横山紘一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
十牛図入門
「新しい自分」への道
著:横山 紘一
紙版
幻冬舎新書 078
十牛図は、禅の入門書である
人生の目的は、3つ、①自己究明、②生死解決、③他者救済
①自己究明 自分さがし
②生死解決 自分の死を、自らで解決する
③他者救済 他人とともども幸せに生きる
真の自己を究明するための禅の修行を十の図で示したものが、十牛図でです
気になったのは、以下です。
■十牛図と禅宗、唯識論
牛:真の自分
牧人:真の自分(牛)を追い求める自分
禅の根底にあるのが、唯識思想
唯識無境 外界には、「もの」はなく、「識」だけがある
人々唯識 一人ひとりの世界は、阿頼耶識から生じた -
Posted by ブクログ
ネタバレ三蔵法師が命を懸けて追い求めるほどハマった唯識思想を平易な言葉で解説した本。
正直半分も理解できたか怪しいが、少し理解できただけでも、何やら途轍もない思想に出会ってしまったと感じた。
唯識の思想とは、簡単に言うと、すべての存在は心の中に認識されて初めて成立する、とした思想だ。具体的にどういうことかは、作中のピラミッドの例がわかりやすい。ピラミッドを見て、人はピラミッドがあると言うが、よく見れば、ただそれを構成している石があるだけ。石を積み上げたものをピラミッドと名付け、認識することで初めてピラミッドは存在する。
ここまでだとヨーロッパ的唯心論と変わらないが、唯識の思想はここからさらに進む。唯識 -
Posted by ブクログ
唯識について誰もが分かる本ではないかと思う。
かつ、分かるが故に分からないというところまで案内される。
末那識や阿頼耶識の存在はヨーガをしないと分からないし、五識や意識の本当の使い方も仏教でいう修行を行わなければ分からない。
何より、正聞熏習と無分別智の両方の理解と実践が欠かせない。
それを行ってもなお仏様には届かないのだからとてつもない。
仏教哲学の中の唯識は特に論理的で腑に落ちる。
しかし腑に落ちても末那識や阿頼耶識まで落ちているのか、そもそも意識して理解できているのか、本当のところは分からない。
私たちは私たちのことも分からないのに、何かを分かったかのように振る舞う。
私たちも自分を -
Posted by ブクログ
仏教初学者で唯識論の勉強をしたいと思い本書を手に取りました。結論から言えば大変満足しています。文庫本でページも300ページ弱ですからすぐ読めるかと思いましたが、思った以上に中身が濃かったです。これは良い意味で期待を裏切ってくれました。線を引いた箇所の数があまりにも多いので、本書の良さを端的に説明できないのですが、唯識思想だけでなくそのほか仏教全般にも通じる智慧を本書は多数散りばめている印象を受けました。「唯だ心(識)だけが存在する」、しかし識は「非有非無」、つまりあるけれどないものです。座禅では「心を無にする」といいますが、まさにその状態は心がありません。つまり心は空だというわけですが、その先
-
Posted by ブクログ
人の成長モデルは医者や学者の言う物とは違う、そう感じている人にとって十牛図はしっくりくるだろう。生まれて育ち老いる、の単純なものではない。人の成長は細胞レベルでの生死の連続、それは否定の連続でもある。見かけでは分からないが同じ身体の状態は一瞬たりと無い。若い頃には理解出来なかったろう。NHKの大人の一休さんという番組で、悩める一休さんにお上人が30年経てば分かると諭した、というのがあった。成長とは一生かけての変化であり、壊れ枯れ朽ちていくイメージでは無いと思う。そのモデルとしての十牛図だろう。葛飾北斎は年老いてなお、もっと歳をとればもっと絵が上手くなると言ったそうだ。ユングの錬金術にも似ている
-
Posted by ブクログ
唯識=「唯、識のみ」。
世界は自分の認識次第でいかようにも捉えられる。
ずっと惹かれてきた考え方です。
けれど一歩踏み込んでみると、
簡単な「前向き思考」だけじゃないんですね。
コップに半分しか水がない
コップに半分も水がある
…のたとえはよく聞きますが、
ある時は「半分もある」と思えるものの、
喉が渇いたり、イライラすると
「半分しかないじゃん!」
と物足りなさを感じる時もある。
そもそも「自分」という存在がままならないし
「認識」すら思うように扱えない。
ここらへんが、唯識のむずかしさであり、
同時におもしろさでもあるとも感じます。
そこで本書を手に取ってみたものの
冒 -
Posted by ブクログ
大乗仏教で言われる根本思想の一つ。唯識論。
この世の物事は全て主体の認識によるものである。
と言ってしまえば、わかったような気になるが、その背景には緻密な論理が構築されている。
表題は唯識論となっているが、ある高校での倫理の授業での講義を元に作られたようなので、根本的な「なぜ生きるか?」というところまで議題が発展しており、興味深い。
また、仏教だけでなく古今東西の哲学からの引用や比較もなされているのが個人的には良かった。
仏教や思想については異論ないが、社会問題の認識
ついては?があった。(とはいえ1976年に書かれたものなので、当時はそうだったのかもしれんが)
仏教のキーワードを再整理 -
Posted by ブクログ
今ハマっているコテンラジオという番組で紹介された本書。
三蔵法師(玄奘三蔵)を理解する上で、必要な唯識論を「わかりやすく」解説したという本という紹介内容であった。
ただ、本書の冒頭で、唯識論の理解は、「1人1宇宙」という事実を認めることから始まる、とあり、トンデモ論的な印象を受けた。
また、最終的にも、今の自分の考えとかけ離れすぎてて、難しすぎる笑
簡単に腹落ちできない…。
根本は、「ただ身体、ただ心があるだけ」という考え方のようで、言ってることはわかるけど、なかなか難しい。
ただ、その中でも、
・私たちが認識している世界は「ある」のではなく、「なる」のです。
・なるというよりも自分が作り