【感想・ネタバレ】ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させるのレビュー

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Posted by ブクログ 2012年09月29日

タイトルからして、日本の技術がアジアの生産力に負けた、という話かと思って読んだのだけど、科学史を下敷きにした欧米との比較論だった。こういう比較論にあたったのは初めてだったこともあって、面白かった。科学と技術の歴史観としても面白い。
日本が誇りとしている「匠」「現場力」「技能」、それらが示すのは日本が...続きを読む本当の産業革命を迎えておらず、家内制手工業を引きずっているということ。それは生産がシステム化されていないということ。それがソフトウエア主体の生産システム開発の時代になって優位性を失わせている。
ただ、この手の分析的な本の常として、「処方箋」には不満。やはり、欧米の後を追え、と言っているだけの感は否めない。あと、タイトルが内容を示していないのも、ちょっと不満。

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Posted by ブクログ 2011年11月03日

正直言って理系の内容全開なところは分からなかった。

ざっくりと思い浮かんだのは、前に読んでやっぱり内容よくわからなかった『無駄学』みたいな領域の学問だろうかってことくらい。あー薄っぺらい。

それでも問題意識は、実際働いてる中でいま感じているものと近い。

日本経済の原動力となった「ものつく...続きを読むり」の原点は、「匠」や「技」に代表される労働集約型技術であるが、もはやそれだけでは、「理論」、「システム」、「ソフトウェア」に代表される資本集約型の現代の技術には太刀打ちできなくなっている。

やっぱりそうなのかねー。


『計算機産業の育成には、様々なレベルで通産省が関わった。(中略)通産省は口を出したし金も出したが、その影響力は結局たいしたものではなかった。』

あー切ない。。。。

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Posted by ブクログ 2010年01月04日

・理論が重視されない日本の工学研究
 →現在は理論も重視されているのでは?しかし,自分に対して当てはめてみた場合それが出来ているか疑問.
・日本技術の原型は労働集約型
→労働集約型技術はもはや成立しない
・第3の科学革命
 -機械からシステムへのシフト
 -技術の対象は見えるものから見えないものへ移...続きを読む
・普遍性への感度が低い
 -行ったことの過程等の見えないものの見える化が必要
・技術は未知を内部に取り込みつつ発展する.未知(不確かさ)が無害になったときそれが技術として成り立つ

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Posted by ブクログ 2015年12月17日

最近、著者の講演を聞く機会があった。本書のような過激なタイトルの本を書いた人とは思えない穏やかで腰の低い人だった。しかし、その主張にブレは見られない。
本書が世に出たのは2009年であり、当時ずい分話題になったように思うが、それから6年を経ても、あまり状況は変わっていないように見える。未だ「ものつく...続きを読むり」の匠が尊重され、その傾向は強まっているようでさえある。
もちろん、ものつくりが大切であることは否定できない。しかし、世界的に見て、付加価値の重要部分は「もの」から「システム」に移行しているらしい。言われてみれば、例えば、東京都水道局の水道技術は素晴らしいと思うのだが、こういう優れた要素技術を持っていても、どこかの国・地域に水道を作るとなると、フランスのヴォエリアに叶わないらしい。なぜだろうと思っていたが、本書を読んで、その理由が少し分かった気がする。
最近はやりの「インダストリー4.0」とも絡めて、システムの本を少し読み漁ってみたいという気持ちになった。

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Posted by ブクログ 2013年01月21日

ものつくり神話に捕われた日本の技術評価を戦前から敗戦を経て分析。過度にものつくりにこだわる日本の技術分析は新鮮。しかし筆者の専門分野の制御技術が革命、とする分析には違和感。日本にシステム技術、理論が弱い、と言うのは分野ごとにはあるかもしれないが、日本の技術全体の傾向とすこと、それが今後の世界をリード...続きを読むする技術か?ソフトは確かにそうだか、システム、制御工学を知らないからかもしれないが、知らないものにとっては納得感を得られない。

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Posted by ブクログ 2012年03月07日

「日本=ものづくり」を盲目的に信じている楽観論を否定した内容。

一度読んでみてください。
製造業にかかわっている人は、読んでみると考えさせられるところはあるはず。

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Posted by ブクログ 2010年08月25日

(S)
 国ごとの「技術」のとらえ方を、科学と技術の関係や第二次世界大戦での戦略などから読み解いた本。
 なかなか一言では書けない内容が書かれていて、読み応えがある。
 科学技術、という言葉をなんの気なしに使っていたが、この本を読んでその浅はかさに気付かされた。科学と技術は、全然別のものだし、科学技...続きを読む術という物事の捉え方には日本人らしさが出ている。
 本書では”科学と技術が「結婚」した”という表現が出てくるが、それが個人的にはツボにはまった。
 技術で飯を食べている技術者は、こういった本を絶対に読んだほうが良い。

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Posted by ブクログ 2010年08月01日

産業の中心は道具から機械へ、そして機械から人間も含めたシステムへと移ってきたという。その過程で職人芸やその上にたった人間関係を重んじる日本の「ものつくり神話」は限界にきているという。
著者は従来の「ものつくり」を脱却して日本が弱点とする「理論」、「システム」、「ソフトウェア」を強化した「知の統合」が...続きを読む急務であると主張しています。ただし、それが本当かどうかは私にはわかりません。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

・科学史、技術史に関する技術が面白い
・日本が生き残るには「技」「匠」信仰を超えなければならない
・労働集約型社会を継続していては賃金が高騰した日本は国際競争を勝ち抜くことはできない
・システム化に対応するための方法がよく分からん。やはり教育から見直すしかないのか

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Posted by ブクログ 2015年01月03日

昔ながらの「ものづくり」だけではまた敗戦してしまうという主張はわかりやすかったけど、「理論」「システム」「ソフトウェア」で解決するわけでもないとも思う。研究者が予算獲得のため科学技術政策担当役人に自分の専門分野の重要性を説得しているという感じで、ちょっとおおげさかも。
 
でも1930~40年代に情...続きを読む報に関する理論がまとまって確立したというのは知らなかったので読んでよかった。そして、これらが自然科学でなく人工物を対象とする科学というのも、今まで気がつかなかった。確かに別物。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

 何故日本は現代社会における「目に見えない産業」に遅れを取っているのかについて、第二の科学革命、第三の科学革命などの「科学革命」に対して、日本という国と人々がどの様に接してきたのかを、鉄砲伝来の時代から現代にまで紐解く。


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序章 日本型ものつくりの限界
第1章 ...続きを読む先端技術を生み出した二つの科学革命
第2章 太平洋戦争もうひとつの敗因
第3章 システム思考が根付かない戦後日本
第4章 しのびよる「ものつくり敗戦」
終章 「匠の呪縛」からの脱却―コトつくりへ
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○前半が小難しい話、後半から一気に盛り上がる
 正直なところ、序章から第二章まではこの本を読む上で、著者の考える答えを共有するための“前提条件”を知ることに費やされている。正直なところ、この退屈な前半で辟易として積み本化してしまおうとも感じたものの、その後の四章〜終章は中々面白い。
 このため、前半に飽きてしまったら4章から読んでみるのも面白いかもしれないが、知識の前提条件が欠落しているため、結果として1章などは読む必要がある。ただ、「読み解くために知る必要性」を感じているのであれば、読解力も上がるのではないだろうか。


○全体を見て
 幾つか気になる部分がある*1ものの、著者の考える「現在の弱み」、「必要な能力」という部分については、私が感じている現実問題と合致している。今一度何を強みにすることで競争力を高めることが出来るのか、それを考えるのに読んでみると面白い一冊かもしれません。

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