【感想・ネタバレ】黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦いのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年01月15日

選挙に出る人、すごいですね。
そしてそれを取材し続ける畠山理仁さん、すばらしいですね。
畠山さんの取材活動、ずっと追いかけていきたいと思います。
ただね、本書とは関係ありませんが選挙に出る人を茶化して高みの見物のつもりでバカにするヒルカラナンデス、特にダースレイダーこと和田礼と親しくするのはどうかと...続きを読む思います。

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Posted by ブクログ 2020年06月29日

普通に読み物としておもしろかった。
世間から黙殺されている無名候補たちにフォーカスをあてた本。

なぜ無名候補たちは政見放送等で変わったパフォーマンスに走りがちなのか。
この本を読めば、そこに無名候補たちの覚悟と憤りがあるということがわかる。

これから選挙をみる目が変わると思う。良い意味で。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年06月22日

風変わりな泡沫候補の活動を追ったドキュメンタリーがおもしろくないはずはなかった。

そして、メディアに無視され自分の存在・主張が届かない状況で選挙戦を戦う手段として変わり者になり注目を集める戦略のことや、「多様な選択肢」であるはずの泡沫候補の政策をあらかじめ切り捨てるのは社会にとっては損失ではないか...続きを読むとの視点、高額な供託金の没収など大きなリスクを取って出馬した候補者に対して、もう少し敬意を払う必要があるとの主張など、なるほどと思わされた。

何より、「もし、自分が立候補するとしたら」と想像を巡らすことが、民主主義社会に自分が参加していることへの実感を持つことに繋がるだろうと、納得させられた。「一票は大切。選挙は棄権してはいけない。」と抽象的に語るよりも、とてもわかりやすい。子どもたちに、そういう教育ができないか。

幸い、得ようと思えば、インターネット、SNSで、どんどん情報を得ることができる時代だ。
せっかくの機会だから、「選挙マニア」になって今回の東京都知事選挙を楽しんでみよう。
選挙権はないけれど。

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Posted by ブクログ 2020年06月16日

そもそも、なぜ都知事選挙にこんなに沢山の立候補者がいるのか、深く考えたこともなかった。
マック赤坂の奇抜さも自分を知って欲しいための紆余曲折を経ての事だと知ると見る目が変わってくる。
無頼系独立候補は目立ちたがりの変人だとは限らない。
選挙にイマイチ興味が持てない人の意識が少し変わるかもしれない。

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Posted by ブクログ 2019年12月11日

所謂泡沫候補(本書内では無頼系候補と呼称)は、何も思い立候補し、どのような主張と活動を行なったのか。

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Posted by ブクログ 2019年07月14日

この本を読み終わって、一番に出てきた言葉は「尊い」。
ほとんど自分では使ったことのない言葉だ。

「黙殺」されても侮蔑されても何度落選しても、孤軍奮闘で、自分の主張、政策を訴える候補者たち。
アルバイト生活をしながら、生活に困りながらも、20年もの間、その「無頼系独立候補」を取材続ける畠山さん。
...続きを読むのため、誰のためになるのか、はっきりわからない。だけど確実に、見えないけれど、ボーッと生きている私(たち)に何か大きいものをもたらしてくれていると思う。
尊い人たちだと思う。

参院選直前の今、選挙報道の不平等さについては、ありありと実感できる。
それこそ、あの人の好きな言葉「既得権益」だ。
制度の是正はもちろんだが、それを待たず、なんとか自分ができる範囲でもやり始めないとなぁ…

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Posted by ブクログ 2019年05月14日

これは歴史に残るノンフィクション本です。
ちょっと古い話になりますが、2016年に小池百合子氏が勝って都知事になった
東京都知事選には、何人の立候補が出馬したかを覚えていますでしょうか。

なんと21人です。

おそらく多くの人は、小池氏、増田寛也氏、
そして鳥越俊太郎氏の三つ巴の戦いとしか
記憶し...続きを読むていないことでしょう。

それもそのはずです。
その主要3名しかTVでは扱われなかったと
言っていいからです。

その他は「泡沫候補」という言葉で括られることが多い。
しかし、彼ら彼女らは決して目立とう精神で、負けて元々で出馬したのではないのです。

ややもすると変テコリンな格好で「頭がおかしい、
選挙オタク」という色物扱いにされがちですが、
それはそうしないと「全く存在していないと同様に
マスコミに扱われてしまう」からです。

