石川拓治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み進めるごとに、他のどこでも聞いたことのないような、いのちのあり方をめぐる大切なことを教えてもらいながら、凝り固まった頭と心がほぐされていく感覚を味わった。
著者は、何より、自分の目で見ることの大切さを説く。自分の目で見て、聴いて、触れて、嗅いで、そして自分の頭で考え、いろいろ試してみることの大切さを。著者の発見は、結局世の中の常識を覆してしまったわけだから、その言葉にはとてつもない重みがある。
そして、かつ、著者は大切なものは、目に見えない、ということも教えてくれる。
種から最初に出るのは、表に見える芽ではなく、根であり、根がしっかりしていることこそが、その植物にとって最も重要であるということ。
目に見えない細菌をはじめとする微生物との共生こそがいのちを生かしているということ。
著者の実践している肥料や農薬を使わない自然栽培は、自然に任せきりにするのではなく、たくさんの人の手を必要とする、という事実に、とても心を動かされた。
手で虫を取り、食用の酢を薄めたものを散布し、そしてたくさんの添え木をする。
著者はりんごの木の一本一本はそれぞれに名前をつけてやりたくなるほど個性的なのだと言う。
「一本一本がみんな違う。その違いにしっかりと目を向け、同じ生き物同士、一対一で向き合うのがりんごの木との唯一の正しいつきあい方であることを、私は長い百姓の末に学びました」
そして著者は次のように付け加えることを忘れない。
「もちろんそれはりんごだけでなく、この世界に生きとし生けるものすべてがそうなのです。」
「もちろん、人間だってそうです。」
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Posted by ブクログ
青森のりんご農家木村さん。とても可愛らしい笑顔で、様々な媒体で存在は知っていたが文庫で初読。
前情報として、無農薬、宇宙要素が詰まっていて読む前から何故か神聖な気持ちに。
出稼ぎや、同業から厳しい声のなか苦しい生活と、懸命に模索してきたお姿。
アセンションされるのは稀に見る一生懸命な人だとか。ロマンと、自分でも選択することで行動ができると、食への意識が変わった。
山中で「自然の中に答えは元からあった」というような気付きのシーンが印象的。
種苗法や農薬問題は長らく問題視されているため、現在の活動、国内・海外の自然栽培生産者への技術指導により日本から広がり、かつてのまたは未来の世界へ繋がると考えさせられた。著者目線の描写も共感できて面白かった。都内にあるレストランで直接契約しているりんごソースも、いつかいただきたい。 -
Posted by ブクログ
表面だけをなぞるとただの天才だが、壮絶な苦悩の上に成り立つ物語に鼓舞された。グランメゾンパリを見た上で、やはりフレンチって奥深い。
・全てを自分の仕事と思えるか
自分が与えられたタスクは終わったからもういいや。自分の報酬に割に合わない。など考えてしまうから、それまでの人にしかなれない。
とことんギバーの精神で献身し続けることこそ、ブレイクスルーが見えてくる
・プロである意識
ミシュランだろうが日々の顧客だろうが、先方が誰であろうと、常に全力のアウトプットを出し続ける。相手によって態度やクオリティを変えることはプロではない
・ブレイクスルーに不可欠なスタンス
これで完璧と思った時点でそれはもう完璧ではない。常に最後の数%の改良を追い求める姿勢がブレイクスルーに繋がっていく
・切り捨ててよいFBなどない
どんな批判にも真実は含まれている。キルケゴールが言ったルサンチマン(弱者の憎悪、嫉妬)的な要素は多分にあるものの、改善する糸口は必ずあるから一定向き合うべきである -
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205ページ
1300円
5月11日〜5月12日
無農薬でリンゴを作るのは不可能と思われていた。その不可能に挑戦した男、木村さんの半生を描く。完全無農薬に挑戦し、虫をとり、酢をかけ、考えうることをすべてやってみたが、リンゴは花を咲かせず、半分の木が枯れた。収入がなくなり、家族にも苦労をかけ、木村は首をくくろうと山を登る。山の上でどんぐりが元気に育っている様子を見て、そこからリンゴの根っこ、土に目をむける。9年ぶりにたくさんのリンゴの花が咲いて喜ぶ。『リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている。』
