつの性があるのか。どうして人は恋に落ちるのか。ふたつの性を併せ持つ人は、男なのか、女なのか、どちらでもないのか。ソモ・ソモ男女の性差をどこに見出したらよいのか。透明な科学の目と、繊細な文学の目の、両方の視点から深く性の謎に踏み込んだ興味深い作品です。吉川英治文学新人賞受賞作。

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    2009年10月04日
  • くじらの降る森

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    全く予測がつかない展開に、ついていけなくなりそうなほどのスピードでめくるめくストーリー。

    一体どこに着地するのか?

    と、一人一人の主人公はなかなかの地味な目立たない孤独な人間たちなのに、こんなにも自由にそれぞれストーリーを展開していくのか?と、どの人間からも目が離せない。

    出てくるメンツの個性的すぎる独特なキャラクターに目を奪われている間に、いつの間にか漂流しているようなそんな不安定な気持ちに終わるまでさせられ、先々が気になるそんな一冊です。

    ハラハラしないのに、ゾクゾクしないのに、不思議と目が離せない魅力のある作品です。

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    2017年02月28日
  • くじらの降る森

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    全然予期できない作品でした。
    ただ、東京から吐き出されたマサルに会った時、学校で白鯨に会った時、手の届かない所へ行くのはわかった。
    消化せず、胃に溜めていたい話だった。

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    2013年03月08日
  • くじらの降る森

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    両親を亡くした主人公が、久しぶりに父親の残した別荘を訪れる。そこで出会ったちょっと変わった母子。
    潔癖症の母親は、処女でありながら男の子を出産。ひとりで産んで、出生届を提出しないまま、森の別荘地で密かに育てたため、その子は青年になった今も名前がありません・・・。物語はこの三人を中心に、思わぬ方向へ二転三転。
    個人とは何か?社会とは何か?ひとはなぜ創造するのか?創造する意欲はどこから生まれるのか?そんなことを、従来とはまた違った視点で考えさせられるお話でした。
    モノを創り出すということは、生きることに直結しており、心に負った傷を形にすることなのかもしれません。生きるということは孤独な作業なのです

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    2009年10月04日
  • 樹の上の草魚

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    性転換手術、などとはちがうけれど、
    奇想天外な方法で性別を超えていくお話。。
    それを受けいるのにどれだけかかったか・・・というヘヴィな部分をおいといて
    ジオラマ作りに熱中する彼。その完成度。協力者。
    このプロットに脱帽。

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    2009年10月04日
  • 樹の上の草魚

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    帯には「ペニスのことなんて、誰に相談したらいいんだ」と、過激な文章が。でも、中身は柔らかくて不思議なありえないけれどありえそうな、物語。まあ、中身はペニスのお話といえばお話なんだけど、別にエロい要素はないので、高校生ぐらいからオススメ。喪失・再生。

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    2009年10月04日
  • 星の感触

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    音声を文字におこすテープリライター=良治の出会った、大きな男=ケンとのお話。ちょっぴりファンタジーがかっていて、やさしくて切ない。とても読みやすくて、だれにでも安心して薦められる一冊です。
    「逸脱」することを、「レイン・メイカー」を捨てることを恐れないこと。読み終わって、自分も、そっと背中を押されたような気がした。

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    2009年10月04日
  • 星の感触

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    声を文字に置き換える仕事をしている僕、「良治」と 2m67㎝の大男「ケン」、その恋人の「タマコ」の話。
    とにかくどんどん大きくなっていくケン。
    読者のあたしはすごく不安に思うけど 彼らは違う。
    不思議なお話だったけど、すごく良かったー。
    読み終わった今日は雨が降ってて なんだか物語に引き込まれたような読後感。
    癒されました。

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    2022年02月04日
  • 星の感触

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    この人は現実のなかにファンタジーを何気なく入り込ませるのがうまい。「鯨の降る森」もそうだったが、「創作する」ということに非常にこだわっている。ところどころ、ちょっとファンタスティックに過ぎるところもあったが、それもまた良し。

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    2018年10月15日
  • 樹の上の草魚

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    大人のファンタジーでよかった。相変わらず現実の中にファンタジーを入れるのがうまい。ただラストで子供が出てくるのはちょっといただけないなあ…。

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    2018年10月15日
  • 台 風 娘

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    【本の内容】
    「僕は風子と結婚するつもりです」

    「台風21号と結婚?方法はあるのかね」

    「いまから考えます」

    南の島でダイスケの胸に生まれた小さな恋の竜巻。

    それは、コンピュータや人工衛星を駆使しての予想を遙かに裏切り、やがて超弩級の台風になっていく。

    発達し勢力を増した風子はついに日本へ上陸。

    この恋はもう誰にも止められない!

    魅力的で荒々しい現代の女神の物語。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    導入は山下達郎の「高気圧ガール」、クライマックスはニール・ヤングの「ライク・ア・ハリケーン」、そしてエンディングは村上春樹の初期3部作。

    で、わかってもらえる?

    日本文学は「わた

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    2014年08月26日
  • イエティの伝言(小学館文庫)

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    展開が面白くて一気に読んだ。ちょっとそれぞれの心境の変化についていけなかった。もう少しライチとの交流を書いて欲しかった。

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    2013年03月09日
  • くじらの降る森

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    そうだなぁ…面白くないことはないんだけど、うーん主人公が、物を作る奴にありがちな自己中心的な人物で最後あたりもやっとしたな。彼がすごく魅力的なのもあったからかも。あと女の人に良い人がいなかったのもちょっとなあ。(良い人って陳腐すぎるけどそれ以外の言葉が見当たらない。)あんなに醜く描かなくてもいいのに。強いってことなのかもしれないけど。しかしあんなに子どもが欲しい気持ちは私にはわからないからちょっと薄ら寒い、というか恐ろしいというか…。

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    2011年09月12日
  • イエティの伝言(小学館文庫)

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    主人公がネパールの奥地で、偶然イエティを捕らえたことが物語の始まりでした。イエティは自ら捕らえられるために、深夜主人公が一人で眠る、長距離バスに乗り込んできたのです。ヒマラヤの森の生息域が狭められることへの危機感から、彼らは独立国家を打ち立てようとしていたのです。
    イエティは孤独を愛し、けして自然の摂理に逆らわず、自然の一部のようにして慎ましく暮らしています。しかしながら、彼らの知性と能力は人間以上に優れており、至って気高い人格の持ち主なのでした。
    独立を迫られる国家と、平和的解決のため調整に乗り出した国連。そして、イエティを利用して冨を増やそうとする悪徳商人・・・・イエティは人間社会の欲望の

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    2011年07月15日