あらすじ
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
19世紀末に足跡が発見されて以来、何度も目撃されているというヒマラヤの住人・イエティだが、その実体はいまだに謎だ。本書は、イエティのリーダーが捕獲されたことで明らかになったその生き方や能力が、人間の欲望に翻弄されていく物語。架空の土地や謎の生物を描きつつ人間社会に疑問を投げかける筆者の真骨頂。「文明という集団主義は、そうして個人を駄目にし続けてきた」というメッセージが心に響く。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公がネパールの奥地で、偶然イエティを捕らえたことが物語の始まりでした。イエティは自ら捕らえられるために、深夜主人公が一人で眠る、長距離バスに乗り込んできたのです。ヒマラヤの森の生息域が狭められることへの危機感から、彼らは独立国家を打ち立てようとしていたのです。
イエティは孤独を愛し、けして自然の摂理に逆らわず、自然の一部のようにして慎ましく暮らしています。しかしながら、彼らの知性と能力は人間以上に優れており、至って気高い人格の持ち主なのでした。
独立を迫られる国家と、平和的解決のため調整に乗り出した国連。そして、イエティを利用して冨を増やそうとする悪徳商人・・・・イエティは人間社会の欲望の渦に巻き込まれながらも、高潔な姿勢を崩すことはありませんでした。
知性とはなにか?国家とは、社会とはなにか?文化とは?富や権力とはなにか?生命とは?生きるとは?世界とは?
イエティの暮らしや考え方を通して、人間の愚かさ、醜さが浮き彫りにされていきます。ほんとうの豊かさとはなんでしょう?幸せとは?そして、愛の本質とは、いったい何なのでしょう?