木村さんの人柄にひかれた。大きな笑い声と木村さんがいるとその場が明るくなるということが、読んでいるだけでも伝わってきた。トラクタ一の本をとろうとして、一緒に落ちてきた無農薬の本。死のうと思って入った山の中で出会ったどんぐりの木。宇宙人の話。本当に楽しい木村さんでも、手探りの9年間は本当に苦しく辛かっただろう。木村さんのリンゴを食べてみたい。自分がここで諦めるということは、人類が無農薬のリンゴを育てることを諦めることだという言葉が印象的だった。 -
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農業の素人である私は、農薬の危険性があるなら農薬を使わなければ良いのに、と無責任に考える。
しかし、本書を読んでみて、その考えは浅はかなものだと理解した。
木村さんの無農薬リンゴの取組みは、本当に壮絶なものだったと思う。
自分が、同じ体験をしようなんて考えもつかない。
死を覚悟するところまで向きあい、奇跡のような出来事を起こした木村さん、そして支えたご家族に心からの敬意を示したい。
本来、自然はそのものが完璧なものであることにも、本書で気付かされる。人も本当は自然の一部にすぎないのに、自然を支配しようとし続けてきたわけだ。そして、その違和感に何も疑問すら感じることがなくなってもいる。
本著に『リンゴの木は、リンゴの木だけで生きてるわけではない。まわりの自然の中で生かさえている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。』という木村さんの言葉がある。
木村さんの奇跡のリンゴは、単に無農薬でリンゴを栽培しただけの話ではなく、人類にとって大切なことを思い出させることに繋がっていると言っても過言ではないと思う。そんな大切なことを教えてくれる一冊でもありました。 -
Posted by ブクログ
農業という人工的な活動と自然な状態とのバランスの難しさについて考えさせられた。
言われれば当然かもしれないけど、今自分が口にしているほぼすべての農産物は人間が品種改良してきたものであり、それは害虫に弱いなどのデメリットを農薬で克服することを前提として甘くしていたり大きくしていたり収量を高めていたりしている。作物を農薬なしでは生きられなくしてしまっているという点で人工的だ。それが世界の食糧生産の効率を高めて飢餓の回避に貢献していると考えると農薬を安易に否定することはできないが、作物が人間の収穫ターゲットであると同時に微生物や虫とか鳥や動物とか他の植物とかいろんな生き物が構成する生態系の一部でもあるので、その連鎖を歪めるような人工的な活動はサステナブルではないとも思われる。
そのことに、とてつもない苦労の末に実体験を通して気づいた木村さん。絶妙な加減で手を加えることは最小限に抑え、畑の生態系が自然に生きる力を高めることに取り組まれた様子にいろいろ考えさせられた。
りんごや農作物に限らず、人間にも同じことが起きているのではないか。
食べて遊んで人と関わって何かを作って寝て成長する、みたいなサイクルが自然だとすれば、食べることも遊ぶことも買ってこないとできないし、作ることは分業、人と関わることも気乗りしない仕事関係に偏りがち、睡眠は不規則で不足気味、では健全な成長は難しいよなと思う。原始の生き方に戻ればいいということではなく、無理のない自律して自立した生活を送っていきたいなと思った。どこから改善するか道は長いけど、自炊を心がけたり自分で価値が生めるよう仕事を切り替えたりひとつひとつ地に足つけて取り組みたい。 -
Posted by ブクログ
“人生を懸けて夢中になれる何か”に出逢えたとき、それは自分が生きる意味を知ることができた瞬間なのかな、と感じました。
木村秋則さんの「人間は自然から離れて生きていくことはできない。だって人間そのものが、自然の産物なんだから。」という言葉が心に残っています。
人間は、目先の利益のために環境を破壊してきました。
人間に出来ることなんてたいしたことではないし立派な生き物でもないのに、自然に生かされていることや、自然から恵みを分けてもらっていることを忘れてしまう。
文明が進歩することよりも大切なことを教えてくれる一冊です。
木村秋則さんの伝えたいことをもっともっと深く知りたくなります。