田中三彦のレビュー一覧
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ダマシオの「一般向け」脳科学書、とばして『自己が心にやってくる』を読んでしまったのだが、『無意識の脳』の次の本はこちらである。前著でやや中途半端に解説が終わっていた「情動・感情」が本作で中心的・徹底的に掘り下げられる。
原題はなんと「Looking for Spinoza」、「スピノザを探して」である。唐突なスピノザ。
そして、本書を読み始めると途中から、突然スピノザの伝記のような記述がはじまって面食らう。ダマシオをこれまで読んできた者には何か異様なものが感じられるだろう。そして本書の最後の方にも、スピノザの評伝のようなものが延々と続く箇所がある。
なぜスピノザか? 著者ダマシオは、あるとき不 -
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原発について、全然知らんなと思って手に取った。原発の製造やその安全性の大部分が、一製造メーカーに委ねられているとわかって驚いた。もっと国や専門家が管理、チェックしているものかと。著者である田中さんも述べているけれども、わたしたちが最終的に頼るしかないのは、国。というか、国の決定には従わざるを得ない(自分たちで選んだ政権だしね…)。その「国」には、製造メーカーにたちうちできる、原発について精通している人(現場を知っていたり、その安全性を確かに審査できる人)が少ないんですと。あかんやん。
かといって、わたし自身は、エネルギーに依存した今の生活を見直すことができるのか。のほほんと生活している現状に、 -
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[ 内容 ]
チェルノブイリの事故が世界に大きな衝撃を与えたにもかかわらず、日本の原発政策には何の変化も見られない。
日本の原発ははたして安全なのだろうか。
原発の心臓部である圧力容器の設計に携わった著者が、自ら体験した製造中の重大事故を紹介し、現在運転中の原発の問題点をえぐり出すとともに、脱原発のための条件を探る。
[ 目次 ]
第1部 ゆがみ矯正事件(どうゆがみ、どう矯正されたか;「6.28シンポジウム」の周辺)
第2部 “運転中の原発”の安全性(理論的構築物の予盾;原発の老朽化1―圧力容器の中性子照射脆化;原発の老朽化2―理論主義の危険)
第3部 原発に象徴されるもの
[ POP ] -
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脳科学者であるアントニオ・ダマシオの著作。以前読んだ『無意識の脳 自己意識の脳』が、神経生理学や脳科学の最新研究を豊富な症例を含めて紹介していて、人間の「意識」についてかなり突っ込んだ議論をしていた刺激のある本だったので、少し高めの期待を持って読んでみました。ただ、少し期待をしたものとは違っていたというのが印象です。そもそも、タイトルの日本語の副題には引っ掛かっていたのですが、そこが違っていたのかもしれません。
原題は "Looking For Spinoza"なので、スピノザが副題といういよりも主題でそのタイトル通りなのですが、スピノザの業績やら当時の歴史や文化背景など -
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ダマシオ 情動は身体という劇場で、感情は心という劇場でそれぞれ演じられる ダマシオは怖いものをみて特有の身体的変化が生じるからそのあとに怖さを感じると考える 特定のオプションを頭に浮かべると、たとえかすかにではあっても身体が反応し、その結果たとえば不快な感情が生じ、そのためそのオプションを選択するのをやめ、こうしたことがつぎつぎと起きて、多数のオプションがあっという間に2つ三つにまで絞り込まれる。合理的思考が働くのはそのあとのこととダマシオは考えている
過去にわれわれがオプションXを選択して悪い結果Yがもたらされ、そのため不快な身体状態が引き起こされたとすると、この経験的な結ぶつきは前頭前皮質 -
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既に作ってしまった原子力プラントを、現代の安全基準にバックフィットさせることが如何に不可能なものか、よくわかる。(部分的なつけ焼き刃な対処しか出来ない)
前世紀中頃の設計の原発が、圧力容器が中性子照射で脆くなって行くがままに日本の海岸に大量に設置されている現状の恐ろしさよ!
緊急炉心冷却装置の作動が、場合によっては熱いガラスに冷水をかけるがごとく圧力容器を割ってしまう可能性があるという破局的皮肉。
この本の執筆後ではあるが、ゼネラルエレクトリックの最高経営責任者が原子力は経済的に成り立たないと明言する訳である。
使用済み核燃料の問題を別にしても、原子力をやるメリットが全くわからない。 -
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ネタバレ著者は日立の元原発技術者。
実際に格納容器の制作現場にいた人物である。
福岡第1原発の1号機は、実は曰く付きの原子炉であった。
著者がかつて在籍した呉の工場で、仕上がりに規定値を超える
歪みが見つかったため、メーカーの独断により歪み矯正を行った。
その作業は材料の脆弱性を高めて原子炉の寿命を短くする
可能性があり、非常に危険な行為であった。
しかし企業として、莫大な費用がかかる「作り直し」は
選択肢にない。納期の遅れや、それによる電力会社の損失も
大きな問題となる。
この例は特別なことではなく、
怪しげなごまかしは枚挙にいとまがない。
まったく恐ろしいモノに我々は命を賭けさせられている -
購入済み
知らない怖さ、知る怖さ
知らないから怖いよりも、知ることによる本当の怖さを得ることができる。今の日本では原発と関わらずに生きていくことは難しく、自分の身の安全を確保するために最低限の知識は持っておくべき。この本に限らず、本は著者の私見が強くなりがちなので他の本も併せて読むと良いと思う。
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日立の系列で原子炉の設計を行っていた元技術者が書いたもの。日本における原発の問題性をきわめて適切に抉り出しているよう感じられる。
冒頭のゆがんだ原子炉とその修正の話から、原発行政、設計・運営する企業がそれぞれ大きな問題を抱え込んでいることが鮮明に浮かび上がってくる。そして、この本で非常によいと思うのが、技術者の目線によって危険性の指摘という態度を通しており、論拠が不明確な「反原発」とは一線を画しているところだ。とはいっても、この本で指摘されている危険性が的確なものだとしても、原発路線からすぐに切り替えるのは難しい。大事なのは、どこが危険なのかという「まともな指摘」に対して、原発運営に関わる