皆、しっかりと政策を持って立候補しています。
なのに、ほとんどの有権者は彼らを”黙殺”してしまっています。

この本を読めば、次の選挙の成り行きの見方が変わります、政治への見方が変わります。
素晴らしいノンフィクションです。

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Posted by ブクログ 2018年06月26日

 有力候補だけがマスコミに取り上げられて、いわゆる泡沫候補の情報が全く報じられないのは何故なのか。
 そんな無頼系独立候補たちの取材をライフワークにする筆者は、彼らと有力候補との情報格差を問題とする。

 安くはない、300万円ほどの額の供託金を候補者は等しく払っているのに、マスコミに報じられる候補...続きを読む者と、報じられない候補者がいる。
 泡沫候補の政見放送がパフォーマンスのようなものなのは、彼らがその手段でしか世間に認知されないからだ。

 彼らの政治主張は、至ってまともなものが多い。
 何かの信念を持ち、それに基づき立候補しているからだ。
 しかし、彼らの政治主張をどれだけの人が知ることになるだろうか。
 逆に、有力候補は何かの信念主張がなくても、有名だから、党推薦だから、という理由で掲げる主張には興味がなくても有権者からの一定の支持が得られる。

 マスコミに報じられる、報じられない。
 その差は歴然だ。
 それでもなお立候補し続ける無頼系独立候補たちの戦いを追う。

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Posted by ブクログ 2018年02月06日

「泡沫候補」と呼ばれる候補者がいる。
有力な支持者もいなければ、政党の後ろ盾もない。知名度もなければ、資金も十分にはない。ないない尽くしで、しかし、彼らはドン・キホーテよろしく、選挙に立候補するのである。そしてたいていの場合は、当然のごとく、あえなく散る。
たった1つの枠に21人もの候補者が立った2...続きを読む016年の東京都知事選は例外的な多さではあったが、多くの選挙には少なくとも1人や2人、誰の目から見ても闘う前から負けが見えているかのような候補者はいる。彼ら・彼女らを駆り立てるものは何なのか?
これはそんな候補者たちを綿密な取材で追った1冊である。

著者は長年にわたり、こうした無名の候補者たちに注目してきた。著者は彼らを「泡沫候補」とは呼ばない。敬意をこめて「無頼系独立候補」と呼ぶ。
なぜか。
彼らには、公共のために何かをなそうという気概があるからだ。ときに荒唐無稽で、ときに癖が強すぎたとしても、彼らには、有権者に訴えたい「政策」があり、未来に向けた「ビジョン」がある。
少なくとも、政局を醒めた目で眺め、ときには投票にさえ行かず、選挙で何か変わるとは信じていない、そうした有権者よりも、よほど政治に真面目に向き合おうとしている。
そんな彼らを「泡沫」と貶めるのか、という憤りがそこにはある。

こうした候補者は、「主要」候補者に比べ、マスコミから取り上げられることが圧倒的に少ない。政見放送や選挙公報ではすべての候補者に平等に機会が与えられる。しかしテレビのニュースや新聞紙上では、「主要」候補者数名の主張・政策のみが比較され、「泡沫」候補は名前のみということもある。1面・2面を使う「主要」候補に対し、「泡沫」候補は全員まとめても4コマ漫画より小さいスペースしかないことも珍しくはない。

日本で立候補をするのは想像以上に大変だ。
政治に興味を示すなんて変わり者。今までの仕事や地位はどうするのだ。家族はどうなるんだ。そんな周囲の冷ややかな視線に負けて、立候補を断念するものも少なくない。
もう1つ、日本の特殊な状況として、供託金の問題がある。選挙の種類にもよって額は異なるが、立候補に当たっては数百万円もの供託金が必要とされる。この金は一定の得票率を越えれば帰ってくるが、そうでなければ没収される。それどころかポスター代などの必要経費も自前だ。この金を用意できない者は、そもそもの出発点にすら立てないのだ。

候補者らは、熱き心でこの壁に挑む。
派手な外見であったり、パフォーマンスが異様であったり、「キワモノ」感が強い候補者もいるが、その多くは、落ち着いて話を聞くと、日本の未来を見据え、どうすれば皆が幸せになれるのかをごく真面目に考えている。
多くの候補者は自分の中に芽生えた疑問から逃げない。落選しても二度・三度と挑む者も多い。

