木村英紀のレビュー一覧
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タイトルからして、日本の技術がアジアの生産力に負けた、という話かと思って読んだのだけど、科学史を下敷きにした欧米との比較論だった。こういう比較論にあたったのは初めてだったこともあって、面白かった。科学と技術の歴史観としても面白い。
日本が誇りとしている「匠」「現場力」「技能」、それらが示すのは日本が本当の産業革命を迎えておらず、家内制手工業を引きずっているということ。それは生産がシステム化されていないということ。それがソフトウエア主体の生産システム開発の時代になって優位性を失わせている。
ただ、この手の分析的な本の常として、「処方箋」には不満。やはり、欧米の後を追え、と言っているだけの感は否め -
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正直言って理系の内容全開なところは分からなかった。
ざっくりと思い浮かんだのは、前に読んでやっぱり内容よくわからなかった『無駄学』みたいな領域の学問だろうかってことくらい。あー薄っぺらい。
それでも問題意識は、実際働いてる中でいま感じているものと近い。
日本経済の原動力となった「ものつくり」の原点は、「匠」や「技」に代表される労働集約型技術であるが、もはやそれだけでは、「理論」、「システム」、「ソフトウェア」に代表される資本集約型の現代の技術には太刀打ちできなくなっている。
やっぱりそうなのかねー。
『計算機産業の育成には、様々なレベルで通産省が関わった。(中略)通産省は -
Posted by ブクログ
システム思考、意思決定、全体俯瞰など、自分が興味を引いている単語のオンパレードでした。
日本人が苦手な分野であるシステム思考を、より深めることの重要性を訴求しています。
たぶん、システムという学際的で非常に広い分野ですので、200ページ程度では、論じきれず、浅いレベルの内容に終始しております。
入門書としては、具体例も織り込まれており、十分かとは思いましたが。
一読して感じたことは、結局のところ日本人は、欧米人に比べて、システム云々ではなく、思考に粘りがないのかなと言うことです。ツメが甘い。
もちろん、自分を筆頭に。
島国、ムラ社会 と言った文化的背景を多分に感じます。 -
Posted by ブクログ
最近、著者の講演を聞く機会があった。本書のような過激なタイトルの本を書いた人とは思えない穏やかで腰の低い人だった。しかし、その主張にブレは見られない。
本書が世に出たのは2009年であり、当時ずい分話題になったように思うが、それから6年を経ても、あまり状況は変わっていないように見える。未だ「ものつくり」の匠が尊重され、その傾向は強まっているようでさえある。
もちろん、ものつくりが大切であることは否定できない。しかし、世界的に見て、付加価値の重要部分は「もの」から「システム」に移行しているらしい。言われてみれば、例えば、東京都水道局の水道技術は素晴らしいと思うのだが、こういう優れた要素技術を持っ -
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[ 内容 ]
必要なとき、必要なだけ、その力を取り出せて機械は、はじめてものの役に立つ。
制御対象の状態を目標に「合わせる」、その状態を「保つ」、そのために使うエネルギーをできるだけ「省く」という、制御の考え方と実際の方法をやさしく解説する。
[ 目次 ]
第1章 「制御」の誕生
第2章 制御とは何か
第3章 森羅万象に宿るダイナミックス
第4章 ロボットアームに絵を描かせる
第5章 商品価値を高める制御
第6章 重厚長大から微細濃密まで
第7章 ロボットの進化
第8章 広がる制御のフロンティア
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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Posted by ブクログ
技術に関する物事を、要素技術そのものではなく、全体システムとして捉えていくことが重要であるという内容。
システムとして捉えるべきという主張には同意するものの、日本が遅れているという主張には、論拠の少なさや原因の考察の浅さからあまり同意できない。
日本はハードはいいけどソフトはダメなんて言うのは聞き飽きた話で、その原因と対策を深く掘り下げないで、システム的に物事を考えようというお題目を唱えるだけでは、結局何も現状は変えられないと思う(現状が危機的状況にあるかどうかの正確な認識もできていないが)。
後、まあ意図した構成だとは思うが、システムに関する科学的な話が少なく、ほとんどが工学的な事例紹