畠山理仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
素晴らしいっ!もうこの一言に尽きる。
選挙に立候補するいわゆる「泡沫候補」を「誰にも頼らない、無頼系
独立候補」と呼び、そんな彼ら。彼女らを追い続けた記録だ。
私は注目を集める選挙にマック赤坂氏とドクター中松氏の名前を見つける
と、「あ、また出ている」と嬉しくなって来るんだよね。そして、本書
の冒頭はそのマック赤佐氏なので、ワクワクした。
スーパーマンやガンジーのコスプレをしたり、頭に天使の輪をつけて
いるけれど、彼の「スマイルっ!」ってとっても大事なことだと思う
のよ。みんなが笑顔でいられる政治っていいじゃないか。
選挙になると大手メディアは「主要候補」と「その他」で括って、
マック赤坂氏をはじめとした組織の力に頼らない候補者たちは
「こんな人も立候補してます」ってひとまめにされてしまう。
今ではインターネットで調べれば、どんな候補のことでもひと通り知る
ことは出来る。それでも、自分から「この人はどんな人なんだろう」と
興味を持つきっかけがなければ、報道に乗らない候補者のことなんて
知らずに選挙が終わってしまう。
選択肢がおのずと決められてしまうんだよね。組織力を持たない候補者
だって、訴えたいこと・実現したいことがあって名乗りを挙げている。
確かに一見、イワモノに見える候補者もいる。それでも、見た目のイン
パクトだけで敬遠してしまっては、候補者の考えを知ることも出来ない
のだよね。
また、本書では高額な供託金のほか、どれだけ日本の選挙にはお金が
かかるかが詳述されている。これ、本当に問題だと思う。特に、同じ
ように供託金がある国と比較しても格段に高い。
その途轍もない供託金を用意して立候補した人たちなのだから、有権者
である私たちも彼ら・彼女らの言葉を真剣に受け止め、考える必要が
あるんじゃないかな。
本書の素晴らしさは有権者がはなから無視を決め込んでいる候補者たち
にスポットを当てていることばかりではなく、著者がそれぞれの候補者
に真摯に向き合い、ちゃかすでなく、冷笑的に見るでなく、主要候補と
呼ばれる人たちに対するのと同様に真摯に向き合い、その選挙活動を
綿密に追っているところだ。
第15回開高健ノンフィクション賞受賞も頷ける。
真剣で、ひたむきな無頼系独立候補同様に、著者の筆も真剣で、ひたむき
である。いい作品に出会えたことに感謝である。 -
Posted by ブクログ
日本の空虚な民主主義社会、その根幹をなす政局に風穴を開けたい。2009年の民主党政権による記者会見は、記者クラブによる閉塞からフリーランス記者の参加を求めていく。それはフリーランス記者側の強い要望であり、そこから少しでも透明化へと近づく政治の本質へと繋がっていく。この当たり前の民主主義の振る舞いは21世紀まで看過されていた。その原因のひとつに私たち有権者の政治への無関心、そして安易に同調へなびく "事なかれ風土" が根付いているからであろう。そんな現状に諦めない筆者畠山理仁の足跡は、為政者や官僚、マスメディアの愚と賢が交錯する。便利や分かり易さとは対極にある "デモクラシー" という険しい道をまだ知らない日本の人びとにこの書籍を薦めたい。楽しいだけが良き社会ではない。
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Posted by ブクログ
この前の都知事選。立候補している候補者を見て、最初に思った感想はふざけ過ぎ。だった。泡沫候補と呼ばれる人たちのふざけ方と主要候補と呼ばれる人たちの代わり映えのしない感じにうんざりした。そして選択肢がないと思いなんとなく現職に入れてしまった自分にもうんざりした。こんな選挙意味あるのかと、今年は特に強く思って、そもそも泡沫候補と呼ばれる人たちって何者なんだろうと、まずはそこから知ろうと思いこの本を読んだ。すごく面白い。確かに頭がイカれているとしか思えない候補者もいるがみんなが政策に本気であることに代わりはないのかなと思う。候補者を平等に取り上げないマスコミの姿勢は確かに大いに疑問。マスコミが選挙を操作していると言ってもいいような報道だと気付かされた。
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Posted by ブクログ
選挙という仕組みを使って政治に関わるという、民主主義として自明のシステムに対して、なんだか納得がいかないことは色々とあると思います。本書ではそんな納得いかなさについて、著者の取材活動から訴えられたいことが書かれています。選挙に立候補した人たちの中で、有権者が知っているのは報道される本当に一部だけ。それ以外の人は、一体どんな選挙活動をしているのか。そしてなぜ立候補するのか。とても当選できないのに。一人一人について、著者が密着取材を通して知り得たことを書かれています。彼らはわかっていて、それでも必要だから立候補しているのだということを。選挙に対してもっと向き合って行かなければならないと感じました。
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Posted by ブクログ
無頼系独立候補の報道に、「独自の戦い」と、「一応触れる」公職選挙法とマスメディアのアホさかげんよ!
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2016年の東京都自治選挙には21人が立候補した。だが、メディアは小池百合子、増田寛也、鳥越俊太郎の三人の争い、と報じ続け、他の18人は、まさに「他の18人」という、選択肢以外の存在として扱い続けた。
僕は東京都民ではないのだが、地方都市の選挙でも同じことだ。たいてい泡沫候補とされる立候補者の報道は「独自の戦い」と一行だけ書かれている。
だが「泡沫候補とされる」とは何事だ? 誰がそう定義しているのだ?