著者もまた熱き心を秘めている。
選挙に立候補する勇気は「2万パーセント」持てないと言う著者だが、20年に渡り、多くの選挙を取材し、そのほとんどすべての立候補者を追うというのは並大抵のことではない。
その陰には、大手マスコミが既成事実のように特定の候補者たちを「主要」候補と呼び、彼らの主張のみが報道され、たいていの場合は特段の番狂わせもなく、そうした候補者の中の1人が選ばれていくことに対する疑問と苛立ちがある。

著者は、「無頼派」の闘いに密着し、愛のあるツッコミをいれながら、一流の読み物に仕立てている。
端的に、ものすごくおもしろい。彼らの闘いは不思議な感動を呼ぶ。
それと同時に、「政治」に対する自分の姿勢を鋭く問われる1冊でもある。
なぜ立候補に対するハードルがこんなにも高いのか。なぜ政治にかかわることにこんなにも覚悟が必要とされるのか。「主要」候補でない彼らの主張はなぜ当然のように「黙殺」されることになっているのか。
こうした疑問は、じっくり考えてみる価値のあるものだ。

そうやってマスコミや私たち自身が「黙殺」しようとしているものは、「泡沫候補」と呼ばれる候補者たちだけではなく、「政治は私たち自身のためのものである」というあたりまえ過ぎる事実そのものなのかもしれないのだから。

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Posted by ブクログ 2018年01月24日

【孤立無援の独壇場】泡沫候補と称され,そもそも選挙に出馬していることすら認知されていないような候補者に焦点を当てたノンフィクション。「勝てない選挙」に出馬する彼/彼女らを突き動かすものとは何か,そしてそういった候補者から見えてくる日本の選挙の問題点とは......。著者は,早稲田大学在学中から取材・...続きを読む執筆活動を始めた畠山理仁。

「気づくと絶対面白いテーマだとわかるが,そのテーマにまず気づかない」というタイプの一冊。取り上げられる候補者一人ひとりの人間ドラマに引き込まれることはもちろん,政治とは,選挙とはという大きなテーマへの思考にも導いてくれる作品です。

〜生身の候補者一人一人にはドラマがある。誰もが命をかけて自分の主張を訴えている。選挙に敗れても,何度でも立ち上がり,「次こそは」とまた新たな戦いに挑戦する。底抜けに明るい彼・彼女らは,間違いなく私たちの「分身」だった。〜

選挙の見方が間違いなく変わるはず☆5つ

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Posted by ブクログ 2017年12月18日

素晴らしいっ!もうこの一言に尽きる。

選挙に立候補するいわゆる「泡沫候補」を「誰にも頼らない、無頼系
独立候補」と呼び、そんな彼ら。彼女らを追い続けた記録だ。

私は注目を集める選挙にマック赤坂氏とドクター中松氏の名前を見つける
と、「あ、また出ている」と嬉しくなって来るんだよね。そして、...続きを読む本書
の冒頭はそのマック赤佐氏なので、ワクワクした。

スーパーマンやガンジーのコスプレをしたり、頭に天使の輪をつけて
いるけれど、彼の「スマイルっ!」ってとっても大事なことだと思う
のよ。みんなが笑顔でいられる政治っていいじゃないか。

選挙になると大手メディアは「主要候補」と「その他」で括って、
マック赤坂氏をはじめとした組織の力に頼らない候補者たちは
「こんな人も立候補してます」ってひとまめにされてしまう。

今ではインターネットで調べれば、どんな候補のことでもひと通り知る
ことは出来る。それでも、自分から「この人はどんな人なんだろう」と
興味を持つきっかけがなければ、報道に乗らない候補者のことなんて
知らずに選挙が終わってしまう。

選択肢がおのずと決められてしまうんだよね。組織力を持たない候補者
だって、訴えたいこと・実現したいことがあって名乗りを挙げている。

確かに一見、イワモノに見える候補者もいる。それでも、見た目のイン
パクトだけで敬遠してしまっては、候補者の考えを知ることも出来ない
のだよね。

また、本書では高額な供託金のほか、どれだけ日本の選挙にはお金が
かかるかが詳述されている。これ、本当に問題だと思う。特に、同じ
ように供託金がある国と比較しても格段に高い。

その途轍もない供託金を用意して立候補した人たちなのだから、有権者
である私たちも彼ら・彼女らの言葉を真剣に受け止め、考える必要が
あるんじゃないかな。

本書の素晴らしさは有権者がはなから無視を決め込んでいる候補者たち
にスポットを当てていることばかりではなく、著者がそれぞれの候補者
に真摯に向き合い、ちゃかすでなく、冷笑的に見るでなく、主要候補と
呼ばれる人たちに対するのと同様に真摯に向き合い、その選挙活動を
綿密に追っているところだ。

