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落選また落選! 供託金没収! それでもくじけずに再挑戦! 選挙の魔力に取り憑かれた泡沫候補(=無頼系独立候補)たちの「独自の戦い」を追い続けた20年間の記録。2017年 第15回 開高健ノンフィクション賞受賞作。【目次】第一章 今、日本で最も有名な「無頼系独立候補」、スマイル党総裁・マック赤坂への10年に及ぶ密着取材報告。/第二章 公職選挙法の問題、大手メディアの姿勢など、“平等”な選挙が行なわれない理由と、それに対して著者が実践したアイデアとは。/第三章 2016年東京都知事選挙における「主要3候補以外の18候補」の戦いをレポート。
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Posted by ブクログ
この本を読み終わって、一番に出てきた言葉は「尊い」。
ほとんど自分では使ったことのない言葉だ。
「黙殺」されても侮蔑されても何度落選しても、孤軍奮闘で、自分の主張、政策を訴える候補者たち。
アルバイト生活をしながら、生活に困りながらも、20年もの間、その「無頼系独立候補」を取材続ける畠山さん。
何のため、誰のためになるのか、はっきりわからない。だけど確実に、見えないけれど、ボーッと生きている私(たち)に何か大きいものをもたらしてくれていると思う。
尊い人たちだと思う。
参院選直前の今、選挙報道の不平等さについては、ありありと実感できる。
それこそ、あの人の好きな言葉「既得権益」だ。
制度の是正はもちろんだが、それを待たず、なんとか自分ができる範囲でもやり始めないとなぁ…
Posted by ブクログ
これは歴史に残るノンフィクション本です。
ちょっと古い話になりますが、2016年に小池百合子氏が勝って都知事になった
東京都知事選には、何人の立候補が出馬したかを覚えていますでしょうか。
なんと21人です。
おそらく多くの人は、小池氏、増田寛也氏、
そして鳥越俊太郎氏の三つ巴の戦いとしか
記憶していないことでしょう。
それもそのはずです。
その主要3名しかTVでは扱われなかったと
言っていいからです。
その他は「泡沫候補」という言葉で括られることが多い。
しかし、彼ら彼女らは決して目立とう精神で、負けて元々で出馬したのではないのです。
ややもすると変テコリンな格好で「頭がおかしい、
選挙オタク」という色物扱いにされがちですが、
それはそうしないと「全く存在していないと同様に
マスコミに扱われてしまう」からです。
皆、しっかりと政策を持って立候補しています。
なのに、ほとんどの有権者は彼らを”黙殺”してしまっています。
この本を読めば、次の選挙の成り行きの見方が変わります、政治への見方が変わります。
素晴らしいノンフィクションです。
Posted by ブクログ
有力候補だけがマスコミに取り上げられて、いわゆる泡沫候補の情報が全く報じられないのは何故なのか。
そんな無頼系独立候補たちの取材をライフワークにする筆者は、彼らと有力候補との情報格差を問題とする。
安くはない、300万円ほどの額の供託金を候補者は等しく払っているのに、マスコミに報じられる候補者と、報じられない候補者がいる。
泡沫候補の政見放送がパフォーマンスのようなものなのは、彼らがその手段でしか世間に認知されないからだ。
彼らの政治主張は、至ってまともなものが多い。
何かの信念を持ち、それに基づき立候補しているからだ。
しかし、彼らの政治主張をどれだけの人が知ることになるだろうか。
逆に、有力候補は何かの信念主張がなくても、有名だから、党推薦だから、という理由で掲げる主張には興味がなくても有権者からの一定の支持が得られる。
マスコミに報じられる、報じられない。
その差は歴然だ。
それでもなお立候補し続ける無頼系独立候補たちの戦いを追う。
Posted by ブクログ
「泡沫候補」と呼ばれる候補者がいる。
有力な支持者もいなければ、政党の後ろ盾もない。知名度もなければ、資金も十分にはない。ないない尽くしで、しかし、彼らはドン・キホーテよろしく、選挙に立候補するのである。そしてたいていの場合は、当然のごとく、あえなく散る。
たった1つの枠に21人もの候補者が立った2016年の東京都知事選は例外的な多さではあったが、多くの選挙には少なくとも1人や2人、誰の目から見ても闘う前から負けが見えているかのような候補者はいる。彼ら・彼女らを駆り立てるものは何なのか?
