佐々田雅子のレビュー一覧
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本書は、〈暗黒のL.A.四部作〉〈アンダーワールドU.S.A.三部作〉に続く、〈新・暗黒のL.A.四部作〉の一作目として構想されているらしい。時系列的には『ブラック・ダリア』よりも前になる。原題の由来は“裏切り”の意味を持つジャズのスタンダード・ナンバー。
〈アンダーワールドU.S.A.三部作〉は既読。〈暗黒のL.A.四部作〉は『ブラック・ダリア』のみ既読で、『LAコンフィデンシャル』を映画で観ただけ。いずれは読んでみたいと思っていたので、一連のシリーズのスタートとなる本書はいいタイミングなかと思ってトライしてみたが、ひどく混乱して異常に疲れてしまった。
物語は、複数の視点が入れ替わるように進む。登場人物が徐々に増え、それに比例して作中の情報量も膨大なものになってくる。日系人殺人事件という軸はあるものの、実在の人物も含めた個性豊かなキャラクターたちが、己の欲望と運命を秤にかけながら右往左往する様に揺さぶられ続け、途中からいろいろ見失ってしまった。なんだろう、そういうのもひっくるめて、エルロイを堪能できるような経験値がなかったってことか。
面白いのは面白いんだけど、この狂気じみた世界観に若干怖気付いてる自分がいた。この腹黒さ、この暗黒さを咀嚼できるようになるにはあと何冊必要かしら。 -
Posted by ブクログ
初読。イラク戦争を舞台にした戦争/青春小説である。イラク・フセイン政権との湾岸戦争で米軍は被害を殆ど出さずに勝利した。物量と科学力を背景にした湾岸戦争はコンピューター制御による大規模な空爆を中心とした現代的戦争だった。その火種は彼我の戦力差への絶望感を産み、イスラーム戦士を攻撃の対象を軍事目標から民間人へと転換したテロリズムに走らせた。それに応じたイラク戦争は大規模な地上軍を展開し、さながらベトナム戦争を想起させる泥沼化の様相を呈した。動員された兵士は、敵味方の区別がつかないゲリラ戦に苦しみ、帰国後は後遺症による現実社会への不適応に苦しんだ。イラク戦争に従軍した作者はイラク戦争を描くにあたり、かつてのベトナム戦争文学を意識的に模している。作者の分身である主人公の青年バートルにとって「国家/家」とは「父」が不在の不安定な存在であり、それが彼個人の存在に不安定さの影を落としていた。彼は自ら戦争の大義を、ひたすらに初年兵のマーフィを生きて祖国に戻すことに見出すが、マーフィーは過酷な戦場で次第に精神的に消耗してゆく。
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Posted by ブクログ
読んでいるうちにどんどん息苦しくなってきて、どうしても長時間通しで読むことができませんでした。
細切れに読んでは休み、読んでは休み。
次々に自殺したというわけではなく、最初に末の妹が自殺し、その後残された姉妹たちが何とか自分たちの置かれた状況を打破しようとしたけれどそれはならず、最後に手段は別々でも同時に自殺したんだと思う。
環境に適応できなかったのは五人姉妹ではなく、親のほうだったのだと思うのだが、危険の多い世の中に子どもを送り出す不安は私にもわかる。
できることならば目の届くところにずっと子どもをおいておきたい。
でもそれはできないことでしょう?
出来ないことと、普通はあきらめるでしょう?
必要最低限の人間関係しか認めない。
家族のなかだけで完結しようとする両親。特に母親。
ボーイフレンドどころか、女の子の友だちもいない娘たち。
男の子に対する興味はあるけれど、デートの仕方も分からない、お洒落の仕方も分からない。
とりあえず家にいさえすればいいのか、家でお酒を飲みタバコを吸う少女たち。
そして外の世界に憧れる。
最初は見知らぬ世間に対する恐怖と嫌悪だったのかもしれない。
内側に内側にと向かう母の心は、最後は生きることへの無気力?無関心?あきらめ?みたいな感じになっていって、父親は職を失い、子どもたちは学校をやめさせられ、買い物に行くことも家のなかを片付けることも食事を作ることもしなくなる家族。
物はくさり家具は焚きつけになり。
「ここから連れ出して」というSOSは、結局自分たちの絶望に踏みにじられたのだろう。
少女たちは彼女たちを連れ出しに来た近所の少年たちの気配を感じながら死んでいったのだから。
世の中に希望を持てない、そういう時代だったのかもしれない。
親の束縛が堪えられない、そういう年頃だったのは確かにそうだ。
だけど、ではそういう子どもたちがみな自殺を企てるかというと、もちろんそんなわけはなく。
私はただ、リズボン家の孤立した、廃頽した家の空気がたまらなく堪えがたかった。