第15回開高健ノンフィクション賞受賞も頷ける。

真剣で、ひたむきな無頼系独立候補同様に、著者の筆も真剣で、ひたむき
である。いい作品に出会えたことに感謝である。

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Posted by ブクログ 2023年04月23日

選挙で当選の可能性が限りなく低いと思われている、いわゆる"泡沫候補"に焦点を当てたルポ。

奇抜な選挙活動・政見放送など、一見ふざけてるだけに見える候補者達にも真面目な考えがあり、目的のため真剣に選挙を戦っていることが分かる本。

後ろ盾・知名度・金を持つ人間しか当選できない選挙...続きを読む制度で良いのか、有権者は平等に選べているのかという問題提起もしていて、選挙制度の在り方について考えるキッカケになる。

岸田総理を襲った犯人も問題視していた供託金についても触れられていて、数年前の本だけど中々タイムリーな内容だった。

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Posted by ブクログ 2023年03月11日

ちょっと古い話だが、2014年と2016年に行われた、東京都知事選挙に立候補した"全候補者"への取材を中心に書かれた本。特に「主要候補」以外の、いわゆる『無頼系独立候補(泡沫候補)』にスポットが当てられている。候補者ポスターからは分からない、様々な政策も丁寧に取材されており、どん...続きを読むな気持ちで立候補しているのか、がよく分かる。身近に選挙があったら、是非参考にしたいと思わせられる作品。

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Posted by ブクログ 2021年09月22日

「選挙は人を育てる。それは候補者だけでなく、有権者も含めての話だ。そのためにも、政治や選挙の情報を多ければ多いほどいい。」

ということなんだろう。

2021年の那覇市議選、候補者がとても多かったが、常連以外の各候補者はきっと貴重な体験をしたのだろう。

翻って。
投票に行かない人たち、選挙を無視...続きを読むしている人たちは成長していないのかもしれない。
そして、既得権益者の餌となる。

払ってもいい金額:1,200円

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Posted by ブクログ 2019年09月11日

マック赤坂はじめ表紙の面白さが強かった本の印象が読み終わって一変しました。特に今の選挙制度や選挙報道の不公平さに驚いたし、選挙報道を楽しくしようというのは良い提案だと思いました。

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Posted by ブクログ 2019年06月03日

様々な選挙に出馬する「泡沫候補」たち。当選する見込みも、供託金が戻ってくる見込みもないのに、なぜ彼らは立候補するのか。そこに踏み込んだルポだと思って読み始めたが……。いやあ、笑った。こんなに面白い本だとは思わなかった。1章はマック赤坂という候補者を追い、2章で日本のシステムの問題を考察し、3章で都知...続きを読む事選に焦点を当て各候補者に迫る。大変な取材だったと思うが、あまりそんなことを感じさせないユーモアがあった。今後はもっと候補者の主張に耳を傾けようと思う。ちなみに、マック赤坂は今年の港区議選で初当選したそうだ。

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Posted by ブクログ 2019年01月02日

著者のいう「無頼系独立候補」、あるいは「泡沫候補」、大川総裁のいう「インディーズ候補」、山口敏夫の自称「啓発候補」といった選挙の立候補者に関するレポ。
同じように供託金を払って立候補した、法的には同等であるはずの立候補者をマスメディアが事実上選別していること、諸外国と比べて独特な供託金制度、といった...続きを読む問題点を指摘しつつ、彼らがピエロ的に振る舞うこと(振る舞わざるを得ないこと)をレポートする。
「選挙」について考えることに一石を投じる一冊。

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Posted by ブクログ 2018年06月28日

いわゆる泡沫候補って、受け狙いのキワモノか独善的な人ばかりだと思ってたけど、候補者なりに真剣なんだ。
主要候補以外の活動がほとんど報じられないことの不公平さを指摘しているが、単なるこじつけと切り捨てられない説得力あり。とはいえ、まともにTV放映しようとしたらどんなことになるやら。。まぁ、今度マック赤...続きを読む坂さんを見かけたらもう少ししっかり足を止めてみようかな。