なんと、当時の自治省と朝日、毎日、読売新聞の三社が、泡沫候補を紙面から締め出すための取り決めを行っていたのだと言う。一般候補、準一般候補、特殊候補の三つにわけるという選別も行っている。いわゆる泡沫候補は、公平が期待される(オレはしてないけどね)マスメディアが自ら生み出していたのだ。まあ、わかっていたけども。
本書は、その事実を知り、ますます「独自の戦い」をする候補者を追うようになった著者による、泡沫ならぬ「無頼系候補」のドキュメンタリーである。
冒頭にマック赤坂がたっぷり出てくる。これは無頼系候補の特徴を伝えるのによいのかもしれないが、マックが濃すぎる。ただ、その濃いマックが、いったいなぜ選挙に出続けるのか。一章まるまるマックに触れて、二週間ほどの選挙運動でマックの本質に気づく人は少ないだろう、としている。
マックは政見放送がSNSでバズって注目された。ニコニコ生放送での、無頼系候補とともに見る開票速報など、楽しみながら選挙を伝えよう、という活動も紹介されている。というより、これは著者がやっている。「独自の戦い」の一行で語れないことばかりだ。
だいたい取材もしないで「独自の戦い」とか、立候補の段階で候補の優劣をつけるとか、これは極めて大きい問題ではないか。たしかに完全な泡沫候補もいる。本書に出てくる人でも、絶句するような人もいる。だが、それらを選別するのはあくまで有権者の投票であり、事前の報道ではないはずではないか。
黙殺というタイトルが、そう考えると改めて恐ろしい。 -
Posted by ブクログ
思った以上に面白かった!
夫が政治に興味あり、
今まで全然気にしていなかった政治の世界に
触れ始めたら政治はちょっと面白い。
だけど、その中でもさらに
メディアにほとんど取り上げられない
いわゆる泡沫候補にまじめに取材したこの本は
想像以上にまじめで色々考えさせられた。
政見放送で気持ち悪かったあいつとか…
まぁ、マック赤坂の言ってることとか
すごいんだけど、やっぱり当選はして欲しくない
訳で、まともで戦えるような候補者はいないのか…
やっぱり政にはちょっとおかしい人たちしか
携われないのかな⁇
供託金の高さと選挙期間の短さは
改善必須だな。あと、議員報酬のカット。 -
Posted by ブクログ
著者が訴えていることはすごくよくわかる。実にまっとうな考え方だと思う。選挙とは、今現在の民主主義という仕組みの要であり、誰もが立候補して自らの政治的主張を述べる権利を持つはずだ。それなのに実際には、立候補のハードルは高く、そこを越えても、大きな組織の後押しや圧倒的な知名度がない人は、「泡沫候補」と呼ばれ、マスコミには黙殺され、時には嘲笑されたりする。それでもなお、選挙に出続ける人はいる。マスコミは、彼ら彼女らの主張をきちんと報道すべきであり、私たちもその声に耳を傾ける必要がある。
その通りだなあと思う。でも…、でもね、ここで取り上げられている「泡沫候補」(著者は「無頼系独立候補」と呼ぶ)の方たちの意見に、真剣に耳を傾けることができるかと言われると、うーん、これはちょっと難しい。もちろん、ふんふんなるほど、という政策や理念もあるのだけど、どちらかというと、およそ実現性のない空想的なものとか、意味のよくわからないスローガンとか、それはちょっとどうなのかというものが目立つように思う。候補者のなかには、明らかに常軌を逸した感じの人もいて、まあそこまではいかないにしても、あまり共感を呼ばないだろうという人が多いのではないだろうか。
何度落選しても、結構な金額の供託金を没収されても、選挙に出続ける人たち。「泡沫候補」と呼ばれ、無視されたり嘲笑されたりしながら、それでもなお立候補するのはなぜなのか。当然その理由は人によって違うのだろうが、そこが今ひとつわからず、もどかしい。
おや、マック赤坂のことが書いてある!というのが、手に取った理由。派手なパフォーマンスで知られているけれど、京大から伊藤忠商事に入社、その後レアアースの会社を経営している人でもあることを最近知った。選挙に出続ける意味を、言葉で語っているのかと期待したが、どっこい、そんなわかりやすい人ではないようだ。反骨精神に貫かれた真面目な姿と、突飛でふざけた言動の間で、人物像は揺れ動き、とらえどころがない。
最も多くのページが割かれているのがこのマック赤坂氏だが、他の方たちはおおむねもっと理解を超えている。読みながら困惑してしまったのが正直なところ。とは言え、繰り返しになるが、著者の主張自体は、実にもっともだと思った。たとえば、次のようなくだり。
著者は、こうした「泡沫候補」を無視したり冷笑したりすることはたやすい、選挙に関心を持たず、無関係のスタンスをとるのはもっと楽だ、それはクールでかっこよく見えるし、忙しい毎日を送る上での賢さかも知れない、と述べた後、こう書く。
「私はそれを愚かな賢さだと思う。めぐりめぐって、結果的にそのことが自分の人生に不利益をもたらすこともあるのだから」
「私が無頼系独立候補たちを尊敬する理由は、『逃げない』という一点だけでも十分だ。彼・彼女らは、有権者による投票結果を受け入れる覚悟をもって自分の思いを提案してくる。それは選挙に行かずに政治に不平不満を言うものよりも、遙かに尊い心の持ちようだと私は思う」