これはそんな候補者たちを綿密な取材で追った1冊である。
著者は長年にわたり、こうした無名の候補者たちに注目してきた。著者は彼らを「泡沫候補」とは呼ばない。敬意をこめて「無頼系独立候補」と呼ぶ。
なぜか。
彼らには、公共のために何かをなそうという気概があるからだ。ときに荒唐無稽で、ときに癖が強すぎたとしても、彼らには、有権者に訴えたい「政策」があり、未来に向けた「ビジョン」がある。
少なくとも、政局を醒めた目で眺め、ときには投票にさえ行かず、選挙で何か変わるとは信じていない、そうした有権者よりも、よほど政治に真面目に向き合おうとしている。
そんな彼らを「泡沫」と貶めるのか、という憤りがそこにはある。
こうした候補者は、「主要」候補者に比べ、マスコミから取り上げられることが圧倒的に少ない。政見放送や選挙公報ではすべての候補者に平等に機会が与えられる。しかしテレビのニュースや新聞紙上では、「主要」候補者数名の主張・政策のみが比較され、「泡沫」候補は名前のみということもある。1面・2面を使う「主要」候補に対し、「泡沫」候補は全員まとめても4コマ漫画より小さいスペースしかないことも珍しくはない。
日本で立候補をするのは想像以上に大変だ。
政治に興味を示すなんて変わり者。今までの仕事や地位はどうするのだ。家族はどうなるんだ。そんな周囲の冷ややかな視線に負けて、立候補を断念するものも少なくない。
もう1つ、日本の特殊な状況として、供託金の問題がある。選挙の種類にもよって額は異なるが、立候補に当たっては数百万円もの供託金が必要とされる。この金は一定の得票率を越えれば帰ってくるが、そうでなければ没収される。それどころかポスター代などの必要経費も自前だ。この金を用意できない者は、そもそもの出発点にすら立てないのだ。
候補者らは、熱き心でこの壁に挑む。
派手な外見であったり、パフォーマンスが異様であったり、「キワモノ」感が強い候補者もいるが、その多くは、落ち着いて話を聞くと、日本の未来を見据え、どうすれば皆が幸せになれるのかをごく真面目に考えている。
多くの候補者は自分の中に芽生えた疑問から逃げない。落選しても二度・三度と挑む者も多い。
著者もまた熱き心を秘めている。
選挙に立候補する勇気は「2万パーセント」持てないと言う著者だが、20年に渡り、多くの選挙を取材し、そのほとんどすべての立候補者を追うというのは並大抵のことではない。
その陰には、大手マスコミが既成事実のように特定の候補者たちを「主要」候補と呼び、彼らの主張のみが報道され、たいていの場合は特段の番狂わせもなく、そうした候補者の中の1人が選ばれていくことに対する疑問と苛立ちがある。
著者は、「無頼派」の闘いに密着し、愛のあるツッコミをいれながら、一流の読み物に仕立てている。
端的に、ものすごくおもしろい。彼らの闘いは不思議な感動を呼ぶ。
それと同時に、「政治」に対する自分の姿勢を鋭く問われる1冊でもある。
なぜ立候補に対するハードルがこんなにも高いのか。なぜ政治にかかわることにこんなにも覚悟が必要とされるのか。「主要」候補でない彼らの主張はなぜ当然のように「黙殺」されることになっているのか。
こうした疑問は、じっくり考えてみる価値のあるものだ。
そうやってマスコミや私たち自身が「黙殺」しようとしているものは、「泡沫候補」と呼ばれる候補者たちだけではなく、「政治は私たち自身のためのものである」というあたりまえ過ぎる事実そのものなのかもしれないのだから。
Posted by ブクログ
【孤立無援の独壇場】泡沫候補と称され,そもそも選挙に出馬していることすら認知されていないような候補者に焦点を当てたノンフィクション。「勝てない選挙」に出馬する彼/彼女らを突き動かすものとは何か,そしてそういった候補者から見えてくる日本の選挙の問題点とは......。著者は,早稲田大学在学中から取材・執筆活動を始めた畠山理仁。
「気づくと絶対面白いテーマだとわかるが,そのテーマにまず気づかない」というタイプの一冊。取り上げられる候補者一人ひとりの人間ドラマに引き込まれることはもちろん,政治とは,選挙とはという大きなテーマへの思考にも導いてくれる作品です。
〜生身の候補者一人一人にはドラマがある。誰もが命をかけて自分の主張を訴えている。選挙に敗れても,何度でも立ち上がり,「次こそは」とまた新たな戦いに挑戦する。底抜けに明るい彼・彼女らは,間違いなく私たちの「分身」だった。〜
選挙の見方が間違いなく変わるはず☆5つ
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