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Posted by ブクログ 2018年04月08日

選挙という仕組みを使って政治に関わるという、民主主義として自明のシステムに対して、なんだか納得がいかないことは色々とあると思います。本書ではそんな納得いかなさについて、著者の取材活動から訴えられたいことが書かれています。選挙に立候補した人たちの中で、有権者が知っているのは報道される本当に一部だけ。そ...続きを読むれ以外の人は、一体どんな選挙活動をしているのか。そしてなぜ立候補するのか。とても当選できないのに。一人一人について、著者が密着取材を通して知り得たことを書かれています。彼らはわかっていて、それでも必要だから立候補しているのだということを。選挙に対してもっと向き合って行かなければならないと感じました。

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Posted by ブクログ 2022年06月01日

無頼系独立候補の報道に、「独自の戦い」と、「一応触れる」公職選挙法とマスメディアのアホさかげんよ!
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2016年の東京都自治選挙には21人が立候補した。だが、メディアは小池百合子、増田寛也、鳥越俊太郎の三人の争い、と報じ続け、他の18人は、まさに「他の18人」という、選択肢以外の存在...続きを読むとして扱い続けた。

僕は東京都民ではないのだが、地方都市の選挙でも同じことだ。たいてい泡沫候補とされる立候補者の報道は「独自の戦い」と一行だけ書かれている。

だが「泡沫候補とされる」とは何事だ? 誰がそう定義しているのだ?
なんと、当時の自治省と朝日、毎日、読売新聞の三社が、泡沫候補を紙面から締め出すための取り決めを行っていたのだと言う。一般候補、準一般候補、特殊候補の三つにわけるという選別も行っている。いわゆる泡沫候補は、公平が期待される(オレはしてないけどね)マスメディアが自ら生み出していたのだ。まあ、わかっていたけども。

本書は、その事実を知り、ますます「独自の戦い」をする候補者を追うようになった著者による、泡沫ならぬ「無頼系候補」のドキュメンタリーである。

冒頭にマック赤坂がたっぷり出てくる。これは無頼系候補の特徴を伝えるのによいのかもしれないが、マックが濃すぎる。ただ、その濃いマックが、いったいなぜ選挙に出続けるのか。一章まるまるマックに触れて、二週間ほどの選挙運動でマックの本質に気づく人は少ないだろう、としている。

マックは政見放送がSNSでバズって注目された。ニコニコ生放送での、無頼系候補とともに見る開票速報など、楽しみながら選挙を伝えよう、という活動も紹介されている。というより、これは著者がやっている。「独自の戦い」の一行で語れないことばかりだ。

だいたい取材もしないで「独自の戦い」とか、立候補の段階で候補の優劣をつけるとか、これは極めて大きい問題ではないか。たしかに完全な泡沫候補もいる。本書に出てくる人でも、絶句するような人もいる。だが、それらを選別するのはあくまで有権者の投票であり、事前の報道ではないはずではないか。

黙殺というタイトルが、そう考えると改めて恐ろしい。

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Posted by ブクログ 2018年02月09日

思った以上に面白かった!
夫が政治に興味あり、
今まで全然気にしていなかった政治の世界に
触れ始めたら政治はちょっと面白い。
だけど、その中でもさらに
メディアにほとんど取り上げられない
いわゆる泡沫候補にまじめに取材したこの本は
想像以上にまじめで色々考えさせられた。
政見放送で気持ち悪かったあい...続きを読むつとか…
まぁ、マック赤坂の言ってることとか
すごいんだけど、やっぱり当選はして欲しくない
訳で、まともで戦えるような候補者はいないのか…
やっぱり政にはちょっとおかしい人たちしか
携われないのかな⁇
供託金の高さと選挙期間の短さは
改善必須だな。あと、議員報酬のカット。

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Posted by ブクログ 2018年01月21日

著者が訴えていることはすごくよくわかる。実にまっとうな考え方だと思う。選挙とは、今現在の民主主義という仕組みの要であり、誰もが立候補して自らの政治的主張を述べる権利を持つはずだ。それなのに実際には、立候補のハードルは高く、そこを越えても、大きな組織の後押しや圧倒的な知名度がない人は、「泡沫候補」と呼...続きを読むばれ、マスコミには黙殺され、時には嘲笑されたりする。それでもなお、選挙に出続ける人はいる。マスコミは、彼ら彼女らの主張をきちんと報道すべきであり、私たちもその声に耳を傾ける必要がある。

その通りだなあと思う。でも…、でもね、ここで取り上げられている「泡沫候補」(著者は「無頼系独立候補」と呼ぶ)の方たちの意見に、真剣に耳を傾けることができるかと言われると、うーん、これはちょっと難しい。もちろん、ふんふんなるほど、という政策や理念もあるのだけど、どちらかというと、およそ実現性のない空想的なものとか、意味のよくわからないスローガンとか、それはちょっとどうなのかというものが目立つように思う。候補者のなかには、明らかに常軌を逸した感じの人もいて、まあそこまではいかないにしても、あまり共感を呼ばないだろうという人が多いのではないだろうか。

何度落選しても、結構な金額の供託金を没収されても、選挙に出続ける人たち。「泡沫候補」と呼ばれ、無視されたり嘲笑されたりしながら、それでもなお立候補するのはなぜなのか。当然その理由は人によって違うのだろうが、そこが今ひとつわからず、もどかしい。

おや、マック赤坂のことが書いてある!というのが、手に取った理由。派手なパフォーマンスで知られているけれど、京大から伊藤忠商事に入社、その後レアアースの会社を経営している人でもあることを最近知った。選挙に出続ける意味を、言葉で語っているのかと期待したが、どっこい、そんなわかりやすい人ではないようだ。反骨精神に貫かれた真面目な姿と、突飛でふざけた言動の間で、人物像は揺れ動き、とらえどころがない。

最も多くのページが割かれているのがこのマック赤坂氏だが、他の方たちはおおむねもっと理解を超えている。読みながら困惑してしまったのが正直なところ。とは言え、繰り返しになるが、著者の主張自体は、実にもっともだと思った。たとえば、次のようなくだり。

著者は、こうした「泡沫候補」を無視したり冷笑したりすることはたやすい、選挙に関心を持たず、無関係のスタンスをとるのはもっと楽だ、それはクールでかっこよく見えるし、忙しい毎日を送る上での賢さかも知れない、と述べた後、こう書く。
「私はそれを愚かな賢さだと思う。めぐりめぐって、結果的にそのことが自分の人生に不利益をもたらすこともあるのだから」
「私が無頼系独立候補たちを尊敬する理由は、『逃げない』という一点だけでも十分だ。彼・彼女らは、有権者による投票結果を受け入れる覚悟をもって自分の思いを提案してくる。それは選挙に行かずに政治に不平不満を言うものよりも、遙かに尊い心の持ちようだと私は思う」

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Posted by ブクログ 2023年06月29日

都知事選とかは 候補者が多すぎて全然わからずという事もあったし わずかの期間でその人なりがわかるわけでもなく メディア報道されない限りは 目に付かず。
わざわざ YouTubeなどにアクセスしてまでは 調べなかった私ですが 多くの人も 忙しいから 目に飛び込んで来る情報が 選挙の情報になっていたと思...続きを読むいます。

この本を読んで いつも選挙に出ていた候補がなぜ立候補しているのかなど わかりました。

これからは 色々チェックしたいと思いましたが 告示してから 短かすぎますよね。
選挙自体の改正も色々して欲しいですね。

なぜ投票率が上がらないのからとかも含めて 検討して欲しいです。

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Posted by ブクログ 2020年07月11日

泡沫候補とは、確かに横柄な表現だ。
選挙以外で泡沫呼ばわりされる事あるんだろうか?
著者はこれに異を唱えて無頼系独立候補と呼んだ。大川総裁はインディーズ候補と呼んだ。

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Posted by ブクログ 2018年04月06日

 そもそも誰が名付けたのか「泡沫候補」。政党に所属するか、政党からの支持がない候補についてはマスメディアは「その他の候補」ということでほとんど無視する。「主要」と言われる候補者もまた、彼らを無視する。堂々と政策論争を交わそうともしない。
 著者はそんな彼らを「無頼系独立候補」と名付け、その選挙戦を追...続きを読むう。彼らには、立候補せずにはいられない、押さえつけきれない魂の叫びがある。そうしなければならない、強い強い思いがある。世界と比して無謀にも高い供託金、しかもほとんど戻ってくるあてもないのに、それでも戦わなければならない理由があるのである。
 それにしても、以上に高い立候補への参入障壁、独立系候補の声を届けようとしないマスコミをはじめとする選挙報道、この国の「民主主義」はどこかおかしい。

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Posted by ブクログ 2018年02月22日

サブタイトルが「報じられない『無頼系独立候補』たちの戦い」
ほとんど当選する見込みはないけど、独自の政策を掲げて選挙に出続ける人たちを追ったノンフィクション。
考えてみれば、政党を渡り歩いて、自分が当選することしか考えない議員先生より彼らの方がよっぽど国のことを考えている。
色々と考えさせられる一...続きを読む冊だった。

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